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2020年06月25日14:13

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(偽装請負)コストセービングのための偽装請負

『規制逃れの「偽装請負」増加の恐れ、国交省が一人親方化に歯止め』と題するネットニュースを発見した。記事の提供元は、日経クロステックというところである。大変興味深い記事ではあるが、残念ながら有料記事なので、一般の人は半分ぐらいしか読めないようだ。

この記事を読むと、建設会社が一人親方の技能職を偽装請負させる動機は、コストセービングであるということがわかる。つまり、もしその一人親方を正規雇用してしまうと、社会保険料などの負担もあるので、様々なコストがかかる。一人請負の請負業者だということにしてしまえば、報酬の金額を決める交渉でも、相手の価格交渉力のなさに付け込んで報酬(賃金)を安く抑えることができる。このあたりが建設会社が労働者を偽装請負させる動機になっていると思われる。

私は特許事務所で偽装請負させられたことがあるが、特許事務所経営者が労働者を偽装請負させる理由は、「コストセービング」とはちょっとニュアンスが異なり、むしろ「正規雇用することのリスクの回避」ではないかと考えている。

特許事務所の業務は、その特許事務所経営者の「代理人としての業務」であり、その従業員には、この代理人の業務を代行させることになる。その特許事務所経営者の「代理人としての業務」は、そのその特許事務所経営者と、その事務所のクライアントとの関係できまる、いわばパーソナルな業務である。つまり、特許事務所ごと、クライアントごとに業務の推進の仕方がひとつひとつ異なるといってよい。

このため、個々のパーソナルな業務実態に適合した業務スキルをもった人を労働市場から採るということは、事実上不可能といってよい。いや、むしろ、個々のパーソナルな業務に適合した業務スキルを持った人を労働市場から調達できる道理がない、と考えるべきである。

だから、労働市場から人を雇い入れる時、すぐに即戦力になってくれる可能性は非常に低いと見るべきだ。このため、特許事務所経営者から見ると、「人を雇い入れることには高いリスクが伴う」という受け止めになる。そこで、特許事務所経営者が考えることは、「『雇用』ということじゃなく事務所内就労させる」ということになる。この「『雇用』ということじゃない事務所内就労」が実質偽装請負になるのである。

もう一つ特許事務所経営者が労働者を偽装請負させる原因は、事業所の賃金水準が低いということと密接な関係がある。すなわち、個々の特許事務所の業務が、特許事務所ごと、クライアントごとに異なるパーソナルなものだとしても、特許事務所業務に精通した非常に優秀な人を採れば、けっこうそつなくこなしてもらえるかもしれない。

ところが労働市場から優秀な人を採るには、待遇を良くしなければならない。特に賃金水準を高くしなければならない。賃金水準を高くして優秀な人が多数応募してくるという状況を実現すれば、その優秀な応募者群の中からよりどりみどり、よさそうな人を採ればいいのだから、人を採ることのリスクは低減させることができる。

ところが特許事務所は収益力が本当に低い。このため良い待遇、高い賃金など出せない。このため、求人広告を打っても、ろくな人が応募してこないことはザラである。このことに起因して「人を採る」ということのリスクが高まるのである。こと特許事務所に関しては、人を採ることのリスクは、事務所自身のせいといってよいだろう。

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規制逃れの「偽装請負」増加の恐れ、国交省が一人親方化に歯止め
https://xtech.nikkei.com/atcl/nxt/column/18/00142/00777/

 国土交通省は、建設会社が社会保険加入や長時間労働の規制などを逃れるために技能職の社員を個人事業主として独立させる「一人親方化」の対策に乗り出した。2020年6月25日に有識者会議を立ち上げ、実態の把握と防止策の検討を進める。さらに、20年夏に社会保険の加入に関する下請指導ガイドラインを改定し、下請け会社に適切な雇用契約の締結を促す。

 国交省が19年度に実施した調査によると、回答した建設会社の3割近くが専属的に従事する一人親方を抱えていた。そのうちの27%の企業では、一人親方の人数が技能職の社員数よりも多かった。また、直近5年間で一人親方として独立した人数が増えたと答えた企業が全体の26%を占めた。

 国交省は調査結果から一人親方化が進行していると分析。同省が実施した建設業界への聞き取りでも、「働き方改革関連法の施行で、社会保険や割増賃金、有給休暇などの企業負担が増えるため、偽装一人親方が加速する懸念がある」といった意見が出た。

 建設会社が法定福利費などの削減を目的に技能職の社員を独立させ、従来と同様の労働条件で働かせる「偽装請負」は以前から問題視されていた。違法に労働コストを削減した建設会社が、競争環境をゆがめる弊害があるからだ。

 独立した技能者の労働環境が悪化する恐れもある。偽装請負の一人親方の場合、実態は雇用労働者でも、名目は個人事業主であるため、雇用保険などの対象から除外される。病気をしたときや仕事がなくなったときの保障を受けられず、生活が不安定になる傾向がある。
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