未だ風邪が治りきっていない。
熱こそないが咳が出る。
出るのに煙草喫むのだから益々出る。
喉から込み上げてくる咳をグッと耐えると胃の底辺りが震えてくる。
それが照準の最中だったりするから腹立だしい。
でも出猟しちゃうのである。
俺の馬鹿、とか思う。
今日も今日とてヤマシギ狙い。
前回と同じ沢にておにぎりハントである…のだけれど。
今日は沢に沿ってやたらと飛んでいる。
2羽?3羽?
ん?
今日は日射しがあるのに、その姿が黒く見える。
1羽が近くの岩に止まった。
おにぎりの正体見たりカワガラス。
そりゃぁ綺麗な沢だもの。いるよカワガラスくらい。
前々回、スコープではっきり見たのは間違いなくヤマシギだった。
けれど、沢に沿って飛んでいたのはコイツらだったか…
鳴き声も似てるし。
まぁ良いや。
ヤマシギだっているにはいるはずだし、ここはゆっくり待ち撃ちとしよう。
と、ちゃっかりヒヨドリの止まり木も射程に入れて座る。
おにぎり頭は見ないまま、ヒヨドリはよく飛んでくる。
狙点修正は前々回と同じ。
沢へ墜ちた。
流れんな!祈りつつ下りて行って回収。
水が滅茶苦茶冷たい。
羽根を抜きつつ待ち撃ちを続ける。
2羽目。
逃してしまうが飛び方がおかしい。
しもうた。半矢だ。
ヒヨドリは沢の対岸で墜ちた。
止め矢を入れねば苦しんでいるかも知れない。
上流の丸太橋を渡り藪を抜けて墜ちたであろう辺りを探す。
積雪の上にいてくれたら発見も早かろうに、息があれば隠れるよな〜
こちらが到着するのに20分くらい。ヒヨドリはどれだけ移動しているものやら。
探す。
探す。
…見付けられない。
一旦、撃った位置へ戻って、墜ちた位置を再確認。
もう少し沢寄りか?
再び対岸へ向かう。
墜ちたけれど、傷は浅くて飛んで逃げたか?
とか思うし、思いたい。
その程度には病み上がりの体調に雪の移動はキツい。
けれど。
こちらの都合で撃った以上、可能な限り回収する。
風に流された鳥が、障害物にぶつかり脳震盪で墜ち、やがて回復して飛び立つことはままある。
が、20mで中る鉛弾で脳震盪などあり得ない。
飛べるならあんな墜ちかたはしないだろう。
回収できるはずだ。
探す。
居た。
雪の上に、もがいた痕跡は無く。
止め矢の必要も無かった。
弾は腹部から背中へ貫通していた。
羽ばたきながら宙で事切れたのだろう。
何と見事な。
獲物の大小など関係ない。
猟師冥利に尽きる獲物だったと思う。
今週末にて猟期も終わり。
次の出猟までに風邪を完治させねば。
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