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2020年03月29日12:55

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パラサイト 半地下の家族(Parasite)(기생충)

 「殺人の追憶」「グエムル 漢江の怪物」「スノーピアサー」の監督ポン・ジュノと主演ソン・ガンホが4度目のタッグを組み、2019年・第72回カンヌ国際映画祭で韓国映画初となるパルムドールを受賞した作品。第92回アカデミー賞でも外国語映画として史上初となる作品賞を受賞したほか、監督賞、脚本、国際長編映画賞(旧外国語映画賞)の4部門に輝くなど世界的に注目を集めた。キム一家は家族全員が失業中で、その日暮らしの貧しい生活を送っていた。そんなある日、長男ギウがIT企業のCEOであるパク氏の豪邸へ家庭教師の面接を受けに行くことに。そして妹ギジョンも、兄に続いて豪邸に足を踏み入れる。正反対の2つの家族の出会いは、想像を超える悲喜劇へと猛スピードで加速していく……。共演に「最後まで行く」のイ・ソンギュン、「後宮の秘密」のチョ・ヨジョン、「新感染 ファイナル・エクスプレス」のチェ・ウシク。(映画.comより)









 今年初めて見た映画が、これ。オスカーの発表もまだだったのに、なぜか田舎で遅れずに上映されてた(笑)。「あ、ラッキー!」と思ってすぐに鑑賞した私。韓国映画の奥深さと監督の力量に圧倒されたのでした。これは名作。アジアで初めてのオスカー作品賞もうなずけます。

 韓国では、この映画に出てくるような「半地下」って結構あるんですってね。日本でもあるのでしょうか。そしてまだもっと「地下」に住んでいる人もいて、「半地下」な人はまだマシなんだそうです。この映画は「格差社会を表現し・・・」とか言われていますが、個人的にはこんな感じで「半地下」を生かすって、とても効率的だと思います。まったくの地下は、日も当たらなくて体に悪そうですが、ここならお天気の具合もわかるし、外の様子も見える。映画の後半みたいに大雨が降って水が流れ込んでくるような災難はなんとか改良したいところですが、韓国も日本も狭い国。これは一考の価値があるかもと思いました。

 主人公ソン・ガンホの家族は、なんとなく運に見放されたような生活をしているけれど、その気になればなんだってできそうな家族。大学に入れなかった長女も優秀だし、兄も友人の話によると「それなりの大学を2度も受験した」。ここは日本と多分環境が違うんでしょうね。日本だと時々バイトはするにしても、そんなにぶらぶらしながら何度も受験してみるなんてことは少ないかも。本当に貧乏?って感じでした。まぁ失業率が違うのかもしれないけれど。

 で、件の友人から家庭教師のバイトを回してもらった兄が、裕福なおうちに出入りするようになってから、人生が変わってゆく様子を活写したものがこの映画です。まともな仕事にさえ巡り合えば、ちゃんと仕事ができたはずの家族たちが、他人を装ってどんどん金持ち家族に食い込んでいった結果がどうなったのか。日本では考えられない展開でした。ただこの映画が万人に受け入れられた理由は、社会情勢を的確に描いたというのもあると思うのですが、個人的には「悪人が出て来ない」ことが見やすかったのではないかと思うのです。お金持ちの家族のご主人も奥様もみんないい人で、使用人に差別的な言葉を吐いたり、意地悪したりすることもないし、誠実さを見せれば信用してくれる。だから、ソン・ガンホも「こんないい人たちを裏切れない」みたいなことを何度も言うのです。実際、裕福な世界を知らないガンホが「お金持ちって、すごいなぁ。これだけのことが起きたのに、すぐに順応して何もなかったようじゃないか」と本気で感心する場面があるのですが、そこは私も大いに賛同しました。むしろ、それまで比較的穏やかだったのに、ラスト近くで急展開して血なまぐさくなったことに驚きました。そんなものなのかなぁ。私が甘いのかもしれないけれど。

 まぁとにかく、さすがにポン・ジュノ監督。よくできてます。ソン・ガンホだけではなくて、家政婦さん、その他のキャラクターもみな本当にきちんと魅力的に描かれてました。絶対におすすめな名作です。

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