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2020年03月17日22:44

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妄想物語

〜刺青〜

三寒四温の今日は温で春全開
昼休みの教室にいるのは
ボケの僕と外堀さんとツッコミの外畑さんと
数組の仲良し女子グループだけしかいなくて
実にまったりとしていた
ついさっきまで…

今僕の机の前に
教室の開け放しの戸から入って来た
緊張の面持ちの1年女子二人が立っている
3年のクラスに昼休みで人が少ないとはいえ
見慣れない1年女子が二人だけで入ってくるのは
相当な覚悟と感じる
じっさいこの気迫に押されて
左の席の外畑さんは《寝る》といって机にうっぷし
右の席の外堀さんは《よ予習‥》といって教科書を開く
逆さだけど
おしゃべりで賑やかだった周囲の女子グループの面々は
突然黙りお手玉や折り紙を始めた
不自然すぎる
そんな見え見えの静かさで注目される中
1年の苗木さんと安土さんは意にも介さず
何かを言おうとタイミングを二人で見計らっている

「やあ 苗木さん安土さん こんにちは」

僕が切り出した

『『汐ゐ先輩!こんにちは!』』

二人の意外な元気よさと名字の曳田ではない名前の汐ゐ
で挨拶した事に周りが微かにどよめく

『『この間 汐ゐ先輩に《女子バンドに入る?》と言われて
今日 私たち 入部届を持ってきました!』』

モスラの幼虫の頭に乗ったザピーナッツの様なハモりに
また周囲で軽くどよめきが起こる

「入部届だなんて大げさだね 口頭でOKだけど‥
でも二人して届け出るなんて なんか可愛いね」

僕の発言に1年の二人の顔が真っ赤になると同時に
うっぷしていた外畑さんが《ぷっ》と吹き出し
逆さに参考書を開いていた外堀さんも何故か赤くなる

『『私たちが参加できるパートってあるでしょうか?』』

どこからか《モスラー やっ モスラー》と歌が聴こえる

「逆に苗木さん安土さんは何をやりたい?」

僕は期待を込めて訊いた

『『コーラスです』』

相変わらずの息ぴったりの返事に周囲から《やっぱり》
とひそひそ声が聴こえる

「じゃあ t.A.T.u っぽくいってみよっか?」

僕が描いていたイメージで言うと
逆さに参考書を開いていた外堀さんが《いイイっすね》
と呟いた
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