mixiユーザー(id:411965)

2020年02月19日01:23

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「銀の匙 15」コミック

『銀の匙 15』
<ストーリー>
 急遽大蝦夷畜産大学を受験することになった八軒は皆の声援と助力を受けて、受験寸前に交通事故にあったにも関わらずなんとか大学受験に成功する。そして大蝦夷農業高校の卒業式が訪れる・・・

<コメント>
 ユーモラスなキャラクターや爆笑の展開になんとなく農業高校コメディみたいに思っていたけれども、終わってみると実はかなりハードな青春群像物語であったことに気づかされる。特にエピローグで先生が「こんな教え子がいた・・・」と八軒のことを語ったら聞いていた後輩たちが心の中で「いや、そりゃ聞くだけで不安バリバリキャラ」「やべー奴だ!」とツッコミを入れるとおり、実は八軒の青春と言うのはかなりヒリヒリしたものだったことが判る。

 おそらく優秀がゆえに頭の中での自己完結を繰り返して目的のない受験戦争から逃げざるを得なかった少年が、農業高校という最初から大人の視点を持たざるを得ない環境にあるクラスメートたちに囲まれるうちに大人の視点を持ち始め、優秀でしかも誠実であることから自分の進む道を確立していく青春物語であったのだ。

 だから、巻末のオマケマンガで担当が「ラブコメ要素を入れよう」と言い出したり「大学編はどうですか」というのをあっさりと断るのはそういう物語ではない、ということを作者がきちんと最初から思い描いていたからだと判る。

 しかし、最終巻でこれは凄いと感銘を受けたのは八軒や駒場がロシアとの関係性を重視しているところ。やれアメリカだ、やれ中国だと(いや、もちろんそれも大事けれども)世界大国の一つであるロシアをきちんと経済と野望の主眼として描いたエピローグは何よりも「ちゃんと通じるんだよ、俺たちの積み上げてきたものが、あたりまえのことがちゃんと通じるんだよ」というセリフに集約されていてとても感動的である。

銀の匙 Silver Spoon 通常版(15): 少年サンデーコミックス
http://mixi.jp/view_item.pl?reviewer_id=411965&id=4890371
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