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2020年04月21日04:49

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「日本型」先住民族政策の行方・・・アイヌ新法(その1)

政府はアイヌ民族の文化伝承を目的に北海道白老町に国立の「民族共生象徴空間」を整備し、

2020年4月に開業だ。

2019年の通常国会では、法律に初めてアイヌ民族を「先住民族」と明記した

「アイヌ新法」が成立した。

なぜ、この時期なのか、過去の経緯を振り返りつつ、その意味合いを考える。 

政府は2019年通常国会に「アイヌの人々の誇りが尊重される社会を実現するための

施策の推進に関する法律案」(報道では「アイヌ新法」案と呼ばれている)を提出し、

成立を実現した。

これは現行の通称「アイヌ文化振興法」を廃止し、置き換えようというものである。

一方、政府の法案に反対するアイヌたちは3月1日、日本外国特派員協会で会見を開き、

今回の政府案には欧米諸国が先住民族に認めている土地や漁業権などの権利回復が

盛り込まれていないと批判し、撤回を求めた。(注 : 法律は4月19日に可決成立した)

アイヌ民族に詳しくない多くの日本人(和人)にとっては、

いま、なぜこのようなことが起きているのか、事情が分かりにくいのではないかと思う。

そこで、ここではこれまでの経緯について簡単に振り返り、今後について考えてみたい。

「アイヌ新法」とは、以前は北海道ウタリ協会(現北海道アイヌ協会)が

1984年に創案し制定を目指して政府に働きかけた法案のことを指していた。

当時は、名称からして差別的でアイヌに同化を強制した1899年制定の

「北海道旧土人保護法」(※1)が存続していた。

この法案は旧土人保護法を廃止し、民族自立化基金や国会での民族議席枠確保など

旧土人保護法では認められていなかった民族の権利を含んだものだった。

その後1997年に旧土人保護法は廃止されたものの、代わって制定された

「アイヌ文化振興法」は狭義のアイヌ文化振興に特化しただけの内容で、

民族の権利を求める人たちからの批判の対象となっていた。

「文化振興法」制定以降、新たな動きが見られたのは、2007年に国連で

「先住民族の権利宣言」が採択されてからである。

翌08年には日本の国会でも「アイヌ民族を先住民族とすることを求める決議」が採択され、

それを受けて政府は「アイヌ政策のあり方に関する有識者懇談会」を設置した。

この懇談会は09年に報告書を提出、それを受けて同年内閣府は

「アイヌ政策推進会議」を発足させ、新たなアイヌ政策展開について検討してきた。

その結果として出てきたのが、19年通常国会に提出された「アイヌ新法」案である。

「アイヌ新法」案に先立ち、政府は「民族共生象徴空間」を

北海道白老町に開設することを決定、現在20年4月のオープンを目指して

準備が進められている。

「民族共生象徴空間」には「国立アイヌ民族博物館」「国立民族共生公園」「慰霊施設」が

建設され、(1)展示・調査研究機能、(2)文化伝承・人材育成機能、(3)体験交流機能、

(4)情報発信機能、(5)公園機能、(6)精神文化尊重機能を果たすことが目されている。

近年の経緯や「民族共生象徴空間」の概要、さらには「アイヌの人々の誇りが

尊重される社会の実現」をうたった法案名など、いよいよ日本でもアイヌ民族の意向に沿った

政策が実現されるのかと想像する読者もいるかもしれない。

しかし、その中身を見ていくといろいろ問題含みである。

まず、メディアでは法律として初めてアイヌ民族を「先住民族」と明記する旨が報じられているが、

法案を国連先住民族権利宣言と照らし合わせてみると、先住民族としての権利保障は

何も記されていないことが分かる。

政府は先住民族の定義が明確でないことや諸外国で先住民族に対して行われてきた施策が

日本の文脈に合わないことなどを理由に、国連宣言を日本に適用することはせず、

「日本型」先住民族施策を展開するとこれまで主張してきたが、これは言い訳にすぎない。

先住民族の権利の中では集団的権利、特に自己決定権や土地に関する部分が重要だが、

政府はそれを認める気はまったくない。

そもそも2008年の国会決議ですでにアイヌを先住民族と認めるよう促す決議が

採択されているのだから、10年以上たった後で単に文言として法律に

「先住民族」を加えるだけの意義は薄い。

さらに、過去の北海道植民地政策に対する反省やその過程で

アイヌ民族に強いた苦難に対する謝罪の言葉もない。

日本外国特派員協会で会見したアイヌたちが法案の撤回を求めたのもそれが理由である。

では、今回の法案には何が織り込まれているのか。

それは現行法でも実施されてきた「アイヌ文化振興」、そして「民族共生象徴空間」の運営や、

白老以外の市町村における「アイヌ施策推進地域計画」の認定に関する手続きなどである。

この「アイヌ施策推進地域計画」は観光振興と結び付けられていることから、

観光重視であることは報道でも指摘されている。

観光振興も重要な施策ではあるが、それだけなら新法をわざわざ作る必要はない。

更に「先住民族」であることを認めてしまった為、「先住民族」の居住区には

軍事基地を建設することができないという縛りが発生してしまったのである。

これを中国が利用しない訳があるまい。

米軍基地が建設できないのである。

しかも、北海道の面積のうち、静岡とほぼ同じ面積を買い漁っているのである。

そして、アリババが参入して、北海道の食産物をネット販売しようとしているのである。


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