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2017年11月27日14:23

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(読書)『これだけは知っておきたい働き方の教科書』(その2)

『これだけは知っておきたい働き方の教科書』(安藤至大著:ちくま新書)という本を読み終えたので、感想や勉強になったポイント等をまとめておきたい。まずは目次から。

【目次】

はじめに

第1章 働き方の仕組みを知る
1.私たちはなぜ働くのか?
  生活のために働く
  稼働能力を向上させるために働く
  仕事を通じた自己実現のために働く
2.なぜ人と協力して働くのか?
  自給自足には限界がある
  分業と交換の重要性
  比較優位の原理
  比較優位の原理と使い方
  「すべての人に出番がある」ということ
3.なぜ雇われて働くのか?
  なぜ雇われて働くのか
  他人のために働くということ
  法律における雇用契約
  雇われて働くことのメリットとデメリット
4.なぜ長期的関係を築くのか
  市場で取引相手を探す
  長期的関係を築く
5.一日にどれくらいの長さ働くのか?
  「収入ー費用」を最大化
  資源制約とトレードオフ
  限界収入と限界費用が一致する点
6.給料はどう決まるのか?
  競争的で短期雇用の場合
  長期雇用ならば年功賃金の場合もある
  取り替えがきかない存在の場合
  給料を上げるためには
  コラム 労働は商品ではない?

第2章 働き方の現在を知る
1.働き方の現状とルールはどうなっているか?
  正規雇用と非正規雇用
  正規雇用の三条件
  7種類ある非正規雇用
  非正規雇用の増加
2.正社員とはなにか?
  正規雇用ならば幸せなのか
  正社員を雇う理由
  正規雇用はどれくらい減ったのか
3.長時間労働はなぜ生じるのか?
  長時間労働の規制
  長時間労働と健康被害の実態
  なぜ長時間労働が行われるのか
  一部の労働者に仕事が片寄る理由
4.日本型雇用とは何か?
  定年までの長期雇用
  年功的な賃金体系
  企業別の賃金体系
  職能給と職務給
  中小企業には広がらなかった日本型雇用
5.解雇はどこまでできるのか?
  雇用関係の終了と解雇
  できる解雇とできない解雇
  日本の解雇規制は厳しいのか
  仕事ができる人、できない人
6.ブラック企業とはなにか?
  ブラック企業のどこが問題なのか
  なぜブラック企業はなくならないのか
  どうすればブラック企業を減らせるのか
  コラム 日本型企業についての誤解

第3章 働き方の未来を知る
1.少子高齢社会が到来する
  生産年齢人口の減少
  働くことができる人を増やす
  生産性を向上させる
2.働き方が変わる
  機械により失われる仕事
  人口の減少と仕事の減少
  「雇用の安定」と失業なき労働移動
3.雇用形態は多様化する
  無限定正社員と限定正社員
  働き方のステップアップとステップダウン
  非正規雇用という働き方
  社会保障の負担
4.変わらない要素も重要
  日本型雇用と年功賃金
  新卒一括採用
  コラム 予見可能性を高めるために

第4章 いま私たちにできることを知る
1.「労働者の正義」と「会社の正義」がある
  「専門家」の言うことを鵜呑みにしない
  目的と手段を分けて考える
  会社を悪者あつかいしない
2.正しい情報を持つ
  雇用契約を理解する
  労働法の知識を得る
  誰に相談すればよいのかを知る
3.変化の方向性を知る
  働き方は変わる
  失われる仕事について考える
  「機械との競争」をしない
4.変化に備える
  いま自分にできることは何か
  これからどんな仕事をするか
  普通に働くということ

おわりに
ブックガイド―「働くこと」についてさらに知るために


以下、著者の主張でとても感心したポイントなどを抜書きして紹介するとともに、私自身の感想や付随する見解などを述べてみたい。

るんるん「図2−2には、まず働くという枠の中に、「雇われる」という領域があります。その間のドーナツ型の領域に含まれるのは、雇われて働くのではなく個人事業主や企業経営者として働く場合です。次に雇われて働く中に、無期雇用・直接雇用・フルタイム雇用の三条件が描かれています。そして三条件のすべてを満たしている図の中心が正規雇用となるわけです。(P79〜80)」

図2−2をここに示していないため、分かりにくいかもしれないが、この記述も大変勉強になった。私が某特許事務所で体験した偽装請負は、この図の概念にそって把握すると、「直接雇用でかつフルタイム雇用であり、かつ無期雇用の約束(了解)は全く含まれていないような雇用」ということになるのである。この特許事務所経営者が私をそのような就労形態にいざなうとき、(電話で)「雇用ということではなく、事務所に入って就労していただきたい」というようなことを言っていた。この「雇用ということではなく…」という発言は完全に間違った発言だったということになる。

ではなぜこの特許事務所経営者は「雇用ということではなく…」ということを私に言ったのだろうか。それは、私たちが「雇用」という言葉にいだく通常の観念では、「無期雇用」の約束ないしは了解がともなった就労形態を指すからである。逆にいうと、「無期雇用」の約束ないしは了解がともなっていない「雇用形態」を「雇用の一種」とはなかなか考えないのが普通だ。どんな特殊な形態の雇用にせよ、就労形態を指す言葉として「雇用」という言葉を使ってしまうと、労働者に「無期雇用が前提となった就労形態」という期待を抱かせてしまうだろう。この特許事務所経営者はそこを「警戒」したのではないだろうか。

しかしもう一点注意すべきところは、この特許事務所経営者は、私を事務所内就労にいざなう際、「請負業者として事務所内就労して欲しい」とは明言していないのである。ここがこの特許事務所経営者のずるいところだともいえる。つまり、この特許事務所経営者は、私を「請負業者」として処遇するつもりはなかったのである。

【関連項目】

(読書)『これだけは知っておきたい働き方の教科書』(ちくま新書)

http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1963700837&owner_id=3879221

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