妄想探偵社

〜渡月橋〜

耳の奥というか頭の中に会話が微かに入り込んできた

《やはり監視官達も今日この場所と考えていたのですか？》

舩の横に座っている江成さんを横目で見ても口は動いていないのに
江成さんのの声が頭の中で聴こえる
当然話す相手はひょっとこさん達三人だろうと思う
これは明らかに精神感応いわゆるテレパシーか
ということはこの人達は超能力者だったのだろうか

《どうやら捜査官と同じ考えみたいだね》

不思議だ
ひょっとこさんかおかめさんか牛若丸の誰かが
答えているのだろうけれども
男性とも女性とも若者とも老人とも言えない声だ
確実に言えるのはこの人達は地球人ではない

《さすが先生　でも半分くらいしか当たってないわ》

テレパシーって普通の人にも投げかけられるのか？
僕は頭で考えているだけなのに
これは恐ろしい　僕の頭で考えていることが丸裸だ

《その件については心配ご無用
テレパシーで通じ合っている者同士に関わる事しか
相手に伝わらない様制御されているから》

今喋ったのは誰？
中性的な声でわからないけど牛若丸さんか

《さすが先生　この空間の者にしては能力がこっち寄り》

この空間？
僕がこの空間という事はあなたたちは異空間とか異次元の者？

《ほう　なかなかな者だ　スカウトしたいくらいだ》

こんなやり取りを敏感に感じ取っている者がひとり…
いや正確には一羽いた