mixiユーザー(id:40224526)

2019年10月22日00:28

108 view

ふと湧き出る想い

〜食前酒〜

《店のオーナーに持込許可を得てるから》

と言いながら友人はバッグからごそごそと一本のワインを取り出す
円卓に置かれた時点でも
登場の仕方がさっきスーパーで買って来たから飲んでみる?
という感じなのでワインの良しあしなど全く判らない私は
とりあえず乾杯ビールを飲んでからくらいのお酒としての扱いだった

《コース料理の前に味わってもらおうと思って》

と友人が店の人にワイングラスを頼んでいると
お酒はアルコールを感じれれば良いという族ばかりの中で
唯一ワイン通の奴が

《えー いいのかよー》

と言いながらポケットからワインオープナーを取り出し
器用にコルクに螺旋状の針金みたいのを刺して
きゅっきゅっぽんと栓を抜いた

《ひょっとして高いやつ?》

そこそこお酒の知識のある更に別の友人が
2004の数字と銘柄の文字と二人の横顔シルエット
が描かれたラベルを見て言う
ひょっとしてがどれくらいのレベルの値段だか判らない私を含む
ワイン通らしき三人を除いた高級銘柄音痴達が
一斉にワインのオーナーに注目する

《片手から両手ってところかな》

ワインオーナーの友人がジェスチャーをする

《えーじゃあ このワイン7、8千円もすんの!?》

私は思わず興奮して言うと
マイワインオープナーを拭き終えたワイン通が

《幸せな奴…》

とワイングラスに2004〜を注ぎはじめた

ワイン通らしき三人を除いた私を含む高級銘柄音痴達は
私の7、8千円という文字通り桁外れ予想にでさえ興味津々

ワインが注がれつつあるグラス群に顏を近づけた
とてもいい香りがした
そしてワイングラスを各々手に取り口に含んでみた
…沈黙…

私に表現できる訳がない
1 0

コメント

mixiユーザー

ログインしてコメントを確認・投稿する