『ナイト・オブ・シャドー-魔法拳-』
＜ストーリー＞
小説家で妖怪ハンターでもあるプウはとある村で娘達が次々と行方不明になると聞き、弟子と共に調査に訪れる。鏡屋を怪しいとにらんだプウたちがそこに入ると、旅の謎の男が鏡の女妖怪と闘っていた・・・
＜コメント＞
もしも映画問題として「映画の中で合わないもの」を挙げるとすれば二番目か三番目に「ジャッキー・チェンと３ＤＣＧ」があると思う。
冒頭からお肌ツヤツヤに修正したジャッキーが特性の船に乗って海の妖怪魚を捕獲するシーンがあるのだけれども、もう普通の３ＤＣＧアニメそのものの描き方に「はいはい、そうですか」と何の感慨も得られないのである。これは後半というか、クライマックスの壮大なアクション・シーンでもＣＧで描かれたジャッキーが崩れゆく建物の中を疾走したりするのだけれども、ジャンプでもなんでもＣＧだから何の感動も得られない。
ジャッキーに従う善良な妖怪たちにしたってキャラクター・デザインが恐ろしいほど可愛くないので（特に花の妖精ワンヤオの下膨れ顔を中国の人は可愛いと思うのだろうか？）さっぱり感情移入できない。
そしてなによりも物語自体も中盤から『チャイニーズ・ゴーストストーリー』になっていって主人公がイエン青年と女妖怪シャオチンにあってしまうともうジャッキーの見せ場がどんどん減っていく。途中でわずかにジャッキー的なアクション・シーンもあるけれども申し訳程度でしかない。ちょうど林海象の『ジパング』であれほど魅力的だった地獄極楽丸が途中から添え物になってしまったのと同様で、しかもアクションをしないジャッキーが実は演技の面では大根だったことが見事に露呈されてしまうのである。まあ、原作が『チャイニーズ・ゴーストストーリー』と同じものでしかもジャッキーの役がそもそも作者なので仕方がないのかもしれないけれども、それでもクライマックスで延々と３ＤＣＧの中での愁嘆場を見せられたらちょっとげんなりしてしまう。
『霊幻導師』でジャッキーと同様の役をやってリンゴ・ラムというのは同じ立場でありながらも存在感が凄かったことを考えたらやはり「役者としての格」というのを実感してしまう。
ナイト・オブ・シャドー 魔法拳
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