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2021年11月27日17:08

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テーラー 人生の仕立て屋(Tailor)

 移動式のスーツの仕立屋を営む主人公が、初めてのウェディングドレス作りに奮闘する姿を通して、人と人とのつながりや人生の希望を描いたドラマ。ギリシャ最大規模のテッサロニキ国際映画祭では、ギリシャ国営放送協会賞、青年審査員賞、国際映画批評家連盟賞の3冠に輝いた。アテネで36年間、高級スーツの仕立て屋店を父と営んできた寡黙なニコス。そんな中、不況がギリシャを襲い、店は銀行に差し押さえられ、ショックで父は倒れてしまう。途方に暮れたニコスは、手作り屋台で、移動式の仕立て屋を始めることを思いつく。しかし、道端で高級スーツはまったく売れなかった。そんなある日、ウェディングドレスの注文がニコスに飛び込んでくる。紳士服一筋だったニコスは、隣人の母子に手伝ってもらい、女性服の仕立てを学びながら、人生初めてのウェディングドレス作りに挑むことになるが……。主演はギリシャのベテラン俳優、ディミトリス・イメロス。監督は本作が長編初作品となるソニア・リザ・ケンターマン。(映画.comより)







<2021年11月23日 劇場鑑賞>

 例によって都会からいくらか遅れてやってきた映画なのですが、主役のおじさんの味のある顔立ち・表情が、噂に聞いた「商売に行き詰まっている老舗テイラー」をそのまま体現していて、「これは見たい」と思わせる広告展開でしたね。確かに、この主演俳優さんは、とてもよかった。彼の頑固そうな父親や、その友人たちもなかなかに魅力的なお年寄りたちで、魅せましたね。ただ、ストーリーがやや平凡でした。先入観から期待値が高すぎたのかもしれませんね。

 一時は、将軍など地位のある人やお金持ちが顧客についていたテイラーも、いまや一から高級な生地でスーツを仕立て上げる人などなく、閑古鳥鳴きまくり(笑)。いよいよお店も差し押さえの危機に直面しています。待っても来ない客を待つより自分が動くべきと、主人公(ニコス)は屋台を引っ張り、行商に出ます。しかし、基本、ストリートはお金持ちが来るところじゃないんですね。みな気軽でお安いものを求めているため、高級紳士スーツなど、だ〜れも買いません。途方に暮れていると、ある女性に「娘が結婚するんだけど、ウェディングドレスを作れるかしら」と声をかけられます。「えぇっ!」と思ったニコス、一度は断りますが、本当に生活に困っているゆえ、とにもかくにも引き受けます。

 で、ここはファンタジーだと思うのですが、紳士服とウェディングドレスは全く違うにもかかわらず、ニコスはいとも簡単に魅力的なドレスを作ってしまいます。大喜びな新婦。ところで、ニコスは近所の女の子と仲良くしているのですが、「いつも無理ばかり言ってすみません」と、母親が時々果物などを差し入れていました。彼女はニコスの作業場に女性ものの洋服があるのに目を止め、声を掛けます。実は彼女も洋裁が得意で、自分のワンピースくらいは作ってたのです。そこから、二人の共同作業が始まります。

 このへんは楽しかったですね。日本と文化が違うのでしょうが、屋台で簡単に採寸してもらって、体にフィットしたお洋服を作ってもらえるんだったら、私も行くな〜と思いました。日本でオーダーメイドなんて言うと、貧乏人には敷居が高いのですが。どの服も大きい147cmの私は、ちょっとうらやましかったりしました。

 と、ファンタジーとは言え、目にも楽しかったのはここまで。ここから先は、ちょっと月並みな展開になってしまいます。ギリギリありそうな粗野な父親(少女のね)といい、「監督は女性かな」と思わせる展開でした。

 ラストは希望を描きます。レースをちょっとひらひらさせながらのニコスの出張車。でも、そんなにウェディングドレスの需要があるのかな、とも思いました。ギリシャは、日本と違って若者が多いのかもしれませんが。
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