mixiユーザー(id:411965)

2019年12月09日00:30

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「ドクター・スリープ」映画

『ドクター・スリープ』
<ストーリー>
 40年前のオーバールックホテルでの惨劇を生き延びたダニーは能力を封印してホスピスで老人達の逝くのを見守るという孤独な生活を送っていた。しかし、ある日ダニー以上のパワーを持つ少女アブラから助けを求められる・・・
<コメント>
 映画『シャイニング』を最初に見た当時は「なんだ、全然怖くないじゃないか。第一、原作の見せ場であるシーンが全然映像化されていないじゃないか」と不満に思ったものだ。例えば、徐々に動き出す庭の生垣で造った動物達のシーンなど、今だったら簡単にCGで描ける感じだし。しかし、その後「スティーブン・キング印の映画」ではなく、「キューブリックの映画」として見る様になるとその映像の組み立てに感動したスティーブン・キングが映画『シャイニング』を嫌いなのは(もうこれ、スピルバーグの『レディプレイヤー1』でもネタにされてたな)あのものすごく怖くて面白い娯楽小説をあくまでも素材として文学作品にされたせいかもしれない。
 だからキングは小説『ドクター・スリープ』を映画ではなくあくまでも自分の小説の続編だとあとがきで主張している。
 その映画『シャイニング』の続編である本作は多分キングとキューブリックの両方を敬愛するであろうマイク・フラナガンによって巧みに両方の設定を導入されてまさに映画『シャイニング』の続編にしてキングの小説『ドクター・スリープ』の映像化として成立させている。いやこのシナリオの妙には驚いた。「2時間半かあ、『IT THE END』でもちょっと途中でだれたからなあ」と思いながら見たらあまりの面白さに時間を忘れてしまった。
 物語の主役はもちろん中年となったダニーなのだけれども、小説では最後にちらと語られたエピソードを冒頭に持って来ることでダニーの再生の物語というテーマを最初に呈示しながらも子供の生命を喰らう残忍な一族の動向とダニー以上の能力を持った少女アブラの物語を交互に描くことでとにかく飽きさせずに画面に引き込んでいく。
 シナリオも書いた監督がキングのファンであることはキングお得意のケレン味に満ちた能力の発揮シーンを描いていることで判るし、さらに原作とは異なる展開(だって小説ではオーバールクホテルは焼失しているし)にしながらも後半であえて尺を使って映画『シャイニング』を再生していることからキューブリックの映画のファンも納得させるエピソードを入れているし。
 ヴァンパイア・ホラーにして同時に超能力SFでさらにそこに悪霊ものを加えながらきちんと人間ドラマを成立させた見事な作品。

ドクター・スリープ
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