『ランボー ラスト・ブラッド』
<ストーリー>
故郷アリゾナに帰って牧場を経営するランボーは行き場のなかった祖母と孫娘ガブリエラを引き取ってわが子のように育ててきた。そして10年後大学入学前に出て行った父親に会う為にメキシコに向かったガブリエラだったが、友人に売られて人身売買カルテルに捕らえられる・・・
<コメント>
そもそもなぜこの作品のタイトルがラスト・ブラッドだったのかというと、実は映画『ランボー』シリーズの最初の原題は『FIRST BLOOD』だったのだ。この映画は日本だけでヒットして、さらにこのタイトルが気に入ったスタローンが2作目のタイトルを『RAMBO FIRST BLOOD Part2』として本国でも大ヒットしたことから本国でもタイトルに『ランボー』が入るようになったらしい。
で、「FIRST BLOOD」の慣用句的意味は「あっちが先に手を出したんだ」ということらしく、1作目どころか「ランボー」シリーズ全編のマインドを象徴している。そもそも物語は「起承転結」とか「三幕もの」とか「序破急」で表現されるように、いくつかのターニング・ポイントがあるけれども、このシリーズに関してだけは「スタローンが我慢しているパート」と「スタローンが怒ったパート」の二つのパートしかない。
我慢しているパートでは一見のんびりとしたアリゾナの牧場生活が描かれるのだが、いまだに戦場を悪夢に見るランボーは自宅の地下にさんざん苦しめられたベトコンの地下トンネルを掘ってそこで寝起きしているという病み具合。カブリエルという守るものがあるからこそ戦場に行かなくとも済むのだ。
そして、続いて描かれるメキシコ人身売買カルテルの非道さがある意味戯画化かと思うほど断片的、かつ非情。なにしろアメリカの取引先に「俺たちは毎年14000人の女を外国に売っている」とうそぶいたりサービスデイでは地元の警官たちに女性を無料で抱かせているなどと言った鬼畜の所業を描いて「こいつら許せねえ」と観客に思わせたら後はスタローンの怒ったパートに。
今回の「LAST BLOOD」の慣用句としての意味は「死ぬほど頑張る・死ぬまで頑張る」ということで、まさに後半の鬼神と化したスタローンの活躍が描かれるのだが、もう待ち構えたように自宅に次々とベトコン時代に自分たちがやられた罠を仕掛ける。そしてなによりも震え上がるのはスタローン自信が語る「死にかけてもがく人間を殺すには9発の銃弾が必要」という通り、罠にかかって瀕死のギャングたちを自動小銃で撃ちまくるシーンの凄まじさなのである。
考えたら誰一人直接的には殺していなかった『ランボー』から大虐殺の代名詞となるまでランボーは常に戦場と向き合っていたのかも知れない。
エンドロールで1982年の『ランボー』からの映像が次々と流れるのだけれども、これ最後まで見てください。「LOST BLOOD」の意味が「死ぬまで頑張る」か「死ぬほど頑張る」のどちらなのか判りますから。
ランボー ラスト・ブラッド
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