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2020年02月25日20:52

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分光器を作ってみた

先日格安のグレーティング(回折格子)を入手したので、
https://mixi.jp/view_diary.pl?id=1974642764&owner_id=39904538
これで分光器を作ってみようと思い、以前宙玉レンズを塩ビパイプで作ったことがあるので同じ塩ビパイプを購入しようと近くの日曜大工センターに行ってみたが同じものが無かった。
しかし我が家に使えそうな菓子箱があったのでそれを加工することにした。寸法などはあまり考えずに適当に作ってみた。
回折角は5〜10°ぐらいだろうと考えて一番前にスリットを置き、途中にグレーティングをセットしてさらに100mmぐらい離れたところからカメラで撮影するような構造にした。
スリットとグレーティングは移動できるようにしておいた。ふたをかぶせると暗箱になる。
さらに全体をつや消し黒色スプレーで塗って仕上げた。

乾いた後さっそく使ってみた。ところが全く見えない。
そこで回折角を計算してみると可視光がだいたい25°〜45°ぐらいになる。そこでスリットとカメラを移動して35°ぐらいになるようにセットすると見えるようになった。
しかしカメラが斜めになって使いにくい。

やはりパイプで作ってレンズに固定できるようにしたいと思ってコンビニへ行ってポテトチップスを2本買ってきた。
ポテトチップスの円筒形のケース2本を35°ぐらいに組み合わせて作り、先端にスリットを取り付け途中にグレーティングをはめこみ後端に45mmステップアップリングを取り付けマクロレンズにねじ込めるようにした。

それで使ってみると期待したような性能が出ない。分光はするので虹色には見えるのだがスペクトルの解像度が悪い。
色々調べてみると、まず解像度はスリットの幅が細ければ細いほど解像度が上がる。細い光がグレーティングに入ると波長(色)ごとに決まった角度で回折するため幅の広い光だと隣同士重なってしまいボケてしまう。
しかし細すぎるとスリットのエッジで回折が起きかえって広がってしまう。さらに細くすると光量が減るためカメラの感度を上げないと見えなくなる。
(これは写真のレンズで絞りすぎるとかえって解像度が悪くなってしまうのと同じだ。)

そこで台所用のラップの芯(27mmぐらいのパイプ)の前後に幅0.5mmぐらいのスリットを取り付け二重スリットとして現行のスリット部分と交換してみた。
結果から言うと失敗だった。まず二重スリットは光軸を合わせるのが非常にむずかしい。さらにパイプが細いと内部を黒色塗装していても横から入った光が乱反射する。
パイプが大きければ迷光は少なくなる。(パイプの壁がなければ迷光はなくなる。・・・暗室に導光すれば理想的。)

再度ポテトチップスのケースを加工してスリット部分を作り、その前にもう一本でフードを付けた。
それやこれやで何度も作り直し改造を繰り返して実験した。(そのたびごとにポテトチップスが増えていった。)

それまで組み立ては接着剤で固定していたのだが、接着剤を使うと改造するたびに壊して作り直すことになるので、黒のビニールテープで固定することにした。
改造する場合はテープをはがし改造後新しいテープを巻く。
おかげで新しいビニールテープを1巻ほとんど使い切ってしまった。

こうして作ったもので太陽光、蛍光灯、LED照明、レーザー光など色んな光を撮ってみたが、ボケて期待したようなスペクトルは得られなかった。

原因をいろいろ考えてみたが、やはり安物のグレーティングではこれ以上は望めない。フィルムシートなので僅かな力がかかっても曲がり平面度を保てない。
曲がるとスペクトルも曲がったり光強度が変わったりする。
格子と格子の間は透明なので半分の光はストレートに透過する。これが迷光になってしまう。

今回は透過型のグレーティングにしたが、DVDを使えばフィルムシートのように曲がったりしないので精度が出るかもしれない。
今回のグレーティングはおもちゃ用(何のおもちゃだかわからないが)となっているのでそれなりのことしかできなかった。
光学ガラスのグレーティングを手に入れるか、DVDを使って反射型の分光器を作るかしかないかな。
反射型の場合写真撮ろうとするとミラーが必要になったりミラーやグレーティングを微調する機構が必要になるかもしれない。
(カメラに取り付けるための構造が面倒になる。)

とくに太陽光のフラウンホーファー線を見てみたい。今回のものでは大きいものは見えたが、小さいものは刷毛ではいたようには見えるが同定できるようなものではなかった。
(フラウンホーファーは可視光のなかに500本ぐらい見つけている。)
フラウンホーファー線は太陽にある物質による吸収線なのでその物質が太陽に存在することを表している。
スペクトル 物質    波長(nm)
 C線:   酸素   656.281
 D線:  ナトリウム 589.594、588.997
 E線:    鉄   527.039
 F線:  水素β   486.134
 G線:   鉄    430.790
 
太陽の吸収線は無数にあるので「理科年表」などにもかなり出ている。


今回の実験でわかったことは、写真に撮るためにはまずきっちり計算して正確に作る必要がある。先端からレンズの中まできっちり光軸が合う精度が必要だということなどである。



写真は
1:最初に菓子箱を改造して作ったものでふたを開けた状態。
2:改造して作った現行器
3:太陽光のフラウンホーファー線(大きいものだけ名前を入れてみた)。


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