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2019年10月22日23:36

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妄想探偵社

〜伏見稲荷大社〜

果たして雷雨は程なくやって来た
雷鳴も雷雨も都会のそれとは比べ物にならない程半端ない

あまりの暑さに木陰で《アンビリーバブル!》と
広告付きうちわでパタパタしていたがたいのいい外人さんが
神社の軒下に逃げ込み《アメージング!》と喜んでいる

僕達はと言うと
真上のいきなりの雷鳴で十石橋での小芝居を打ち切り
藍尾君の《お蕎麦屋さんでお昼にしましょう!》の一言でダッシュした

一番手は十石橋の下に避難していた東福寺で出逢った彼女
不利なポジションをものともしない早い行動は
彼女の世界での生い立ちに関係しているのかも知れない
そして何故ここまで僕達に着いて来るのかは謎

二番手三番手は藍尾君と伴尾君
二人とも僕には恐怖で逃げているとは思えない笑顔だ
食べ物の力って恐ろしい

四番手は百合谷姉
彼女も何故東福寺に現れたのかという問いに答える寸前で
うやむやになり何だかんだで蕎麦屋まで一緒

五番手は所謂しんがりの僕
完全に出遅れた


『あーお腹空いちゃったぁ 経費でおとせるからみんな遠慮なく頼んでね』
藍尾君 それって妄想探偵社代表の僕のセリフだろ

『伏見稲荷ですからやっぱりお稲荷さんセットですね
あっ! 鴨ロースも美味しそうですよ先生 ビールも頼みましょうか?』
伴尾君 鴨ロースを食べたいのは君じゃないかな?

『八部さんは何にします?』
藍尾君 気遣いしてるねっていうか東福寺で逢った彼女の名前は八部なんだ
いったいいつ名前を聞いたんだろう

『はい ではお稲荷さんセット三っつ』
ヘえー 華奢な体で三人前も食べる…あっそっか

じゃあここはひとつ僕が百合谷姉に気遣いをと彼女に顔を向けると
もうお稲荷さんを頬張っている…
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