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2019年05月19日21:08

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日本フィル 東京定期演奏会@710(2019.5.17)ラザレフのカヴァレリア・ルスティカーナ(演奏会形式)

2019.5.17 19:00〜 於:サントリーホール

(前半)
  メトネル
   ピアノ協奏曲第2番 ハ短調 op.50

(ソリストアンコール)
  スカルラッティ
   ソナタ ロ短調 K197

(後半)
  マスカーニ
   歌劇<カヴァレリア・ ルスティカーナ>

指揮:アレクサンドル・ラザレフ

ピアノ:エフゲニー・スドビン(前半コンチェルト)

トゥリッドウ:ニコライ・イェロヒン(主人公)
サントゥッツア:清水 華澄(主人公に想いを寄せる今カノ)
アルフィオ:上江 隼人(主人公の元カノの夫)
ローラ:富岡 明子(主人公の元カノ)
ルチア:石井 藍(主人公の母)

合唱:日本フィルハーモニー協会合唱団

コンマス:田野倉 雅秋
管弦楽:日本フィルハーモニー交響楽団

来週の横浜定期に都合で行けないため、チケットを一週前の東京定期に振り替え、雲一つ無い五月晴れの夕暮れの金曜日、赤坂に向かいました。

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この日は前半にラフマニノフと同世代のロシアの作曲家メトネルのコンチェルトをロシアの指揮者の元でロシアのピアニスト(イェロヒン)が弾きそのロマンティックさと流麗さに浸っているところを、後半は不倫の結末が殺し合いになってしまうイタリアオペラで生々しく覚醒される、という感じのプログラム。

メトネルのピアノコンチェルトは初めて聴いたのでまだ印象は固まっていませんが、流れるようで馴染みやすい部分とゆったりとしてロマンティックなメロディーが心地よく織り込まれ、オーケストラとの掛け合いも多彩。
スドビンさんの演奏はあくまでも軽やかで心地よい音がホールに拡がるもの。振り替えた座席が舞台の横に近かったためもあり、やや音がオーケストラに埋もれているように聴き取り辛い場面がありました。(横席なので・・)

アンコールのスカルラッティのソナタは「素晴らしい」の一言。一音一音が石を穿つように体の中に優しく確実に打ち込まれる感覚は5分足らずの曲でありながら破壊力は十分。

染み込む音に浸っていると、あっという間に休憩に。

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後半はいよいよマスカーニです。こちらは美しい間奏曲(ゴッドファーザーで使われている)が有名ですが全編通しで聴くのは初めて。
内容は良くある(と言っては語弊がある?)男女の不倫とそれぞれのパートナーの葛藤劇、みたいなもので、音楽が付きダイナミックで美しい音楽に合わせ歌手が感情を込めて歌う事でその激情性が格段に増し素晴らしい物語となっています。

オペラとはいえ、歌手が舞台最前列に並び譜面を見ながら歌うだけの「演奏会形式」。セットもなければ演出効果もなく、第九演奏会みたいな感じで物語が進みます。
演出面のハンデが大きすぎるので「実際どうなの」という気持ちが強かったのですが、いざ始まってみるとそれは全くの杞憂。

歌手の見事な感情移入と音楽そのもののパフォーマスの高さに魂が持って行かれ放しの70分でした。

イントロから最後まで鳥肌が立ちっ放しで皮膚の感覚がおかしくなったのか、気付くと両鼻から鼻水がアゴまで何度も流れて乾燥を繰り返したのか口の周りがヒリヒリです。

合唱団も良かったですが、この日はトゥリッドウ(主人公)が抜群でした。その一本気で無鉄砲な性格が良く現れていて、まだまだ行ける声量もうまくコントロール。それを受ける
サントゥッツアの切なさも痛いほどに表現。アルフィオ、ルチア、ローラも好演。本当に見事でした。オペラの醍醐味とはまさにこういう事なのだなと納得です。

日本フィルのオペラこそ「どうなの」というイメージでしたが、それも完全に払拭。ラザレフさんだけの成果ではありませんが、やはりこのエンターテインメントとしての完成度へ導く力は格段だと思います。長い曲ですので少々の傷はありますが、もはやそれは問題ではありません。

多分15分を超えるカーテンコール。拍手、ブラボー喝采でした。

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