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2021年12月05日15:37

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(産業経済)企業にとっての社会保険料負担

以前に日本商工会議所の三村会頭が政府当局者との協議の場で、「中小企業は収益力が低く、どこも経営状態が厳しいから、雇用している労働者の社会保険料(厚生年金保険、政府管掌健康保険、雇用保険など)の事業者側の負担をなくしてほしい」という要望を提出したことがあった。政府側は、この要望を全く取り合わなかったが、それは当然と思える。

もし企業側が雇用している労働者の社会保険料の負担をしなくてよい形になると、その雇用が正規雇用なのかそれとも偽装請負なのか、ますます区別がつきにくくなるような気がする。つまり、その雇用労働者を「労務提供を請負内容とする請負業者」として扱うことが平然と行われるようになる気がする。私は、この雇用労働者を「労務提供を請負内容とする請負業者」として扱うことは実質的に偽装請負と同じであると考える。そうなるとこれは「雇用」という概念が溶解していることになると思う。

労働者を雇用する事業者側にとって、「雇用」の概念が溶解せずにしっかり形を保っていることには、あきらかにメリットがある。現在、日本では新型コロナウイルスの感染拡大が下火になっていて、飲食店など一部の業界で人を雇用したいという要望が高まっている。ところが、求人広告を出してもなかなか人が集まらないらしい。もし上述した「雇用」の概念が溶解していると、今度はこの事態に輪をかけて、雇用している労働者が、誠実に労務提供してくれなくなる可能性がある。つまり、その雇用労働者を「労務提供を請負内容とする請負業者」として扱っていると、例えばその労働者が請け負いたくない労務は勝手に請負拒否される可能性がある。これは、事業主側が「雇用」の概念を溶解させたことの報いなのである。

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■雇用保険料、来年度引き上げ=コロナで財源枯渇―政府
(時事通信社 - 12月05日 15:00)
https://news.mixi.jp/view_news.pl?media_id=4&from=diary&id=6765671

 政府は失業手当などに充てる雇用保険料を2022年度に引き上げる方針を固め、上げ幅の調整に入った。新型コロナウイルス感染拡大で、雇用維持に協力した企業に支払う雇用調整助成金(雇調金)の支給が急増。雇用保険の財源が枯渇し、労働者と事業主に負担増を求める必要があると判断した。年末に向けて本格化した来年度予算編成作業で詰めの協議を行う。

 雇用保険は、労使が負担する保険料のほか、国の一般会計から支出する国庫負担などで賄われる。今年度の保険料率は、労働者が賃金総額の0.3%、事業主が0.6%。本来は労働者が0.6%、事業主が0.95%だが、積立金が一定水準を超えていたことなどから、料率を引き下げている。

 しかし、雇調金の支給増で積立金が底を突き、料率引き上げが避けられなくなった。景気の足踏み状態が続き、労使ともに大幅な負担増を懸念していることを踏まえ、政府内では来年度の料率を労働者0.5%、事業主0.85%とする案が浮上している。
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