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2021年01月24日11:39

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(社会)病床数世界一なのになぜ医療体制が逼迫するのか

日本は人口あたりの病床数が世界一であるにもかかわらず、医療体制がひっ迫している。これはなぜなのか、興味深い分析が示されている。日本の人口千人あたりの医師数は2.5で、OECDの平均(3.5)と比べて少ないようだ。にもかかわらず病院の数は多すぎるため、医療者が分散する結果になっている。病院数が多いことで病院あたりの症例数も少なくなり、医師の熟練度が養われにくいという興味深いポイントが指摘されている。さらに、ある程度治癒した高齢の患者の行き場が無いという問題もあるようだ。つまり、患者の流れが便秘状態にあるというようなイメージだ。

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■病床数世界一なのに医療体制すぐ逼迫 原因は「分散」と「高齢化」にあった
(AERA dot. - 01月24日 10:05)
https://news.mixi.jp/view_news.pl?media_id=173&from=diary&id=6387775

 感染が収まらず、病床はいよいよギリギリだ。日本は人口あたりの病床数が世界一でも、 医療資源が分散している。さらに感染した高齢者の行き場がない。国や自治体のリーダーシップが求められている。AERA 2021年1月25日号から。

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 新型コロナウイルスの国内感染者数が累計30万人を超えた1月13日、日本医師会の中川俊男会長は険しい表情でこう訴えた。

「すでに医療崩壊の状態になってきている。このまま感染者の増加が続くと医療崩壊から医療壊滅になってしまう恐れがある」

 11日時点の病床使用率は東京で8割、神奈川では9割を超える。東京では感染しても入院先や療養先が決まらずに調整中の患者が前週の3千人から倍増、6千人を超えた。多くは同居家族へ感染させる不安や重症化の恐怖に怯えながら、自宅や高齢者施設などで療養している。

■病院多く医師は少ない

 経済協力開発機構(OECD)の2018年のデータによると、人口千人当たりの病床数は日本が13.1と突出して多く、OECD加盟国平均(4.7)の2.8倍だ。病床数は多いのに、どうして逼迫してしまうのか。

病院数が多すぎて医療者が分散してしまっているために、医療体制の逼迫が起きてしまう」

 そう指摘するのは『医療崩壊の真実』の共著者で、グローバルヘルスコンサルティング・ジャパン(GHC)の渡辺幸子社長だ。

 厚生労働省の医療施設調査によると、19年10月1日時点の医療施設は18万1621施設。うち「病院」は8300ある。一方、日本の人口千人あたりの医師数は2.5で、OECDの平均(3.5)と比べて少ない。日本では少ない数の医師たちが多くの病院に分散しているのだ。

 コロナ患者の受け入れは、当初は感染症指定医療機関が対応していたが、間に合わず、さまざまな病院に広がっている。渡辺さんらが第1波のときの全国の急性期病院のデータを分析したところ、コロナ患者を受け入れた341病院のうち、重症を診る集中治療専門医、救命救急専門医がいる病院が57%で、4割超の病院が集中治療の専門医体制が必ずしも十分ではない中で受け入れていたことがわかった。専門医がいても体制は十分とはいえない病院も少なくない。例えば都内には集中治療専門医がいる病院は41あるが、そのうち37%が1人しかいない。

専門医や医療従事者が各病院に分散しているため、各病院が確保できるコロナ病床が限られてしまう」(渡辺さん)

 その結果、東京の病床数は約13万あるが、新型コロナ用の「確保病床数」は現在4千と3%だ。

 国は民間病院でのコロナ患者の受け入れを強く訴えるが、GHCの調べではコロナ対応医療資源の確保が可能と考えられる一般病床200床以上は民間病院の7%(469施設)、400床以上は1.5%(98施設)。

「小規模で医療資源が不十分な病院でコロナ患者を受け入れることは危険を伴う」(同)

 医療資源の分散は、医療の質の低下ももたらす。

「手薄な中で医療を提供すると質の問題もあるし、さらに病院数が多いことで病院あたりの症例数も少なくなり、医師の熟練度も養われにくい。近くに病院があることに絶対の安心感を抱いている人は多いですが、病院数の多さと医療の質はバーターの関係です」(同)

 病床逼迫の背景に「病床が空かないという問題がある」と指摘するのは、フリーランス麻酔科医の筒井冨美さん(54)だ。

「第3波では患者層が高齢化し、治療期間がこれまでより長引いていることに加え、肺炎そのものが治った後でも長期の入院で筋力が衰え、リハビリや介護が必要な状態になり、退院が難しいことも少なくない。家族も引き取らず、クラスター感染を恐れて高齢者施設や転院候補の病院も受け入れを拒む。行き場がないからベッドが空かない

■家族が引き取り拒否

 地方なら家の広さにゆとりがあることが多く、家族が引き取ることもそれほど難しくない。深刻なのは都市部だ。マンション暮らしでは親を引き取るスペースもなく、子どもの受験などを理由に拒否するケースもある。ソーシャルワーカーが家族を説得しようとしても相手にされず、医師自らが家族に電話をかけるなど、医療現場をさらに疲弊させているという。

「出口がないから病床はあっという間に埋まってしまう。1カ月だけでも家族で面倒をみてくれて再度陰性が確認されれば、介護施設が受け入れ可能な場合もあるのに。回復後のリハビリを指定外の医療機関で受け入れる仕組みも必要。現在の病床逼迫の半分は、高齢者問題でもあると感じています」(筒井さん)

 厚労省は昨年12月、回復した患者を受け入れた医療機関に、患者1人あたりそれまでの3倍にあたる1日7500円を加算すると発表。介護施設や介護サービス事業者には、退院基準を満たした要介護高齢者を適切に受け入れるよう要請した。医療壊滅の回避のためにも、一部の医療現場にかかる負担を、他の医療機関や介護施設、そして私たちも引き受けることが必要だ。

 医師専用のコミュニティーサイト「メドピア」CEOの石見陽さんはこう指摘する。

「日本の病院は民間が8割を占め、国や自治体がリーダーシップを発揮しにくい状況があります。日本は国民皆保険制度で税金も支出されていますし、せめて非常時には医療全体をある程度強制力をもってコントロールする準備も必要だと思います」
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