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2020年02月22日23:26

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妄想物語

〜学校の中庭〜

ゴーっという音がして思わず身を屈めるようにして
私は四方を校舎に囲まれた長方形の青い空を見上げた

音の正体らしきものの姿はなく
見えたのはひたすら青い空とぼつんと浮かぶ浮浪雲だけ

ひょんなことから一年の私が文化祭の飾りつけを手伝う事になり
三年女子の美術部の竹畠先輩から顧問の先生に許可をとってある
ので日曜日の10時に部室にと言われて来たけど
入学して6ヶ月経って初めて経験する生徒も先生もいない学校は
静かすぎて少し怖い

正体不明の音が中庭に響き渡った後に訪れたのはシーンという
音だけ
昼間にシーンという音を聴いたのは田舎のおばあちゃんの家の
近くにあるダムに行った小学生の時以来
残暑も過ぎてカンカン照りだけどじっとしていると少し涼しくて
風もなく虫も鳴いてなくて音の気配すら感じなかったのを覚えてる

《おーい 樋鳴さーん》

とにかく早く中庭を抜けて二階にある部室に向かおうとして
動きかけた時
今度は校門から中庭に入る校舎の吹き抜けから大きな声がして
私は腰が抜けるほど驚いてへたり込んでしまった

「あれ?驚かしちゃった?ごめんごめん」

疋田先輩だ
私が文化祭を手伝うことになったきっかけの人だ

『だ 大丈夫です い今さっき空からゴーっていう正体不明の
音がして驚いてしまって…』

疋田先輩がへたり込んだ私に手を差し伸べてきたので
片膝を立てて自然に‥というより積極的に手を差し出した時
二階の中庭に面した美術部の部屋の窓から

『ストーップ!』

と今度は正体不明音や疋田先輩の声より数段大きい竹畠先輩の
声にまた腰をぬかしてしまった
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