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2019年04月09日21:01

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(社会)福沢諭吉の人間交際と貨幣経済社会

この記事が示す調査結果をどう解読するかということは意外と難しいのではないだろうか。やや唐突かもしれないが、私は福沢諭吉が『学問のすすめ』で説いている「人間交際」という言葉と、現代の貨幣経済社会との関連から読み解いていくべきではないかと思う。

福沢諭吉はその著書『学問のすすめ』において、「学問は人間交際のためにある」ということを述べている。その部分を引用してみよう。

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およそ世に学問といい、工業といい、政治といい、法律というも、みな人間交際のためにするものであって、人間の交際あらざれば、いずれも不用のものたるべき。政府何の由縁をもって法律を設くるや。悪人を防ぎ、善人を保護し、もって人間の交際を全からしめんがためなり。学問何の由縁をもって書を著述し、人を教育するや。後進の智見を導きて、もって人間の交際を保たんがためなり。往古ある支那人の言に、「天下を治むること、肉を分かつがごとく公平ならん」といい、また「庭前の草を除くよりも天下を掃除せん」といいしも、みな人間交際のために益をなさんとするの志を述べたるものにて、およそなんぴともにても、いささか身に所得あれば、これによりて世の益をなさんと欲するは人間の常なり。(講談社学術文庫版 P135)
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この本の注によれば、「人間交際」とは社会の意味だとしている。だが私は、福沢諭吉がなぜ「社会」とは言わずに「人間交際」という言葉を使ったのか、その意図を最大限くみ取りたい。福沢諭吉が「人間交際」という言葉で指しているものは、人間と人間との交わりのすべてを包括している概念だと思う。このため、政治や行政サービスやビジネス取引等はもちろんのこと、地域社会の交流、家族や友人の交流、そして男女の性の交わりすら含んでいるのだと思う。つまり、人間にとって、「人間交際」とは人間そのものなのだ。

さて、この広い概念である「人間交際」というものを、目に見える形のチャートに落とし込むことができるものと仮定する。むろんそんなことは架空の話なのではあるが、とにかく仮にそういうことができるものとする。

一方、現代に生きる私たちは、「貨幣経済社会」という概念を知っている。私たち現代人は貨幣経済社会の影響を深く受容している。貨幣経済社会なしには私たちは誰一人として「やっていけない」。この貨幣経済社会という概念も、「人間交際」の場合と同じルールに従って目に見える形のチャートに落とし込むことができるものと仮定する。

すると、このチャート空間における「人間交際」という概念のチャートと「貨幣経済社会」という概念のチャートとは、ほとんど重なって見えるのではないだろうか。このため、両者は本当は別のものなのに、そのチャートの形状や及ぶ領域が酷似しているため、あたかも、このチャート空間では「人間交際」と「貨幣経済社会」とは同じものを指すかのような錯覚すらもたらしうるのではないだろうか。

このmixiニュースが報道する調査結果における「収入が低いほど未経験率は高かった」という命題の意味するところは、「人間交際」という概念と「貨幣経済社会」という概念とのはなはだしいだぶり具合が、現実の局面ではどのように顕在化するかということを示しているのではないだろうか。

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■30代、1割が性交渉未経験=男性は低収入と関連−東大
(時事通信社 - 04月08日 09:31)
https://news.mixi.jp/view_news.pl?media_id=4&from=diary&id=5571912

 異性との性交渉を経験したことがない成人が増えており、2015年時点で30代男女の1割が未経験だったと、渋谷健司・東京大客員教授らのチームが8日、英医学誌に発表した。

 チームによると、男性では収入が低いほど未経験率が高かった。上田ピーター・東大客員研究員は「性交渉を求めない傾向は『草食系男子』などと言われてきたが、実際には収入や雇用形態の影響で不本意ながら経験していない面があるのでは」と分析した。

 チームは国立社会保障・人口問題研究所が成人の結婚、出産への意識や性交渉経験などについて調べている出生動向基本調査の1987〜2015年のデータなどを基に、日本全体の未経験率を推計した。

 18〜39歳の男女の未経験率は2000年前後までは低下し、その後上昇に転じていた。男性の1992年の未経験率は20%で、2015年は25.8%に増加。女性も21.7%から24.6%に増えていた。

 30代前半の男性では1987年の8.8%から2015年の12.7%に増加。女性は6.2%から11.9%に増えた。30代後半の男性では1992年の5.5%から2015年の9.5%に、女性は4.0%から8.9%に増加した。

 10年のデータを詳細に分析したところ、25〜39歳の男性では、正規雇用に比べ非正規雇用と時短勤務の人の未経験率は3.82倍、無職では7.87倍に達した。収入が低いほど未経験率は高かった
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