mixiユーザー(id:425206)

2019年10月14日15:46

200 view

【映画】10月の映画鑑賞(前半)

今月はアメコミ界のNo.1の“トリックスタ―”である『ジョーカー』に脳内を完全に支配されてしまいました。
(ちゅうか、これはトリックスタ―になる前の誕生の物語であることが重要なんだが・・・)
では、10月前半の感想です。

☆劇場鑑賞

○『ジョーカー』('19/122分)…10/5(MOVIXあまがさき)

今月前半の劇場鑑賞は本作の1本だけです。しかし、これを観たらもう満腹状態で他の作品を観たいという気持ちが湧きませんでした。
(但し逆の意味で、もっと軽い作品をレンタルや配信で観たくなりましたが・・・)
凄く優れた作品ではあるが、これだけ重い作品だと観客を選ぶので賛否両論となり、観客動員の方もどうかな?という個人的予想だったのですが、完全に予想が外れてしまい絶賛評も溢れ大ヒットしている様子です。
アメコミの脇キャラクターで、こういうシリアスな作品が生み出されたのは、元々の『バットマン』という作品自体にその下地があったからなのでしょうね。
主人公のバットマンそのものの精神の歪みが悪役のキャラにも反映され『バットマン』に登場するヴィランは他の作品と比べてもキャラの宝庫であり、例えば“ペンギン”というキャラを主人公にしても本作と同等の重く深い人間ドラマの傑作が出来上がりそうな気がします。それだけ『バットマン』という素材は、人間の“善悪”そのものを考察するテーマが貫かれているので、あらゆる映像作家が取り組みたくなる素材なのだと思います。書きながら思ったのですが『バットマン』って神話的要素の最も詰まったアメコミ作品の様な気がしてきました。
本作の様な作品を別のキャラクターでも作って欲しいと思うのが本来のファン心理の様な気がしますが、私の場合、今回に限ってはそういう気になりませんでした。恐らくそれは、この手法(アメコミ素材で限りなくリアルな人間ドラマとして描く)での、到達点に至ってしまうほど本作が出来上がり過ぎてしまったのが原因だと思います。この手法としては正直これ1本でもう十分堪能しましたので、また元のアメコミヒーロー路線に戻って欲しいと思いました。それ程にこの作品の完成度が高く演技に圧倒されたという事です。


☆その他の鑑賞(覚書き)

○『パニック・マーケット』('12/89分)…(パソコン配信)

https://mixi.jp/view_diary.pl?id=1973184434&owner_id=425206

○『キング・オブ・コメディ』('83/109分)…(パソコン配信)

『ジョーカー』の制作のヒントになった作品として取り上げられていて、私は未見だったのでネットで検索したら無料配信されていたので早速鑑賞しました。
本作はスコセッシ監督とデニーロとの黄金コンビの秀作で、主人公のキャラ自体はジョーカーとは全く異なりますが、人間が無自覚に“罪”を犯し少しずつ狂い始めるその恐さと原因を辿った作品という点では確かに共通していました。しかし、主人公の気持ち悪さという点では、個人的にはこちらの方が上回ってしましたね。
恐らく『ジョーカー』の方は主人公と同等に社会(街)自体も平行に狂っている姿が描かれていたからなのでしょね。社会悪が人間を狂わせるという循環の悲劇が『ジョーカー』のテーマですが、本作は純粋に一人の変人にスポットを当て、(狂人になりつつある)一変人の正論を描いていたので更に不気味でした。でも、ラストでは社会の狂いも少しだけ垣間見せていましたが・・・

○『アンキャニー/不気味の谷』('19/85分)…(パソコン配信)

少年期は漫画、青年期は映画と小説が私の知識の源だとずっと思っていて、それは今も変わりません。映画から様々な事を学び、今も様々な事を考えさせてくれます。
本作も何気に配信作品を眺めて見つけたのですが、まず本作の場合、このタイトルが色々な事を考える材料となりました。
この“不気味の谷”という言葉、不勉強で私は初めて知ったのですが、知る人は知る言葉の様です。説明すると長くなるので、気になる方は“不気味の谷現象”でネット検索して下さい。
意味を知って、今までSF好きを公言していたのが恥ずかしかったです(苦笑)
確かに身に覚えありまよ、この現象。今まで無意識にその現象を黙認していましたが、意味を知ることで色々と納得出来ました。
但し、この作品はこの現象の本質とはあまり関係ない部分で物語が進んでいる様な気がしましたが、作品自体は『エクス・マキナ』テイストを思い出し退屈せずに観れました。こういう類似作品を何本も観ることにより、私のAI(人工知能)観が出来上がって行く様な気がします。

追記.
この“不気味の谷現象”って「美と心と創作に関わる心理現象である」ってことなんですが、この現象って人間の創作物だけではなく、人間が人間に対して思う現象でもある様な気がしました。
例えば人間がロボットに対して不気味に感じてしまうのは、“感情”の表現に対しての外見的不一致が大半を占めているのだけれど、『ジョーカー』とか『キング・オブ・コメディ』などの作品での狂気を帯びた人間を観たり、現実社会でのニュースや街で遭遇する無感情な群衆としての人間を観察すると“不気味の谷現象”が、そのまま生きている人間にも当て嵌まっているのが恐いです。

○『蜘蛛の巣を払う女』('18/115分)…(レンタルDVD)

ミステリー小説「ミレニアム」シリーズの第4作を映画化ということらしいです。
シリーズものの難しさは単品では普通に面白い作品でも、原作や前作の思い入れの強い人ファンからするとそれだけではダメで(制作側はそういうコアなファンの観客動員を見込んでいる筈なのに)逆に作品の出来とは別の批判が出て来るという難しさがありますよね。
更に映画版ではスウェーデン版とハリウッド版まであり、それぞれのファンがいる。(ちなみに私はスウェーデン版の方が好き)
この作品なら、上記映画版も原作も知らない人達ならそれなりに楽しめる作品に恐らくなっていたと思います。
ただ、私も映画版のイメージが強烈だったので、この作品のキモである主役のリスベット役をどう演じるかに目が向いてしまっていて、そこだけを注目すると前作スウェーデン版ほどのインパクトは無かったです。
このシリーズは、主役の生い立ちと現在進行形の事件との両輪で物語が成立するのだけど、そのバランスが偏るとコアなファンは物足りなくなるのでしょうね。面倒臭いファン心理です。

○『ダンボ』('19/112分)…(レンタルDVD)

ディズニーアニメの実写化リメイクシリーズは一応全部観ておこうと思っている昨今です(笑)
最初のアニメ版は1941年の作品ですので、作り直すのは冒険だったでしょうね。日本公開時リアルタイムで鑑賞した人などはもう80歳を超えているでしょうし、私(64歳)でも小学校か中学の学校で最初に鑑賞した記憶があります。オリジナルは素晴らしい作品ですが、子供の時に観たからこその衝撃と感動だったことは今観て実感します。
それを、新作の実写化で同じ内容を期待するのは無理がありますし、だからと言って違い過ぎると受け付けないという人達も多くいるというのが現実で、こういうリメイクは本当に難しく冒険なんだと思います。
私もこの作品のテイストからして監督はティム・バートンしかいないと思ったのですが、しかし今ではティム・バートンテイストそのものが記号化されていて、どういう作品になるのか映画ファンなら誰でもある程度予想出来てしまい、それはそれで面白味に欠けてしまいます。まあ、これは映画スレした人間の意見であり、昔の作品も観た事もない若い人達は普通に楽しめると思いますが・・・

追記.
このディズニーアニメの実写化リメイクシリーズ『ピノキオ』という傑作も今後、当然企画されている作品なのでしょうけど、これ程のアニメとしての傑作を任される監督は重荷でしょうね。物凄いプレッシャーで押し潰される様な気もするが期待も大きい。

○『SANJU/サンジュ』('18/159分)…(レンタルDVD)

私の苦手な伝記というか、実在の俳優の半生記なのですが、インド映画だし『きっと、うまくいく』『PK』の監督なので、私の考える人物伝とは違うアプローチであろうと予想して借りました。
前半はやはり、薬物・アルコール中毒のよくある有名人アルアルで物語が進みますが、後半からは元々が社会派傾向の強い監督であるので、現在のインドの社会的な問題を強く押し出していました。上記作品では文化やシキタリや宗教への問題提起でしたが、今回は何処の先進国も同様に抱えているメディアの矛盾と問題点を分かりやすく批判していました。

追記.
こういう映画で全世界で多くの社会派監督がそれを指摘しても、一切改善しないし反省しないのが、メディアの抱える一番大きな問題だと思うのだけれど、それは恐らくメディアが大衆をコントロールしているというよりも、大衆側がメディアの後押しをしているから本当の問題解決にならないのだろうと私は思っています。
昨今のメディアの堕落は、権力側と大衆側への迎合というダブルスタンダードであり、最終的には利益最優先というあからさまな体質をここ何十年も見せつけられています。一番性質の悪いのは一般大衆の中に潜む悪意(野次馬根性や弱い者いじめ、バッシング体質等々)であり、それをメディアが上手く利用して煽っている状況が見受けられます。なので、メディアが本来あるべき姿に戻るには、やはり大衆側の民度を上げるしかないのかも知れませんね。

○『メリー・ポピンズ/リターンズ』('18/131分)…(レンタルDVD)

このディズニー作品は元々が実写なので、リメイクではなく続編という形での復活になっています。
しかし、これもつくづくハードルの高い続編だと思いますよ。まあ、ディズニーだからそんな酷い作品にはならないとしても、54年ぶりの名作の続編ってよく企画にあげたよなぁ〜。
観た感想は、世界観は完璧に再現されていましたので、オマージュ作品としては立派に成立していると思いました。しかし、前作の名作たる所以はテーマの深さにあり、その辺りの継承は続編だと流石に難しいでしょうね。
でも、これだけ作ってくれれば、十分だと思いました。これ以上を期待するのは酷ですね。前作ファンには90歳のディック・ヴァン・ダイクの出演というサービスもありますし、それだけでも胸が熱くなりましたよ。

●『スマホを落としただけなのに』('18/116分)…(パソコン配信)

暇潰しで観ました。作品としては評価しませんが“今の映画”として評価します。まあ、早い話「アホにも分かるスマホの怖さ」を示した作品です。
サイコキラー映画、サスペンス映画としては雑で穴だらけでしたが、それでもこの作品を観ながら、もっともっとこういう映画が量産されて今のスマホ社会が少しでも変わればいいなぁ〜と思わせてくれました。
世の中の力関係として、今ではスマホがなければ生きられないという人の声の方が圧倒的だけど、半世紀前と今とではタバコの愛好家と嫌煙家との力関係が逆転したように、スマホ中毒も半世紀後(私はもう死んでいるけど)には少数派になっている事でしょう。だけど、私も含め今でもスマホなんて便利さより弊害の方が多いと感じている者にとっては、こういう作品が溢れ、アホでも分かるスマホの弊害や害悪を知らしめて欲しいと切に願っていますよ。とは言っても、人間という生き物は害悪より快楽の方を優先する生き物なので絶対に無理なんでしょうけどね。

4 2

コメント

mixiユーザー

ログインしてコメントを確認・投稿する

<2019年10月>
  12345
6789101112
13141516171819
20212223242526
2728293031