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2020年03月30日17:14

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【映画】3月の映画鑑賞(後半)

前回に引き続き、コロナ騒動は世界を巻き込んでどんどん深刻化、拡大化していく様子。
もうウイルスだけでなく経済面での死活問題も深刻化している様な、色んな面での不明点、不可解な点が多過ぎる騒動であり、素人が何にを言っても始まりませんが冷静に状況だけは見て行動して行きたいと思います。
日本の指導者ってのは基本的に責任を取りたくないというのが最優先順位であり、どんな緊急事態でも責任転嫁できる様な曖昧な行動指針しか示さないというのがシステムであり常套なので、行動と言ってもなるようにしかならない状況の中で、馬鹿げたことに巻き込まれない様にする注意だけですけどね。しかし、私自身も生まれて初めて経験する社会現象となってしまいましたねぇ。これも時代なのでしょう。
そんな中ごく個人的な問題として、(原因は不明ですが)母親が腰を悪くして立てなくなってしまい、病院に行ったり家の中での世話などで、こちらも小さな騒動が続いています。
そんなこんなで映画を観るどころの状態ではありませんでしたので、劇場鑑賞3本とその他1本だけの感想となりました。

では、3月後半に鑑賞した映画の感想です。

☆劇場鑑賞

○『レ・ミゼラブル』('19/104分)…3/18(シネリーブル梅田)

いやぁ〜、凄い作品ですねぇ〜。まず、今のパリにこういうエリアがあることに驚きました。
昔だと“ゲットー”とか“アパルトヘイト”とか“部落”とか、特定の人種や階層などを押し込めた地域というのが、世界の中でも大都市である今のパリに存在するということに驚きました。50年くらい前のニューヨークのハーレム地区のような感じなのでしょうか。昔なら『ウエストサイド物語』も同じテーマが根底にあり、同様に厳しい作品だったのですが、ミュージカルだったので本作の様に見る人は少なかったかも知れません。
東京の何処か特定の一つの区があのような状態というのは想像し難いですが、もし存在していたら怖いですよ。
私が生まれたのが大阪の西成区で“あいりん地区”で有名ですが、5歳までは暮らしていましたので、この映画の中の特殊なエリア的コミュニティは理解しやすいです。しかし、現在の“あいりん地区”はかなり変わって来ていますし、今という時代の先進国の中の大都市の中に存在するって事に対して衝撃を受けました。
原作の『レ・ミゼラブル』を私が読んだのはもう40年以上も前になりますが、私が一番印象に残っているのはジャン・バルジャンやコゼットのメインストーリーよりも、テナルディエ一家の顛末であり、その子供達のエポニーヌやガヴローシュの生き方であり、ユーゴーが一番書きたかったのもその部分だと私は思っています。
なので、本作では現在のガヴローシュにスポットが当てられていて、よくこのタイトルを付けたと拍手を贈りたいと思いました。
しかし、160年も前に書かれた社会の悲惨さが今も変わらずあることに対して、人類はもう少し恥じた方がよいのではないかと思いますけどねぇ。
善悪を超えた救いの無い悲劇を無くすための知恵を、もっと真剣に絞り出すように切実に思わせてくれる作品でもありました。

○『ハーレイ・クインの華麗なる覚醒/Birds of Prey』(P鑑賞)('20/109分)…3/20(MOVIXあまがさき)

楽しみに待っていた作品ですが、ちょっと予想と違っていました。
アクション映画としては面白かったですし、マーベル作品では『デッド・プール』の様なオフビートなノリの作品という事では良く出来ていたのですが、監督・脚本・主演全てを“女性”映画としたのが、この作品のスケールをかなり小さくしてしまっている要因だと思えます。
この作品を女性の為の“女性ヒーロー映画”にするというコンセプトそのものには何の異議もないのですが、今までの成功した(と私が思っている)女性映画、例えば『テルマ&ルイーズ』には ハーヴェイ・カイテルの刑事の様な存在、『マッドマックス/怒りのデス・ロード』のマックスの様な“男”の存在が、傑作と呼ぶ“女性映画”には必要不可欠だと私は思っています。それがいない本作の様な場合、女性の為だけの女性映画に成り下がり、男が観ると何か引っかかる物足りない作品であり、奥行きのない作品と感じてしまうのでしょう。別にジョーカーでなくても、ジョーカー的な“男”の存在はやはり必要だと思いますよ。それを踏まえて、シリーズとしてもう1本別の監督で作ってくれたら嬉しいのですけどね。

○『ミッドサマー(ディレクターズカット版)』('19/170分)…3/26(MOVIXあまがさき)

コロナ騒動と関係があるのか無いのかは分かりませんが、通常版とディレクターズカット版とが同時に上映されているので、私は後者を選んで鑑賞しました。
気にはなっていたのですが、予想以上に興味深く鑑賞させて貰いました。どんなカテゴリーの作品なのか説明するのは難しいですが、敢えて言うなら基本はホラー映画なのでしょうね。しかし、ホラー映画のセオリーからは逸脱して作られているので、まさに“カルト映画”と分類したらいいのかも知れません。
昔ならアフリカや南米など文明社会から遠く離れた未開の部族の伝統儀式の探検映画にも通じるような作品ですが、先進国の文明社会の中の一集団というのが今を感じさせてくれました。で、リアルなら本来の伝統儀式に部外者は入れないでしょうが、部外者を入れる所でこの作品が娯楽である証であり物語のテーマに繋がるのでしょうね。
少し前に観た『アス』のサービス映像の中で監督が「この映画で“特権”の裏には必ず“犠牲”が伴うという事が言いたかった」と述べていたのが印象的でしたが、この特権というのは現在社会での人間の営みそのものをの事を指し、この映画のドッペルゲンガーは“犠牲”の象徴として人間社会以外全てに当てた比喩表現でしたが、本作の鑑賞中にもその言葉が頭に浮かびました。
この作品の中での生贄は、人間の存在(特権)に対する犠牲に当たるものの様に感じてしまいました。人間の営みというのは人間以外のものにとっては害悪でしかないという根底思想は、今でもこの作品の中の集団の様な形で、凄く多くあるのかも知れません。
だからという訳でもないですが、私はこの作品に出てくる集団の儀式には驚きましたけど、考え方に関しての違和感や嫌悪感は殆どありませんでしたね。日本の楢山節考的風習も、もっとドライにマインドコントロール化するとこの様な形になる様な気もします。
こういう作品を観ると、今のコロナウイルスも人間の人口を減らすための神の操作(思し召し)と考える人も、実は凄く多くいる様に思えます。


☆その他の鑑賞(覚書き)

●『翔んで埼玉』('19/106分)…(パソコン配信)

去年の邦画の最大の話題作なので、映画ファンとして参考のために(無料配信ということもあり)鑑賞しました。
去年はコミックの実写化でも『劇場版パタリロ!』や『Diner/ダイナー』の様に、如何にも漫画的な実写という映画が何本がありましたが、本作も同様のコンセプトの作品であり、そういう観方をすれば適度に面白い作品だと思うのだけど、これが2019年の日本映画を代表する作品だとか、傑作だとかの前置きを付けられると、日本人として少し恥ずかしくなってしまいます。あくまでもカルト映画のヒット作という程度の作品であり、それ以上でも以下でもない。
深読みすると、これも格差社会に対するカリカチュアと言えばカッコいいかも知れませんが、そんな大層な風刺はないでしょう。しかし、今の若者好みの流行りの作品であることは間違いないのでしょう。
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