ふと湧き出る想い

〜地下鉄の青い三角定規〜

私は帰途の地下鉄車内では
立っている時は吊革を片手で持ちながら
座っている時は前傾姿勢で両手で持ちながら
文庫本をひたすら読む

だが時として
活字が踊り始めて文が頭に入らなくなるくらいに
耳に入ってくる会話に気を取られることがある

２０代前半女子
『ねえねえ　中学の英語の教科書って何だった？』

前後の会話の流れは聞き逃したけど唐突な話題っぽい

２０代前半男子１
「えーっとね　サン‥サン‥」

２０代前半女子
『サンミュージック！』

芸能プロダクションだろ！
しかも場当たり的発言ぽい
そして男子たちは突っ込まない
私は笑いを必死で堪える

２０代前半男子２
「サンシャイン‥じゃなかったっけ？」

２０代前半男子１
「そおーかあー？」

２０代前半男子２
「違うかあー」

男子２弱っ！
当たってんのに

２０代前半女子
『そうだ　クラ‥クラ‥って感じのもなかった？』

この子は振り専門だな

２０代前半男子２
「クラウン‥うーんニューがついたっけかなあー」

おーまたもや当たってるじゃないか
優秀だぞこの男子
きっと三年間学級委員やったに違いない

２０代前半男子１
「そおーかあー？
それって辞書じゃん」

君！またもや見当はずれの否定をしないでくれ
出版社は当たっているけど

２０代前半男子２
「違うかあー」

男子２弱っ！