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2020年07月09日16:23

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レ・ミゼラブル(Les miserables)

 ビクトル・ユゴーの小説「レ・ミゼラブル」で知られ、現在は犯罪多発地区の一部となっているパリ郊外のモンフェルメイユを舞台に、現代社会が抱えている闇をリアルに描いたドラマ。モンフェルメイユ出身で現在もその地に暮らすラジ・リの初長編監督作品で、2019年・第72回カンヌ国際映画祭で審査員賞を受賞。第92回アカデミー賞の国際長編映画賞にノミネートもされた。パリ郊外に位置するモンフェルメイユの警察署。地方出身のステファンが犯罪防止班に新しく加わることとなった。知的で自制心のあるステファンは、未成年に対して粗暴な言動をとる気性の荒いクリス、警官である自分の力を信じて疑わないグワダとともにパトロールを開始する。そんな中、ステファンたちは複数のグループが緊張関係にあることを察知するが、イッサという名の少年が引き起こした些細な出来事から、事態は取り返しのつかない大きな騒動へと発展してしまう。(映画.comより)









 タイトルが紛らわしいですね。なまじ有名な作品なだけに、また新たに映画化したのかと思ってしまいました。でも違うんですね、個人的には、今見るんならこちらの方が名作だと思います。舞台は郊外とは言え、ここがパリなのかと思うほどの貧民街。英語でいうところの「プロジェクト」みたいな建物(要するにお安い公的住宅)が立ち並び、難民キャンプ並みに子供がたくさん群れている。語弊があったらごめんなさいね、でも少子化日本にいるとうらやましいほどの子供たちなんです。どの子も健康そうで、きちんと育てば国の将来を立派に担ってくれそうな若者になるだろうと思われます。もちろんそういう子も出てくるでしょうが、いかんせん貧民街。教育も充分に受けられず、親にも見放されるどころかアホだバカだと罵られ、引き取り依頼があって行った警察で「こんな奴はいらないんだ。このバカ野郎」などと正確には忘れましたが、言葉を極めて罵り、ボールをぶつける父親に絶句しました。こんなのが映画の最初に入るのです。一事が万事、親だって生きづらいなかを必死で生きているのでしょうが、環境が悪すぎます。

 そんな地区ですから、いくつかの半グレみたいなグループが、大変微妙なバランスで存在しています。映画は新たにこの地区に赴任してきた警察官の目を通して語られます。彼は、新たに赴任してきたというだけで、若い新人ではありません。ある程度の経験を積んでいるため、わりと冷静に観察しています。映画では彼の目が我々観客の目線となるため、安心して見ていられたと思います。地元警察の輩は、半グレたちに負けてはいけないと気負っているのか、やや暴走気味です。

 事件なんて常に起きているのですが、無視できない大きな事件が起きた時は、みんなが保身に走ったりそれに乗じて勢力を伸ばそうとしたり、一瞬の気のゆるみが微妙なバランスを崩してしまうので、大変な緊張が走ります。ただ、大人たちはこれからも生きてゆかなければならないし、人に尊敬される程度の包容力も見せなければならないなど、結局はバランスを重視します。私もそれが世の中としては妥当だと思います。しかし、そうやって安心していると、最後にお口あんぐりのどんでん返しが描かれます。これは私も予想できなかった。「そうか!そう来るか・・・」と不意を突かれました。よくよく考えると一理ある展開なのですが。

 名作です。本当に驚きました。でも、ある意味希望なんだと思います。おすすめです。

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