『BIRDMEN バードメン16』
<ストーリー>
EDEN本部に移送されるつばめと、そしてEDEN本部の地下最下層に幽閉されている最初の鳥人間エヴァを救出し「はじまりの七人」として集合するために、烏丸を中心としたメンバーは突入する・・・
<コメント>
風呂敷を大きく広げるのは結構簡単だ。しかし、これをきちんと畳むのはとても難しい。そういう意味ではあれほど大作を沢山描きながらそのほとんどをきちんと畳んでいた手塚治虫はやはり天才だった。
さて、この作品も当初はチマチマした町内の出来事だったのが、突然地球規模の話になり、しかも主人公達と別のグループの鳥人たちや、別の組織とかが出てきて物語がどんどん膨らんでいってしかも殺人ウィルスが全世界に巻かれたとあっては一体どうなることかと思われたけれども、なんか普通に物語として収束してしまった。いや、世界が変化するということって案外こういう感じかもしれない。
そしてこの物語があくまでもジュブナイル納まるところはクラマックスでこの宇宙の外側に行って世界の理(ことわり)そのものを変えようとする鷹山に向かって叫ぶ言葉はまさしくこの物語におけるジュブナイル>SFという証明みたいなものだ。
そしてやはりこの物語の特徴としては、主人公に代表される全ての登場人物が実にクールであるところ。なんかすべてに投げやりのように淡々とその目的に向かっていく。だからどのサブキャラクターとして登場する人物もユニークではあるけれども、あまり魅力的であるとはいえない。なんというか、子供達を導くはずの大人たちのほとんどが厭世的なのだ。
「もう世の中が嫌になったので子供達に任せてしまおう」というか、描かれているのはそういう大人たちが多いのだ。もう少し生きるのに必死であがくような大人たちをいれれば物語のアクセントにもなったような気がする。少なくとも手塚治虫だったらそういう大人たちを描いただろうな。
ともあれ、16巻に渡る結構壮大なSF絵巻をきちんと満足感をもって終わらせたのは凄いと思う。
BIRDMEN(16) (少年サンデーコミックス)
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