mixiユーザー(id:3879221)

2020年01月27日14:13

163 view

(読書)『100分de名著テキスト 貞観政要』(出口治明著/NHK出版)

中国の古典的名著に『貞観政要』というのがあり、今回、NHKの「100分de名著」というテレビ番組の中で、テーマの本としてとりあげられることになった。この『100分de名著テキスト 貞観政要』(出口治明著/NHK出版)は、この番組用に編纂されたテキストである。

本日、その第4回放送が予定されている。そこで、テキストのうち、この第4回放送に相当する部分を予習として読んでみた。すると、「意見が言えない組織は衰亡する」と題する節が見つかった。この「意見が言えない組織は衰亡する」という命題は、『貞観政要』の中でも中核を成す重要な教えのようだ。実際、このテキストの中でも、「組織の力はどんなときに弱まるか。それは、メンバーたちが思ったことを率直に言えなくなったときです」ということが非常に強調されて繰り返し述べられている(P91〜P93)。私はこのことに非常に感銘を受けたので、日記に取り上げてみようと思い立った。

ところで、番組の指南役であり、このテキストの著者でもある出口治明氏は、過日『日経ビジネス』という雑誌のインタビューにおいて、現在の日本経済の低迷の原因について、次のような非常に興味深い分析を述べている。


『日本の低迷は、新しい産業を生み出せなかったことがすべての原因です。GAFA予備軍と目されるユニコーンに象徴される新しい産業は、主にサービス産業でしょう。そこで大切なのは何だと思いますか? 「女性」「ダイバーシティー(多様性)」「高学歴」という3つの要素です』


ここで「女性」とは、「女性をもっと戦力として活用せよ」ということ、「ダイバーシティ」とは、「職場のメンバーの構成員を単色で塗り固めるのではなく、多様な人々を取り入れろ」ということ、また「高学歴」とは、「学歴の高い人をもっと戦力として活用せよ」ということを、それぞれ意味しているのである。

この出口氏の主張は全くその通りであり、間違っていないと思うのだが、女性や高学歴者を職場のメンバーとして取り入れたり、組織の構成員の多様性を高めたりすることが生産的な効用を生むためには、前提条件として、その企業組織のメンバーたちが思ったことを率直に言える雰囲気が整っていることが必要になると思う。

逆に言えば、もしその企業組織において、メンバーたちが思ったことを率直に言える雰囲気が整っておらず、遠慮や忖度ばかりが横行しているのであれば、せっかくお金をかけて女性や高学歴者を導入したり多様性を高める工夫としても、現実的効用はほとんど期待できないのではないだろうか。

『貞観政要』という古典が教える「意見が言えない組織は衰亡する」という命題は、非常な重みをもって今の日本のビジネスマンに迫ってきているような気がするのである。

【関連項目】

(産業経済)出口治明さんのインタビュー記事

https://mixi.jp/view_diary.pl?id=1974169074&owner_id=3879221
2 0

コメント

mixiユーザー

ログインしてコメントを確認・投稿する

<2020年01月>
   1234
567891011
12131415161718
19202122232425
262728293031