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2019年12月31日18:16

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(産業経済)出口治明さんのインタビュー記事

最近発行の『日経ビジネス』に出口治明さんのインタビュー記事が載っているようだ。その一部がFacebookの配信記事で紹介されている。ところが、定期購読会員にならないと全部は読めないようになっている。だれかこの号のコピー、持っている人いないかな。しかし、一般の人が読める範囲であっても、けっこう興味深いので、紹介してみたい。インタビューしているのは、大竹剛という人。

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[議論]出口治明「元凶は精神論のマネジメント。すぐ学び直せ」

—まず、今の日本経済の現状をどう見ていらっしゃいますか。

出口治明氏(立命館アジア太平洋大学=APU学長、以下、出口氏):僕は、何事でもエピソードで議論したらあかん、エビデンスだといつも言っているんです。この30年間のデータで見れば、日本が置かれている状況は明らかです。

 まず国内総生産(GDP)の世界シェア。これは購買力平価で見たら、1991年の9.0%がピークで2018年は4.1%です。GDPの世界シェアが半分以下に落ちたわけです。スイスのビジネススクールIMDの国際競争力ランキングでは、トップから30位に落ちました。30年前は世界の時価総額トップ企業20社のうち14社を日本企業が占めていました。今はゼロです。データで見れば、停滞の30年ということが明らかですよね。

—「ファクトフルネス」ですね。

出口氏:そうです。その原因も簡単に分かります。日本企業を押しのけた新たなトップ企業、GAFA(グーグル、アップル、フェイスブック、アマゾン)が何をしているかを見ればいい。2019年7月末時点で、ユニコーン(非上場で時価総額が10億ドル=約1000億円以上の企業)が世界で380社あるそうです。米国に200社弱、中国が100社弱。米中で300社弱あります。残りが約80社。その中で日本はわずか3社です。

 日本の低迷は、新しい産業を生み出せなかったことがすべての原因です。GAFA予備軍と目されるユニコーンに象徴される新しい産業は、主にサービス産業でしょう。そこで大切なのは何だと思いますか? 「女性」「ダイバーシティー(多様性)」「高学歴」という3つの要素です

 サービス産業のユーザーは、グローバルに見て7割が女性です。ユーザーである女性が欲しているものを、日本企業を支えていると自負している50歳、60歳のおじさんに分かるはずがない。

 一方、世界を見てください。国際通貨基金(IMF)の専務理事は2代続けて女性です。特に欧州では、欧州委員会の委員長も欧州中央銀行(ECB)の総裁も女性になりました。欧州は、クオータ制(組織内の女性比率をあらかじめ定めて女性登用を義務化すること)を導入して、女性に頑張ってもらおうとしています。その理由は、女性がサービス産業のメインユーザーだからです。

 2つ目のダイバーシティー。これは、ダイバーシティーがイノベーションを生み出すからです。経済学者のシュンペーターが言ったように、イノベーションは既存知の組み合わせであって、既存知間の距離が遠ければ遠いほど面白い発想が出てくるという経験則があります。

 会社で夜10時まで残業して、その後皆で飲みに行っても新しい知恵が出るはずがない。だからダイバーシティーが大切なんです。しかし、ダイバーシティの代表格の1つである女性の地位で見ると、日本は先進国で一番低い。世界経済フォーラムのランキングでは、149カ国中110位という屈辱的な数字が出ています。ダイバーシティーが全くない。

 そして3番目の高学歴。これは関西学院大学の村田治学長がたくさん論文を書いていますが、日本の労働生産性は1970年に統計を取り始めてからずっと主要7カ国(G7)の中で最下位です。半世紀もの間、一度も6番にも、5番にもなったこともない。ずっとビリ。

 村田学長の論文に挙げられているデータによると、労働生産性とその社会の大学院卒学生の比率はきれいに正比例します。考えたら当たり前です。好きなことを深く勉強した人がたくさんいたほうが、アイデアが出るに決まっています。

 日本は戦後の復興を製造業の工場モデルでうまくいったが故に、いまだにものづくりの神話にとらわれています。もちろん、製造業は日本の宝物です。生産性が高く、品質も素晴らしい。しかし、いくら宝であっても、GDPに占める比率は約2割です。雇用に至っては1000万人程度で全産業の約16%。そのような産業が日本を引っ張れますか。

 これからはアイデアが大切なんです。僕は大学で、生産要素は「土地」「資本」「労働力」と習いました。しかし、今はそうではありません。かつて、堺屋太一さんが「知価革命」と指摘したように、アイデアこそが新しい産業を生み出すのです。それなのに、いまだに広い工場団地を造って工場を誘致しようとしている県もある。

 だから、日本は何をすればいいかは、明らかです。クオータ制を導入して女性に活躍してもらう。大学は英語入試、秋入学を取り入れて(日本語入試、春入学も残す)、世界からエリートを呼び寄せる。世界的なベンチャー、ユニコーンがどこから生まれているかといえば、シリコンバレーのスタンフォード大学や北京バレーの清華大学です。英語での秋入学をやらない大学は、交付金を1割ぐらい減らすことにすれば、どの大学も秋入学をすぐにやりますよ。そのくらいの荒療治をやって大学をダイバーシティーしなければ、アイデアは生まれません。

 それから3番目の高学歴は、企業が変わることです。まずは大学院生をもっと採用することです。日本の大企業はいまだに、なまじ勉強した大学院生は使いにくいとか、アホなことを言っている。これでは話になりません。


「メシ、風呂、寝る」という日本の構造的欠陥

—「高学歴」というのは、いい大学を出るということなのでしょうか。

出口氏:そうではありません。大学院を含め、学び続けている人材が「高学歴」なのです。

 先ほどお話した通り、土地と資本と労働力の時代は過ぎ去って、アイデア勝負の時代になっています。しかし、脳は疲れやすい。集中力が続くのは1回せいぜい2時間で、1日の限界はそれを3コマか4コマ程度。これは世界中の脳学者が共有しているデータです。だから、グローバル企業は残業しないんです。

 一方、製造業は世界的に見たら「低学歴」産業です。全世界の製造業の労働者を見たら、大卒以上は4割しかいません。一方、GAFAやユニコーンの幹部には、ダブルドクター(博士号が2つ)やダブルマスター(修士号を2つ)がごろごろいます。

 ようやく、政府もそのことに気が付いて、働き方改革を始めました。これ以上、長時間残業をして、家に帰ったら「メシ、風呂、寝る」だけという生活を続けていても、経済をけん引するイノベーションは起こせませないことに気が付いたのです。

 平成の30年間、正社員に限っていえば年間約2000時間の労働時間は全く減っていません。その結果がどうかといえば、約1%の経済成長率です。一方、我が国と人口や面積が比較的似通っていて少子高齢化も進んでいる欧州の国々は、労働時間は1300〜1500時間で約2%成長をしている。我が国は「骨折り損のくたびれもうけ」そのものです。いかに日本が遅れているかということを示しています。

 そして、その原因はどう考えても、マネジメントにあります。

—昨今の働き方改革では、労働者側が非効率な働き方をしているという考えが、経営者の発言からうかがえます。

出口氏:大間違いです。マネジメントが悪いんです。

 この前、面白い話があってね。パリに遊びに行った友人が、「向こうの店員はひどい。ニコリともしないし、お願いしないと包装もしてくれない。それに比べて日本の百貨店の店員はすごい。ニコニコして丁寧に包装してくれる」と言うんです。

(一般の人が読めるのはここまで)
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全く瞠目させられる見解がてんこ盛りにある。
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