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2019年08月14日14:51

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(社会)図書館の存在意義と図書館司書の存在意義

この記事の最初の2/3ほどでは、公立の図書館における図書館司書のほとんどは非正規雇用であり、賃金が非常に低いということが中心に述べられている。記事のその部分には、もちろん一定の重要性はあるが、私はむしろ最後の1/3ほどに述べられている「日本の教育」との関係について考察してみたい。

この最後の1/3ほどの部分では、図書館は、将来に重要度の高い必要性が生じた場合にそなえて、必要な資料を取捨選択して残しておかなければならない。その「必要な資料の取捨選択」のためには、賃金の安い非正規雇用の図書館司書を適当に使いまわしていくやり方では対応しきれないはずだ、そういうことが述べられている。

もちろん一定の合理性をもった論理ではあるが、一方、図書館ユーザーの図書館に対する需要の質も低下していくのではないだろうか。さらにそのことに伴って、図書館に対する利用スキルも衰退していくのではないだろうか。つまり、図書館ユーザーというものの総合的な質も、今後低下していく可能性が高い。

近い将来は、図書館ユーザーの質が総合的に低下していくと考えられるのに、図書館が将来の重要度の高い必要性が生じたときに備えて、一生懸命「資料」の取捨選択にエネルギーを傾注してみても、その傾注したエネルギーは報われない可能性が高い。

具体的に言うと、例えば郷土資料である。重要性の高い郷土資料を選択して保存するという営みは、将来、図書館に保存された郷土資料にアクセスして重要な郷土についての研究がなされる可能性がある、そのときのために備えることが必要だ、という思想に支えられている。だが、そのような郷土史研究家が近い将来現れる可能性はいったいどの程度なのだろうかという疑問がある。

逆に言えば、ほとんどの図書館は、無料の貸本ハウスとしての役割をいくらも超えない程度の期待しか持たれていないし、これからも持たれていかない可能性が相当あるのではないだろうか。


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■「もう図書館で働けない」 非正規雇用で10年働いた司書が天職を辞めようと思った理由
(弁護士ドットコム - 08月14日 10:41)
https://news.mixi.jp/view_news.pl?media_id=149&from=diary&id=5747377



●「日本の教育に必ずマイナスの影響」

日本の公立図書館に増える非正規雇用。今後、どのような影響があると考えられるのだろうか。

図書館の運営は、長い時間をかけて行われるものです。今、購入する資料が何十年先の利用者も必要とするものなのか。今、捨てようとしている資料は本当に必要がないのか。現在だけでなく、未来の利用者の事も考え、図書館は資料を収集・保存していく必要があります」と女性は話す。

「しかし、非正規雇用の場合、数年単位で職員がいなくなるため、その図書館に詳しい司書がいない状況となり、資料の管理をするのが大変難しくなります。中でも長年の経験がない状態での資料の除籍は大変危険です。

また、公共図書館において、郷土資料というその地域の宝ともいえる分野があります。どの職にも当てはまると思いますが、基本的に経験の長さが知識の深さに比例します。郷土資料の管理において、この経験の長さは必要不可欠です。郷土資料が適切に管理できるかどうか。私はその図書館の力量が問われる部分だと思います。この管理に数年で異動する職員を充てるのはあまりにリスクが大きすぎます。

図書館が無料の貸本屋でなく社会教育施設として成り立つには、ただ資料を並べ、貸し出すだけでは不十分です。長期の管理に携わる司書がいて、初めて成り立つものだと考えています。現在のように非正規雇用で回し続ければ、日本の教育、研究事業において必ずマイナスな影響が出てくると思います」
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