●石黒浩著『どうすれば「人」を創れるか―アンドロイドになった私』<新潮文庫>(14)初出11
石黒浩さんを初めて知ったのは、テレビ番組だった。マツコ・デラックスのアンドロイドを造り、色んな試みを観せてくれるという企画。精巧な造りのアンドロイドに、遠隔操作でマツコ自身の声を発させ、よりリアルさが増していた。主役はマツコなのだが、石黒さんの独特の風貌も印象的で、ロボット技術の発展を目の当たりにした事も加え強く記憶に残っていた。
その後、何冊か著書がある事を知り、見かけるとパラパラ立ち読みしていたが、今回古本市で一冊出会いジックリ読んでみた。一口にアンドロイドと言っても、タイプ別に分かれ、タイプ毎にテーマがあり、成果や課題となる点が述べられている。結果、「人間とは何か」というあらゆる分野に共通する「最高命題」に到達している。
マツコのアンドロイド=マツコロイドのような遠隔操作型のアンドロイドは、ジェミノイドと名付けられ、本書の中心を成している。ジェミノイドとそのモデル(石黒さんも含む)の関係性・・・モデルが自分のジェミノイドに抱く感慨は、自分自身を第三者的に見るだけでなく、一歩「最高命題」に踏み込んでいる。
他には、平田オリザさんと協力し合った、あえてロボットらしさを残すアンドロイド演劇や、人間の直接的感覚に訴える為ミニマルデザインに徹したアンドロイド(テレノイドやハグビー)等興味深いテーマが述べられている。
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