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2021年04月16日08:39

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(社会)性風俗産業従事者に救済は必要か

性風俗業は新型コロナウイルス対策の救済対象になるかならないかをめぐって、非常に興味深い訴訟が提起された。性風俗産業に従事している原告側は、「自分たちを社会の一員として正当に認めてほしい」と主張している。一方、国側は、「性風俗業は本質的に不健全な産業。このような産業に従事している人のコロナ禍の救済に国民の税金を投入することには、国民からの理解が得られない」と真っ向から反論している。どんな判決が出るか注視したい。

新型コロナウイルス感染症の拡大に起因して経済がダメージを受け、事業経営に支障をきたしたり、仕事を失い生活困窮者が出ていることはたしかに誰もが知る通りだ。そして国は、こういった人たちに救済の手を差し伸べなければならない。だが、ここで大切なのは、どういう人たちから優先的に救済がなされるべきか、その優先順位を確立することである。

まず優先順位の筆頭に位置づけられるべきは、求職活動を一生懸命しているにもかかわらず、これがうまくいかずに路上生活者になっているような人たちへの救済ではないだろうか。こういった人たちへの救済策が不十分なまま、感染拡大で影響を受けた性風俗産業事業者向けに給付金が支払われるというのは違和感を感じざるを得ない。

もう一つ私が気にかけたいのが、演奏会の興行が低調になって収入が落ち込んでいる演奏家、特にフリーランスの身分のクラシック音楽の演奏家に対する救済である。実際、ドイツなどではこれが行われている。日本では、収入が落ち込んでいる演奏家が受け得る救済は、いわゆる失業者扱いによる救済しかないのではないだろうか。このため、どこかの事業体に雇用されようとしてハローワークに足を運ぶ「求職者」の体裁をとる必要があるのではないだろうか。だが、収入が落ち込んでいる演奏家は、「演奏家」としてのアイデンティティを維持したまま救済を受けたいと望んでいるはずだ。また演奏家にはそのような救済を受ける権利はあると思われる。

ところで、私の見解では、この訴訟はほぼ100%原告側が敗訴するような予感がする。なぜかというと、性風俗関連の事業者および労働者は、客に対する性風俗サービスから得た所得を正直に申告して所得税を納税しているとは思えないからだ。納税には、社会の助け合いの側面があることは誰も否定しないだろう。原告は「法の下の平等」を保障した憲法に違反するとして、未払いの給付金や慰謝料など計約450万円を求めているわけだが、同時に憲法は、国民の3大義務の一つとして納税の義務を規定している(憲法第30条)。所得の納税という側面で不誠実を働いている人たちに、社会からの救済を求める権利はあるのか。「このような産業に従事している人のコロナ禍の救済に国民の税金を投入することには、国民からの理解が得られない」という国側の主張はきわめて理にかなっているように思われる。

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■性風俗「本質的に不健全」 給付金裁判で国が真っ向反論
(朝日新聞デジタル - 04月15日 20:00)
https://news.mixi.jp/view_news.pl?media_id=168&from=diary&id=6485233

 性風俗業は新型コロナウイルス対策の救済対象になるかならないか――。感染拡大で影響を受けた事業者向けの給付金の「対象外」とされた性風俗業者が国などを訴えた裁判が15日、東京地裁で始まった。「社会の一員だと認めてほしい」と訴える原告側に、国側は「性風俗業は本質的に不健全。国民の理解が得られない」と真っ向から反論した。

 原告は、関西地方のデリバリーヘルス(無店舗の派遣型風俗店)運営会社。コロナ禍で休業したが、国は持続化給付金と家賃支援給付金の対象から性風俗業者を外した。原告は「法の下の平等」を保障した憲法に違反するとして、未払いの給付金や慰謝料など計約450万円を求めている。

 この日の第1回口頭弁論で国側は、1984年以降の国会答弁や判例をもとに「性風俗業は性を売り物とする本質的に不健全な営業で、社会一般の道徳観念にも反する」と主張した。災害時を含めて一貫して公的支援の対象ではなかった点も指摘した。

 そのうえでコロナ給付金は「国民経済の発展の観点から行われている経済対策」で、性風俗業への支給について「国民の理解を得ることは困難だ」と強調。「対象外としたのは合理的な根拠に基づく区別で差別とはいえない」とし、憲法違反ではないと反論した。
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