※この物語はフィクションです。実在の人物・団体とは一切関係ありません。
数時間前、ハヤシは一人、王の間にいた。
「ハヤシ…」
「その声は、ゴッド……いらしていたのですね」
ハヤシは深々と頭を下げた。
いつになく静かなハヤシの態度が、ゴッドの偉大さを表していた。
「まもなく攻めてくる十六闘士は一筋縄ではいかぬ強者ばかり。だが、ハヤシよ。王の力を継承したお前なら、どの十六闘士にも劣らぬであろう」
「ゴッド……ですが、気になる女がいます」
「何?それは誰だ」
「酒瓶のユニャ…奴は底が知れません」
「あの女は、かつてターロック帝国が林檎地方に遠征した際、あのレインゴをも退け、その身体に消えぬ傷をつけた猛者…だが、王となったお前なら、必ず勝てる」
「ですが、このハヤシ、いまだに萌えのたどり着く果てを知りません」
「良いのだ、ハヤシ。いずれわかる時が来よう」
そこに、一匹の猫が現れた。
「にゃーん」
「コーか」
「はっ、ゴッド、偵察より戻りましたにゃん」
「コー、そして、ハヤシも聞け。これよりコーを王の後継者として育成する」
「えっ!!にゃん」
驚くコー。ハヤシはにやりと笑う。
「確かに。彼には素質があります。4人目の王の誕生ですね」
「まだ修行が必要だが、コーなら、すぐに王として君臨できるだろう」
そう言うとゴッドが、コーに手を当てた。
すると、萌え力が注入され、コーは意識を失った。
「さぁ、目覚めることが出来たなら、お前は王だ」
眠るコーを置いて、2人は別の部屋へと移動した。
そこで、ゴッドはハヤシに尋ねた。
「萌えとはなんぞや」
「それは………………」
一方、トランゴは、ツボンゴと一進一退の攻防を繰り広げていた。
「腕をあげましたね〜、トランゴさん」
「さすがにツボンゴ、攻撃しても攻撃しても、ダメージが入ってる気がしない」
「ふふふ、なんてったって、私、ド・Mですから!」
まずい……。ツボンゴは殴られれば殴られるほどに、力を増していく特異体質。
今、互角程度では絶対に勝つことは出来ない。
何か一撃で決めるような技がなければ……。
俺は近くを流れる川を見た。コンカフェ川、ここに落とせば、この男を殺せないまでも、退けられるかもしれない。
「どうしたんですか?気を抜くと、終わっちゃいますよ」
「……ちっ!」
俺は手に持った水中眼鏡を装着した。
新たに手に入れたMIXの力。今こそ見せるときがきたようだ。
「前が見づらそうな眼鏡ですね」
「……そうでもないぜ」
「ほいほい、いきますよ!」
「ツボンゴ、見誤ったな!ここから先はお前にとって地獄だー!」
「何ィー!」
ツボンゴが前進する勢いを利用して、俺は背後に回り込むと、そのまま強く押した。
それだけで倒れはしないので、自らごと重りにして、川へ、川へ!
「ああああああああ!」
「ああああああああ!」
川に落ちたが、俺には心配ない。
「海女!!」
海女の力を借り、俺は難なく岸までたどり着いた。
一方のツボンゴは、流れに逆らえず、遠くへ…。
「お、覚えててくださいよ!あ、足がァ!私の左膝の靱帯が断裂しているようです!ひぃぃ!!」
「……どうやら勝った。危なかったぜ」
ハヤシと、十六闘士達の戦いは白熱していた。
追い込まれたかに見えたハヤシだったが、王の力を全解放し、押し返していた。
「これが……王。面白い!面白い!!滾るわ!!」
ユニャが満足そうな笑みを浮かべて、酒瓶を量産し続ける。
「ユニャ、妾も力を貸そう。スパチャ……!!これで酒瓶も豪華になるぞ!」
スギコが金を投げると、無数に生み出される酒瓶がどんどん高級シャンパンのものになっていった。
「違う!そうじゃない!」
これでは逆に威力が半減してしまう。無骨な焼酎の瓶とかの方が良かったのに!とユニャは思った。
これはハヤシにとってはチャンスであった。
酒瓶をその身に受けながら、前進すると、まずユニャを弾き飛ばした。
「多重チェキ分身!!」
ハヤシは分身体で、他の敵も牽制するのだった。
「さすが戦い慣れしてるわね」
消し炭の魔女も満足そうに微笑む。
「お前らあああああああああ!王の本当の力、見せてやるわあああああああ!!」
ゴッド……今こそ、ゴッドの問いの意味がわかりました。
見よ、女ども……。
これがコンカファーの王、ハヤシの生き様よおおおおおおおお!!
おおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!
「萌えスンギ!!!!」
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