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2020年03月29日17:03

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妄想探偵社

〜未来〜

伴尾君は
東京駅に近づいて速度も落ちてもなお並行して走る
山手線を追い越す光景を眺めながら
《なぜ光より早い乗り物なら未来に行けるのかしら?》
とぼんやりと考えていた

藍尾君は
お気に入りの一張羅のお出かけ用ワンピースに
不覚にもアイスを垂らしてできてしまったシミを眺めながら
《一個目二個目のどっちのアイスを垂らしたのかなあ》
と直面している問題の解決より原因を一生懸命考えていた

僕は
向かい合わせにした座席シートにならっづ座る目の前の二人の
仕草を見ながら言った

「伴尾君
光より速く動いて未来に行くのは理論的には可能だけど
物理的には無理っぽいから理論だけ説明しようか?
藍尾君
お弁当で使わなかったお手拭きあげるから化粧室に行って
シミのある辺りを湿らせてティッシュで拭き取れば?
こすっちゃだめだよ軽くとんとんとたたくようにしてね」

そして
新横浜から通路を挟んだ反対側の座席について
僕たちをチラ見している若い女性二人と目が合い
《この子達ってほんと世話がやけるんですよ…
でもそこが可愛いいんですけどね》
と欧米人張りに肩を上げるお手上げジェスチャーをして笑うと
彼女たちは飛び上がらんばかりに驚いた
僕が
《えっ?あっそっか すみませんナンパじゃありませんから》
と意思表示したくて首を傾げる謝りポーズをすると
彼女たちはボー然としてアニメの様に目をまん丸く開いた
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