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2019年12月08日22:45

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企業人ボランティアプログラム(台風19号被害 いわき市)1日目

12/4〜5の1泊2日で「災害ボランティア活動支援プロジェクト会議」(=支援P)が主催する”企業人ボランティアプログラム”に参加させていただきました。

支援Pとは、中央共同募金会を設立母体として、災害ボランティアセンターの活動支援をはじめ様々な災害対策・支援を行っている複数のNPO等によるNW組織です。

本来、このプログラムの日程は2泊3日なのですが、12月のこの時期に3日連続で仕事を休む事はかなり難しく、ボランティア休暇を使った短縮日程での参加とさせて頂きました。

プログラムのテーマは「平日に不足するボランティアの確保」「普段活動に参加する機会が無いような勤め人に活動機会を与える」というものなのですが、実際にプログラムに参加してみると、今回の台風災害だけでなく、東日本大震災を含めた災害そのものに対する自身の考え方に大きな影響を与えるとても貴重な経験となりました。

■主なスケジュール

12/4 13:30 いわき駅各自集合/貸切バスで出発
(1)豊間地区災害公営住宅(東日本大震災)自治会から復興状況についての説明と対話
(2)下平久保公民館 ピースボート災害支援センターによるサロン活動及び水害住宅復
   旧ボランティア活動視察
(3)中之作古民家修復プロジェクト NPO法人中之作プロジェクト見学
   19:00 Jヴィレッジ(宿泊場所)到着
(4)オリエンテーション(各支援団体の成り立ちと活動、ボランティアの役割と現状の
   問題点、いわき市の被害と具体的な活動の事前説明)

12/5 7:50 Jヴィレッジ発 いわき市災害ボランティアセンターで受付/各現場へ
   15:00 各現場での1日目活動終了 ボランティアセンタ経由でJヴィレッジ着
  →1泊2日参加の私はここで離脱。他の方はこの夜に振り返り会があり、翌日も15時ま
で活動されました。

 *** *** ***

11月中旬にこの募集を知り、体系的にボランティア活動を学び体験できる良い機会と思い、慌てて応募しました。ただ、暮れのこの時期、出発前日まで実際に参加できるのか不安な状況で、想定通り直前まで業務上のトラブルで十分な準備ができず、当日も一番コスト高(でも快適な)なJR特急で向かう事になりました。

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E657系という新型のサスペンションやダンパを採用したこの特急車両は線路の上を滑るような乗り心地。今春刷新されたあずさの新型車両E353系に近い快適性と130km/hの最高速度度で、いわきまでの道のりもあっという間です。近々仙台まで常磐線が全通するというニュースもあり益々便利になりそうです。

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いわき駅には集合の1時間ほど前に到着。今回のプログラムは基本的な食事が付いている(参加費は交通費別で○万円!)ので、自ら選択できるのはこの日の昼食のみです。早速、食べログで勧めの駅前トンカツ屋さんに。

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ランチセットは700円ちょっとの味噌カツ。お昼ちょっと前でしたが地元の方がたくさん来ていて満員です。明日の作業に向け力を付けるため、ランチでなく普通のローズカツ丼を注文。店主が店裏でガンガン叩いて柔らかくなった赤身と甘い脂身、サクサクの衣が甘味を控えたタレでとじられていて超絶美味!お腹一杯です。

食事を終えるとちょうど集合時間が迫っていたので指定の集合場所に。スタッフの方から名簿と注意事項を受け取りバスに乗り込みます。

名簿によると今回の参加者は16社41名(多分)。募集には90名とあったので、時期的にもそこまでは人が集まらなかったのかなあ、と思いましたが、参加する側としてはこのくらいの人数の方が動きやすくて良かったです。(許可を頂いて撮影、掲載しています)

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最初に向かったのは東日本大震災で甚大な津波被害があった豊間地区。海岸線から少し山合いに入ったところに地震や津波被害を受けた方向けの復興住宅が建設されており、そちらの地区の自治会、自治会長さんから直接震災被害と復興のお話を伺いました。

勿論、震災の被害に遭われた方から直接お話しを伺うのは初めてで、貴重で意義深く重い時間となりました。

●本当の意味で「復興する」(元通りになる)という事はない
●(復旧に)高い堤防が本当に必要だったのかは自分たちも分からない
●辛い経験を話す語り部は皆に同じ被害に遭って欲しくないから続けられる

実際に近親者を失い、家財を失い、再建資金を貸してくれるところも無い絶望の中で暮らす方々の重い言葉でした。毎日海を見て、海に出て暮らしていた人々が(必要なのだけれど)今は頑丈な堤防でほとんど海を見ずに暮らしている現実。若い人は移住先を決めて外に出られても高齢者は行き先も資金もなく今の場所に居続けるしかない現実。そんな中でも少しでも今の環境や暮らしを良くするために活動されている姿、後の世代に同じ被害に遭って欲しくないという思いで辛い思い出を語っていただく姿に心打たれました。

2つ目の訪問先は台風19号による大規模な床上、床下浸水被害のあった平久保地区。ここでは近隣の浄水場が水没したため、長期にわたり断水が続いた事もあり、復旧だけでなく被害に遭われた方への様々なケアが必要とされており、現在もピースボートやパルシステムさんなどによる活動が続けられています。

地区に差し掛かり先ず目に入ったのは公園に積み上げられた災害ゴミの山。現在は公園などに廃棄物を出すことはできませんが、発災当初はやむを得ず各所にこうした山が出来ていたとの事。家財を捨てざるを得なかった方々の思い、厳しく苦しい災害の体験と公園の変わり果てた姿に心を痛める子供たち、やり切れない気持ちと対照的な青空が悲しみを誘います。

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活動拠点の一つとなっている公民館では、災害関連の情報提供のほか、様々な支援物資の配布、炊き出し、子供たちの安全な遊び場、住民間の情報交換や一息つけるサロンの提供を継続的に実施していて、訪問したタイミングでも多くのお母さんと子供たちが集まっていました。(公民館前のブロックは水の勢いで近くの水田に流されていました)

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(許可を得て撮影、掲載しています)

この地区での水深は膝上から胸あたりまで。道沿いの塀にもくっきり最大水位の跡が残っており、一見、何事も無かったように見える町並みも、殆どの家の一階部分はがらんどうになっています。

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ピースボートの支援で、家屋の復旧作業を行っているお宅には実際に中を見せていただき、住人の方から浸水時の状況や片付けの苦労などのお話も伺わせていただきました。

よくニュースで「床上浸水〇〇件」と報道されていますが、それがどういう事なのかは私自身よく分かっていませんでした。ただ、こちらのお宅でその現実を伺うと、

1)数日で水が引いて家の中をきれいにしても、床下には水たまり、外壁と内壁の間
 (グラスウール)はカビでびっしり、という状態
2)放置すると時間を追って家そのものへのダメージが回復不能となり、健康上も大きな
  リクスが生じる
3)床下の乾燥やグラスウールの張替えには専門業者の作業が必須だが、業者は数か月先
  まで予約がいっぱいでかつ、お金も結構かかる

という状況。今できるのは、床板をはがし出来るだけ外気にさらす事と、ピースボートなどのアドバイスを受けながらグラスウールを(とりあえず)除去する事、であり、本格的に寒くなる前に作業の目途を付けたいが、かなり難しそう・・・との事でした。

↓床板を剥がし乾燥中         ↓取り外したグラスウール(カビがびっしり)
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真っ暗な夜道、胸まで流水に浸かって避難する怖さ、今でも雨が降ると細かい土が出て一面沼のような状態なる事、またそれが乾燥すると酷い土埃で家の中を乾燥させたいのに窓が開けられない事、今年のオーガニックコットンの収穫を諦めざるを得ない事など様々な苦労を伺いました。でも、お話をしてくださる奥様が元気で明るいのが我々にもとても救いになりました。(許可を得て撮影、掲載しています)

1つ1つの訪問先がとても重く心に響くためどんどん時間がおしてしまい最後の訪問先に向かう頃には日没を迎える事に。

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この日最後の訪問先は中之作の港を望む古民家「清航館」です。港でバスを降りるとちょうど日が落ちた直後の美しい光景に出会いました。

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こちらは震災後の転出や建て替え等で失われ行く古民家を活用して地域の再生に取り組むプロジェクトで、訪問させていただいた建物も築250年にもなる民家を取り壊し直前に地元の建築士さんが譲り受けて再生したもの。現在、人は住んでいませんが、様々なイベント(ライブも!)に使われているとの事でした。

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取り壊し寸前に民家を買い取って修繕した「変わり者」が少しずつ地域の方に溶け込んで行くお話が印象的でした。

お話を伺って少し冷えてきた港に戻るともう6時をまわっていて、宿泊先のJヴィレッジまでの1時間は予期せず、ぐっすり、眠ってしまいました。

あの原発事故では事故対応の前線基地となったこのホテル。今年立派に再生してどこもかしこも真新しく快適で、あの忌まわしい事故を感じさせるものは見当たりませんでしたが、実際の事故対応にもあたられていた今回の参加者曰く、今は綺麗な芝のグラウンド一杯に車が並び、そこから皆バスに乗り換えて現場(原発)に向かっていた、という生々しい話を伺い、やはり原発に近いのだなあ・・・と感じたりもしました。

到着すると部屋には行かずそのままホールでのオリエンテーションが開始されます。
ここでは参観者と主催者の簡単な自己紹介に続き、災害支援の在り方、企業や個人のかかわり方、何が不足して何が求められているのか、実際の作業ではどんな事に気を付けるのか、などの説明をいただきました。

実はこの自己紹介までプロジェクトの実態がよく分かっていなかったのですが、かなりのスペシャリストが集まっている事にこの時点で気付く事になりました。

支援P幹事:長沢恵美子さん(経団連SDGs本部)(SDGs:持続可能な開発目標)、萬屋(よろずや)さん(同経団連)
阿部さん・金尾さん(支援P事務局、中央共同募金会、損保ジャパン)、吉田建治さん(支援P、日本NPOセンタ、今回のツアコン役)、高山弘穀さん(支援P、榛東(シントウ)村社会福祉協議会、災害現場のプロ)などなど・・・

1時間超のオリエンの後、急いで食事を摂り、短いメンバ交流を経て(景色が真っ暗な)展望風呂に浸かり明日の作業に備えました。(活動編に続く)

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