〜Ｃｒａｖｉｎｇ〜
《君ねえ 毎週日曜日に登校して音楽室に籠るけど
先生の許可とってんのかな？》
『あっ すみません 音楽部の発表会が迫っていて…』
警備員のお兄さんに咄嗟に嘘をついてしまった
《いや だったらいいんだけどね》
ごめんなさい 毎週日曜に来るのは発表会の練習ではありません
本当の理由は…
《君ねえ 毎週のように忘れものを取りに登校するけどさあ
どうせ教科書は置き勉でしょ？いったい何を忘れんのかなあ》
「母ちゃんが作ってくれた弁当の空き箱 今日の内に持って帰らないと
月曜に弁当作ってもらえないんだ」
警備員の人に適とぉーに返事をしてしまった
《 そりゃあまずいね》
ごめん 弁当の空き箱回収じゃないんだ
本当の理由は…
「あれっ？外堀さん 今日も発表会の練習？まじめだなあ
僕なんかまたおきっぱの空弁回収でさあ…」
あーあ なんで本当の事が言えないんだろう…
『あっ…し汐ゐ‥君 あの そそうじゃなくて‥その‥学校の
ピアノが‥気に入っていて‥オーストリア製で‥弾きやすくて‥っス』
ああ またほんとうの想いが言葉に出来なかった…
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