六十四話　水虎が映す心の闇

いきなり自殺願望の女性が封印を解く。
悩みを最後まで言わせずに次の展開へ進む。
水の虎と書くんだから当たり前かあ。今期はクリスタルでカッコいいよね、あの造形。
家族の闇を見せる傍らには黙って水虎がいる。

女性のPTA取り巻きは、まるで漫画のようで笑えた。ああ、アニメだった。
あの下りは現実にありそうで気持悪い。
さっさと水分を奪って昼間の恐怖満載の上、子供にも容赦なし。

そこへ登場、悪だくみ原点のねずちーと連絡係のネコ娘。
今回はやたらと可愛くて、脚がいつもより太め？の出過ぎないネコ娘の扱いは上手
すぎる！！　
前半終盤にさっと登場、6期鬼太郎の存在と水虎の弱みを伏線に見せる。

後半冒頭の鬼社長が喚く緊迫の脅迫シーンで、ねずちーが笑えるヌケシーンを組み込む演出には笑った。希望通りに悲しみから解放されると踏んだ女性。
一番深い心の闇に、自分自身が負けていることに気づかない。
水虎は妖怪なんだから、心の闇を全て破壊することが当然の目的。

家族、子供たち、鬼家族・・・とこんなに登場人物が多いのに、無駄なシーンが一つもない。各々に台詞を入れて、キャラを膨らませているからね。
ゲスト女性を主役に据え、かと言って鬼太郎の存在を要所要所で組込み、生かすことも忘れていない。心の闇の描き方は現実に恐ろしく即している。

そう、闇には自力で対処する。鬼太郎がやっつけようと頑張っていても上手くいかないところへ、伏線の先を引っ提げて役に立つ姿がいいじゃない。その後の鬼家族がどうなったか、家族はどうなったかを簡潔に忘れずに描いている。
更に最後の重要なオチは封印された水虎がまた、誰かの闇を狙って虎視眈々と待っていること。
心の闇を持たない人間はいない。負ける人間も後を絶たない。
水虎がいるから永遠に撲滅されないのか？心の闇。

今回の30分は長く、充実していた。まるで2期の延長を見ているみたい。全てに気を配り、細かい工夫と無駄のない作画。いやあ、あの方は今回もやってくれました。
嬉しいなあ。　こうでなくっちゃ。
6期では5本の指に入る秀作だったよね。

EDは「RONDO」で絞めれば完璧だったのに、惜しい。