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2015年05月26日17:47

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アニメ史を振り返る1 手塚治虫の功罪

今更といえば今更な話題。
ちなみにわたしはアニメの作り手でも何でもないのであしからず。そういうひとの意見も大事なものだと思っていただければ。
ちなみにアニメに詳しいひとには分かりきった話です。
(ちなみに誰得な連載になります)


今のアニメ業界は誰もがこのままではいけないと思いながらも、誰もいい手を思いつかない業界になっています。ではなぜ手塚治虫の責任とまでいわれているのか、それを改めて振り返っていきます。

そもそもの前提条件。
アニメというのは一秒間24コマで構成されており、コマが細かければ細かいほど滑らかにぬるぬると動く。パラパラ漫画を思い返してください。同じボールを投げるパラパラ漫画でも「腕を振り上げる」「腕を投げ下ろす」の2コマしかない漫画よりも、その途中が書き込まれた細かいコマの方がよりリアルに見えるでしょう。
これを『フルアニメーション』といいます。
ディズニーのピノキオや白雪姫などの作品を見るとよくわかります。ひとや動物、自然の動きが本当に滑らかです。(こんなのを作っていたアメリカと戦争しても勝てっこないわな……と個人的には思う)

しかし、これはコストが高すぎる為、日本で連続テレビアニメーションを作る際には24コマから12コマ、8コマに減らしました。(ABCDEF……と24コマに別々の絵を当てるのではなく、AABBCC、ないしはAAABBBと同じ絵を使いまわした)簡単にいうと手抜きをしました。(このコマ数を減らしたアニメを『リミテッドアニメ』という)
手抜きというと聞こえは悪いですが、そもそもそれだけ書き込む時間もなければ予算もない。毎週作らなければならない中、フルアニメーションなんてものは不可能。


そのために手塚治虫が考えた効率化の中で今回とりあげるのは二つ。
『リミテッドアニメ』と『バンク制度』です。
リミテッドアニメは先に説明しましたが、バンクというのは何か?
簡単にいうと絵を作り置いて何度も使います。

たとえばOPだったり、魔法少女の変身シーンや、ロボットの出撃、合体シーンなどをフル、もしくはそれに近い書き込みで制作しておく。するとほぼ毎週そのシーンは使えるから、1分、2分は絵を作らなくていいことになる。
そう考えるとアニメのOP、EDがあれだけ長いのは毎週作ることを考えた上での必然だったともいえます。


手塚の目的はアニメーションの大衆化でした。そのためにはコストを安く切り詰めなければいけない。その矛先の一つが、作り手のコスト削減だった。今のご時世ならわかりやすい話です。
赤を出しても手塚が個人的に負担すれば何とかなったし、それでうまく回りました。手塚はね。


その状況がおかしいとして立ち上がったのは宮崎駿だけども、私は宮崎駿こそが今のアニメ業界がどうにもならないことを証明した人間だと思ってます。
宮崎駿はおそらくアニメ監督、手塚治虫のことが大嫌いで、なぜならば、これは彼の著書に絵付きで書かれているが『アニメは一年に一回見るものでいい、僕の作品を毎月見させている親御さんはやめさせてほしい』といっているからです。
自らの作品を見ることを否定する創作者です。(実は創作者の中には意外といます)

宮崎駿の中ではアニメは特別なものであり、あまり大衆化するべきものではないという思想があった。ということはアニメを大衆化させてた塚に対して悪意をもっている。
だからこそ、スタジオジブリを立ち上げて固定給化しました。


しかし、ジブリというのは宮崎駿があれだけ圧倒的な売り上げを誇るから成り立ったので、引退した今はアニメーターを次々切って縮小する傾向にある。結局ジブリという日本一の物語ブランドがあっても宮崎駿という才能がいなければどうにもならないという証明をした形になってしまいました。


ではそういう業界を作ってしまった手塚治虫は悪だったのか?
私はそう思っていません。
その手抜きとも思われる工夫、安い賃金で雇われるアニメーターたちがいて、はじめて今の世界一ともいわれるアニメ大国を作り上げました。本来アニメというのはどうしようもなく金と手間がかかります。
その制限の中工夫し、シナリオを練り、音楽を練り、演出を工夫したからこそ、今のアニメ業界がある。
そのたくさん作られたどうしようもない作品と誰かの叫びと工夫と知恵の山の中から、日本のアニメのノウハウは作られてきました。


それはゲーム業界と似ていると思う。あんな低容量で荒いドットでも工夫して世界一のゲーム大国になりました。(今は落ちめかもしれないが)そういった制限の中、工夫して生き残るのが日本人のメンタリティなのかもしれません。


ではこれからどうすればいいのか?
私はやはりアニメは無料で観るという感覚を改める時代になったように思います。それは違法ダウンロードが叫ばれたここ十年の話ではなく、アニメはスタートからただて見ることを約束された表現です。
テレビをつければ無料でやっている。それが問題なのです。
(ただ、だからと言って有料化すれば誰もが見るわけではないし…… 結局、今のDVDやグッズを売るという稼ぎ方に行き着くのかなぁ。)
この問題はこういう堂々巡りになってしまうのです。そもそも私が思いつくレベルなら誰かが実行しているだろうし


次回はアニメ業界の新たな挑戦、CGについて語ります。


過酷なアニメ制作現場……“神様”手塚治虫の功罪
http://news.mixi.jp/view_news.pl?media_id=54&from=diary&id=3415431
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