美術館を出ると風も強くなり寒さが一層応えます。暖冬のためか街に雪はありませんが、やはり寒冷地ですね。
夕闇が迫った本堂の周りにはまだたくさんの外国人が居て、線香の煙が珍しいのか寒い中香炉を囲んで楽しそうに談笑していましたが、近くのお店は閉店したところも多く、街灯も少なく暗闇になりかけた参道とまだ薄明るい空のコントラストが余計に寒々とした雰囲気を出していました。
1件だけ、閉店準備をしていたお店で甘酒を頂きました。小さい頃からあの甘ったるい味が嫌いで随分飲んでいなかったのですが、このお店の甘酒は上品な甘味でとても気に入りました。
寒さの中、いかにも美味しそうに甘酒を頂いている姿が宣伝になったのか、次から次へとアジア系の観光客が集まって来て閉店準備をしていたお店が大賑わいとなってしまっていました。
この場合は定時に帰れなくなった店員さんに申し訳ないのか、売り上げが向上したお店に良かったのか、悩ましいところです。
来た道を駅前まで戻りホテルにチェックインした後、夕飯に出掛ける事に。こちらも特にお店は決めておらず、長野らしいものが食べられてリーズナブルなところ、という感じでネットで探し「大久保西の茶屋」という駅近くのお店にしました。
民芸調の店内は古めですが、地元の(お勤めの)方も多く当たりの予感です。
先ずはビールです。唐松岳以降、生ビールの美味しさが忘れられず、この日も(寒いのに)生です。
先に野菜を摂り、一応の罪滅ぼしをします。キャベツ味噌とキムチですが、キムチに鰹節が乗っているのは初めてでした。(鰹節に甘味があってベストマッチでした)
そして「馬サシ」。昨年、松本で頂いたものも美味しかったですが、こちらも肉厚で柔らかく、噛むほどに溶け出した旨味が薬味と合わさって口中に拡がります。(写真は赤身)
そしてあまり長野には関係ないですが煮込み。八幡屋磯五郎の七味をたっぷりかけて頂きます。
だいぶお腹がいっぱいになってきましたが、隣の方が食べていた蕎麦のから揚げ?も気になって注文。単なる素揚げにも見えますが、何となく竜田揚げ的な衣があり、少し粉がある状態で揚げているのでは?と思いました。これは美味しくて大量なのにあっていう間に平らげてしまいました。
もう限界・・・でしたが、野沢菜の天ぷらは外せません。少し塩味が効いていて酒のつまみには最高です。
お腹いっぱいでお酒もまわり良い気分です。とにかくコスパが良いですね。
再び寒い駅前を通り、ホテルに戻りました。途中の電光掲示板の気温は2℃を表示していました。(駅前にドンキがあり、格安で飲み物などは調達)
今回宿泊させていただいたのは「相鉄プレッサイン」というビジネスホテル。相鉄って、神奈川の鉄道会社と思っていましたが、事業としては全国に展開しているのですね。
ちょうど改造工事中で使えるフロアは上層階だけですが、カーペットも張り替えられてとても綺麗なお部屋になっていました。
面白かったのは、通常部屋に備え付けのアメニティ類がすべてフロント前に置かれていて、宿泊客は必要に応じてそれを部屋に持参する仕組み。自分はそのシステムに気付かず、イヤにモノが少ないホテルだなあ・・と思っていたのですが、ちょうど夕食から戻った際にフロント前の棚に外国のお客さんがいて、アメニティ類をバックに(やや多めに)放り込んでいるのを見てやっと理解したのでした。
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翌日は雪の予報でしたが、薄曇り程度。寒さは相変わらずで(どうせ歩くので)薄着で来てしまった事を昨日に続き後悔する事に・・・長野駅にも薄日が射しています。
宿泊プランには朝食がなかったので、朝食はともかくコーヒー飲みたかったので、名前が面白かったすぐ近くの「ワッフルとジャムの店 森乃珈琲店曇り時々晴れ」というお店に寄らせていただく事にしました。
独特なカップ(ひとつずつ違う顔が描かれた焼き物)にたっぷりのコーヒーとホットドックを頂きました。両方で500円くらいですが、シンプルで落ち着いた店内で、コーヒーもなかなか美味しく次回は是非ワッフルにも挑戦したいです。
この日は15時のバスに乗車予定のため、早めに観光をして駅前に戻る必要があります。近場で良さそうなところ・・・という事で「善光寺外苑 西之門 よしのや」さんの酒蔵見学&味見に行く事にしました。
http://www.nishinomon-yoshinoya.com/
再び寒風に吹かれながら善光寺方向へ表参道を歩き、サンクゼールのお店を過ぎたところで左折すると、大きな暖簾が見えてきました。
酒蔵、店舗、レストランなどに至るアプローチもなかなか雰囲気があります。
入った正面にお酒やお味噌を売る売店があり、パティオを囲むように蔵が並んでいます。
目的の酒蔵は水利の関係で近隣に移ったため、ここでの展示はかつて酒造りをしていた保存現場を見る形になります。中を写して良いのか分からなったので工場の写真はありませんが、なかなか立派な門構えで大きな(杉だま)もありました。
工場そのものはシンプルな展示で、説明の方が居る訳でもなく、設備を説明する掲示なども最小限に留まっている印象でしたが、団体などで予約した場合は違うのかも知れません。
見学の後は試飲です。車でない事を確認され、純米吟醸、大吟醸、生原酒、スパークリング、袋しずく絞り、などを順番に頂きます。日本酒に詳しくないので、製法や味わいの特徴などの分かり易い説明もして頂きます。
絶対コレ!という味わいのものは今回見つかりませんでしたが、お兄さんの頑張りとバランスの取れた味わい(洗練され過ぎず日本酒らしさも有りながら飽きの来ない味)の純米大吟醸40%精米、のものを頂きました。
既にお昼近く、そろそろ昼食を摂って駅前に戻る事を考えなければなりませんが、前日の甘酒を頂いたお店の正面にあったリンゴパイも気になり、やや急ぎ足で「BENI-BENI」というパイ屋さんに・・・。恥ずかしながら行列に並び1つ頂きました。
アツアツでサクサクのリンゴパイの中に(更に)クリームが注入されています。カロリー高そうですが色々な甘さをいっぺんに味わえ、口の中がとても幸せです。ただ、食べるなら5個くらいは行きたく、そうすると1個400円くらい、というのは少し高いのかも知れません。(個人の感想)
お昼は長野最後という事で、少し奮発して、ぱてぃお大門にある「あったかめし屋太郎」で海鮮丼に・・ここは地元のお米を釜焚きで出す事がウリのようでメニューも魚だけ。
いただいたタイミングがお昼少し過ぎで、慌てて炊いたのか(そういう仕様なのか)ご飯はちょっと固めでしたが、お刺身はたっぷりで新鮮、お腹もいっぱいで大満足なランチとなりました。
駅まで戻り、名残惜しい長野を後に東京(新宿)に向け出発です。
途中、下り同様に横川SAで休憩があった際、偶然、前日観た東山魁夷の襖絵のような妙義山の景色に出会い、画伯はこの景色を見たのかな?などと思いを巡らせつつ、土産などを手早く購入して再び車中の人となりました。
やはり定刻ピッタリに到着した新宿は久しぶり寒々としていましたが、ビルが立ち並び人々が忙しく行き交う様にも心落ち着くという何だか矛盾した感覚も覚えました。
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