ついいましがた、NHKの『クローズアップ現代』を見ていた。今回のテーマは「虐待入院」。「虐待入院」とは聞き慣れない言葉だが、これは、家庭で親から虐待を受けた乳児、幼児、児童、生徒が、虐待によって受けた傷等(例えば骨折、栄養不良など)を治療するため、病院に入院することになった子どもを指す。
ただし、病院で所定の治療を終え、入院を続ける必要性が無くなった場合は、通常、親、里親、施設等へ移されるのだが、どこにも行き場がない場合、やむを得ず入院を続けることになる場合があるらしい。NHKではそういう場合を特に「虐待入院」とよぶことにしたようだ。
虐待入院中の乳児、幼児、児童、生徒が直面する問題は何か。それは、まず発育が不健全になりやすいことだ。病院は乳児院や少年院のような「収容施設」ではない。このため、教育を受けさせたり、家庭的な雰囲気の中で子どもの心を育てるというようなことは行わない。食事や入浴などのケアがあるとき以外は、子どもは病院のベッドに放置されたままになる。ベッドに放置されたままで子どもが健全に発育するとは思えない。
番組で最後のほうで紹介されていたことだが、虐待の主原因となっている親が病院に入り込んで、子どもを虐待しに来ることがあるらしい。病院は出入りが比較的自由であるため、子どもを虐待に係る親から守るための施設としても不十分であるという問題点があるようだ。
「家庭は子どもが育つところ」という観念を固定的な先入観としていだくことはもはや許されなくなっているようだ。いまの日本の「家庭」は、子どもをはぐくむ情愛の場という観点からは、どうしようもなくやせ細っているようだ。
【関連項目】
知られざる虐待入院〜全国調査・子どもたちがなぜ〜
http://www.nhk.or.jp/gendai/articles/4011/index.html
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