〜渡月橋〜
《あ〜っ!?百合谷さんだぁ》
《やはり このタイミングでしたね》
《そうだね
それにしてもこの娘の潜在能力は並大抵ではないみたいだね》
《そうですね》
もう何が何で誰が誰だか判らない
まるで全員が匿名でLINEをしているか
ボイスチェンジャーで話し合っているみたいだ
声の高低や質もいっしょだし
でも最初のって 明らかに藍尾君の口調じゃないかな?
ひょっとこさん達のテレパシー網に迷い込んじゃったのかな?
《いいえ 彼女は本人の意思とは関係なく
ごく自然に私たちのテレパシーに参加してるというか発信してます
この現象は伏見稲荷大社辺りで既に感じてました》
ん?僕もテレパシーに参加してんの?
今応えてくれたのは江成さんだよね
《テレパシーは精神や思いの感応です
つまりこの世界と違って 空気で伝わる音声とか具現化した文字とかでも無く
形のない思考の通信ですから 受信した者が事前に知っている発信者の性格を
頭の中で色付けしているのです
先生は私達の性格など知る由もないので 全員同じ声に聴こえているのです》
試しに僕は 意図的に思いを飛ばしてみた
<でも微妙に違いがあって 何となくわかってきたけど‥>
ひょっとこさん達とのテレパシー談議が盛り上がっている最中
目の前に現れたもう一艘の舳先に居る百合谷姉と修羅が突然
テレパシーに入り込んで来た
《私達 遠くの方から劇的な登場を仕掛けて来て
もう目の前にいるんですけれども…
しかも気づいたのはこの世界の女の子だけだし…
これって サイレントトリートメントですか?》
《ばれた?》
今のはひょっとこさんかな
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