mixiユーザー(id:411965)

2020年02月22日01:39

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「C.N.B.森羅博物館の事件目録43」コミック

『C.M.B. 43巻』
<ストーリー>
 小さな森の中に建つ「森羅博物館」の館長である少年榊森羅の元に様々な珍しい遺跡と共に謎がもたらされる・・・
<コメント>
 ついに『C.M.B.』も43巻となったけれども、加藤元浩は本当にすごいと思う。『Q.E.D.』を含めると100巻以上に渡って様々なトリックを考え続けているわけで、それは他の少年雑誌ミステリでも同様だけれども、加藤元浩の凄いところはそこに数学や物理学、あるいは古代文明とか神話とかいったジャンルの基礎知識までもが挿入されたり、主題になっていること。そしてそれがまた実に判りやすくマンガっぽく解説されるのである。さらにそれに加えてもっと根本的な思想の基本さえ物語を通じて少年たちに教えてくれるのである。
 今回の43巻に収録されている「Op.142 透明魚」においてはなんと「表現の自由」がテーマとなっている。いや、本当のテーマというか描かれているのは美術館での透明な侵入者なんだけれども、ここで美術館で美術品を燃やした犯人に対して森羅たち関係者が特に怒るのはなぜか?という七瀬の質問に対して森羅が表現の自由について説明するのだが、これが実に圧巻。
「どの民主主義国も憲法に入れる項目がある。それが“表現の自由”だ」
「独裁者が真っ先に潰しに来るのが“表現の自由”」
「でも“表現の自由”はガラスのように壊れやすい」
「なんせ自分が気に入らないことも守らなきゃならない」
「でも公序良俗を乱したりヘイト立ったりする場合は制限をうける」「そしてルールがわかりづらいうえにナンにでも当てはめようとする人が出てくる」
「そんな中でどうやってこの権利を守り育てていくか」(中略)
「そこで表現を他者に受け入れてもらうために手続きとして“プロトコル”を作る」
「だから美術館や博物館はプロトコルを確立して多くの人にたくさんの考えがあることを知ってもらうように頑張っている」
「そういう場所には自分の気に入らない考えが並ぶことだってもちろんある」
「それでも“表現の自由”を守るためにはその場だけは何があっても守らなきゃならないんだ」

 うわあ、この話は完全に名古屋での「表現の不自由展」を念頭に置いて描いているなあ。なんかこう、美術館での展示に文句言ってくる頭の悪い奴にじっくり読ませてやりたい話である。

C.M.B.森羅博物館の事件目録(43) (講談社コミックス月刊マガジン)
http://mixi.jp/view_item.pl?reviewer_id=411965&id=4917677
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