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2011年12月10日20:22

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僕のトップ５　「ＳＦ短編漫画～60～80年代編」

新しいシリーズ？を日記で始めてみたいと思う。
題して「僕のトップ５」
音楽やら映画やら本やら、自分の好きなものトップ５を何でもつけてみようという安直な企画

まあ、これはあくまでも僕が考える順位で、ほかの方々が考えるそれとは大きく違ってくるだろうと思う。それはご容赦願います。というか、こういうのは人それぞれ違って当たり前というか、違ったほうが面白いだろうと思うし

また、こういうランキングをつける無意味さというのもわかっているつもり。
人によって感動の価値観が違うこともそうだが、今回自分がこういうランキングを作るにあたってつくづく感じたのは、例えば本の場合、読んだ年齢、読み返した年齢、読んでる時の自分の心理状況などなどで、感じかたの度合いがずいぶん変わってくるものだなぁということだ

極端にいえば、今日1位に選んだものが明日にはランキング圏外に落ちているかもしれない。そういういいかげんさを含むものなんだということのご了解を

だから、読む方によっては違和感のあるものになってるかもしれないけど、繰り返し言わせてもらうと、だからこそ楽しいのだと思うし、それこそがこういうランキングの醍醐味なんだと感じる。

ぜひ、マイミクのみなさんは、「オレ（私）だったらこういう順位をつけるね」というのを作って欲しい。僕が知りたいのはそういうもの。それを読むことにより、「おお、これは自分が知らなかった作品だ。チェックせねば」という楽しみができる。いやぁ素敵じゃないですか

おっと、また前置きが長くなった。言い訳はこれくらいにして、いいかげん本文に入ろう

「アクション映画のトップ5」とか「松田聖子80年代の曲トップ５」とか実にいろいろ考えたんだけど、最初にやるのは漫画にした。それも長編じゃなくて短篇。そんでもっとジャンルを絞って「SF短篇漫画トップ5」をすることにした。それでも歴代のSF短篇漫画から、たった5本を選ぶというのも大変なので、さらに60～80年代に絞った。

それでもかなり難航した。考えてみればこの年代はSFブームの真っ最中で、小説も漫画もたくさんのSF作品が生み出された時代だ。何百という数があるだろう。
それで、いきなりもうやめようかとも思ったりしたが

それではやはり面白くないので、ええいとテキトーに。いやさすがにテキトーではないが、かなり直感的そしてあくまでも今（2011・12・10）の好みでつけた。結構、王道を選んだつもりだけど

ではカウントダウン形式で、まず5位から。

第5位
「処刑は3時に終わった」（手塚治虫）1968年

いきなり手塚が5位かよ！？と思われたあなた。ええ、そうでございます。何で5位なんだと自分でも思うのですが、そこがほれ、上に書いたとおり、あくまでも今の好み、気分で選んだからです。いや手塚が1位でも全く不思議ではなく、というのは今回いろいろ昔のSF短篇漫画を読み返してみて感じたことのひとつに、手塚治虫はなんて膨大な数の作品を描いてきたんだろう！ということだったのだ。本当にとんでもない量の作品。それこそ優に100を超えるSF短篇があるんじゃないだろうか。正直言うととても読み切れなかった。そんな状況だから、これはもうまさに直感で選ぶしかない。それがこれだと

この作品はなんというかな、ラストにどんでん返しがあるんだけど、それが何ともいえないブラックさで「痛～い」気分になる。ヒッチコック劇場やトワイライト・ゾーンのような味わいがある。手塚治虫がシリーズで描いてた『空気の底』という連作の中の一編で、この作品以外もクオリティーが高く、ほかにも「うろこが岬」や「バイパスの夜」というのも捨てがたかったのだが、SFという括りでいうと、これが一番だということで。

【ストーリー】元ナチス親衛隊の中尉はユダヤ人虐待で処刑されようとしていたが、すこしも動じない。彼はユダヤ人の天才科学者から時間延長剤という秘薬を手に入れており、処刑の瞬間に逃げだせると思っていたのだ。ところが、思わぬ落とし穴が…

第4位
「残像」（星野之宣）1980年
第3位
「夢見る機械」（諸星大二郎）1974年

一気に4位・3位と発表してしまう。なぜかというと、この二人は僕にとってツインとでも呼べるような印象があるから。なんかいつも対になってるイメージがあるんだよね～（実際、仲がいいらしい）

70年代後期、SF漫画の騎手といわれた人は圧倒的にこのふたりで（大友克洋はまだSFの芽は出ていなかった）同じ時期に出てきたからか、作風は違うのによく比較されてたと思う。二人とも今はSFというよりは「伝記ロマン」的な作品で独自の地位を確立した感があるが、この頃は典型的なSFで魅了していた。

星野のこれは初期の代表作で、スケールの大きさとそれに対比するようなリリカルさが胸を打ったなあ。今はこんな作品描かないだろうな、きっと。ちなみにこの作品の最初の仮タイトルは「円い影」だったらしい。いやあ、それじゃ台無しだな。この作品はこの「残像」というタイトルが秀逸なんだよ。このタイトルだったからこそ、あの結末がいつまでも忘れられない名作になったのだと思う。

　　

諸星も同じく初期の代表作だ。これが掲載されたのが「少年ジャンプ」というところが今ではオドロキだね。あの頃のジャンプは何でもありだったな。
いつのまにか機械世界に侵される人間社会という、よくあるテーマだが、独特の画風にちょっとユーモアを交えながら、でもやっぱり背筋が寒くなるようなラストは読んでてゾッとしたものだ。同じ時期に描いた「地下鉄を降りて」というのもゾクゾクするラストで面白いんだけど、やっぱりＳＦという括りではこれだな。

【ストーリー】「残像」…ひとりの女が月面作業中に隕石により死んだ。彼女の遺品から発見された1枚の写真。それは2億年前の地球を写した写真だった。女の元夫であるカメラマンの主人公がそれを調べてみると意外な事実が…
【ストーリー】「夢見る機械」…中学生ケンは、いつの頃からか毎日がひどく単調で平凡なものを感じる。そんな時、屋根裏からママそっくりのロボットを見つける。隣りのシブさんに相談するが事態は思った以上に進んでおり…

第2位
「ノスタル爺」（藤子・F・不二雄）1974年

藤子ＳＦはね、悩んだんですよ。なんせここはＦとＡで二人いるからね。またこの二人も短編をたくさん描いてるわけです。だけど、まあＡさんの短編はどっちかというとブラック・ユーモアをメインとした異色作的なものが多く、対してＦさんはズバリＳＦが多いのだ。

それでまあ、Ｆさんが描いたものから選ぼうと決めた。決めたけどこれがまあ難航した。手塚治虫御大と同じくらいむずかしかった。Ｆさんは生涯に112編のＳＦ短編を発表したらしいんだけど、僕はこれらのほとんどを読んでいた。そのどれもがクオリティーが高く「みどりの守り神」や「カンビュセスの籤」「ミノタウロスの皿」など有名な名作もたくさんある。

　　　　　

だから、これもえいやっと気分で決めた。この作品の2年前、横井庄一さんがグアムから帰ってきたんだよね。そこからインスパイアされた作品だと思うけど、そこに時間を超えたドラマを仕掛けるところがにくいですなあ。タイムトラベルもの好きな僕には胸にグッとくるわけですよ。

【ストーリー】浦島太吉は30年ものあいだ孤島のジャングルに一人兵士としてこもっていた。自分のおじと一緒に帰郷した太吉であったが、故郷の村は既にダムの底に沈んでいた。太吉は妻であった里子の墓参りをした後、ダムの底に沈んだ村を見に行くが、そこには昔そのままの村が目の前に広がっていた。

第1位
「真夜中の戦士」（永井豪）1974年

で、いろいろ迷った挙句、1位はこれ。もうこれは一番最初に読んだときの衝撃が大きかった。これも当時「少年ジャンプ」に掲載されたんだけど（「愛読者賞チャレンジ」というのがあって10人の漫画家が毎週読み切りを発表して競った）

永井はこの前にも「ススムちゃん大ショック」という、それこそショッキングな短編を発表しており、当時は「ハレンチ学園」や「あばしり一家」そして「デビルマン」という長編を併行して連載していたにもかかわらず、こういう質の高い短編まで描いてしまうあたり、この時代の永井豪は神がかっていたと思う。

この作品は彼がテーマとしてよく描く「対立の図式」を最も端的に表現したものだ。初期の「鬼」における人間対人造人間、「ハレンチ学園」のハレンチ大戦争における先生対生徒（管理するものと管理される側）そして「デビルマン」の神と悪魔。その中でも一番わかりやすく読み切りという形で表現したものがこれだ。意表を突いたラストといい本当によくできた傑作だと思う。

　　　　　

惜しいのは、よせばいいのに永井がこの作品の続編を描いたことだ。これはもう彼の悪いところというか、「デビルマン」を初めとしてやたらと続編を描いてしまうクセがあるのだ。だが当然というかオリジナル本編を超えられたものはひとつもない。「真夜中の戦士」もしかり。全く蛇足だった。

この作品は今も単行本で読めるけど、それは続編を含めた長編という形になっている。
この作品をこれから読もうと思ってる方にひとこと申し上げるが、これは最初の1作だけ読んだら十分です。そのあとの200ページは読まないでください（笑）

【ストーリー】深い眠りから目覚めた時、そこは戦場だった。11人の戦士たちは自分が何者であるのかすら知らない。わかっていることはただひとつ、1枚の紙切れに残された「FIGHT」の文字だけ。彼らの戦争に意味はあるのか？

次点。
「宇宙船乗組員」（「ウは宇宙船のウ」より）「萩尾望都」1977年

この日記を書くにあたって一番最初に選んだ。それくらい大好きな作品なんだけど、ブラッドベリ原作の漫画化作品ということで、本当の意味でのオリジナルではないんじゃないかと思い直しトップ5には入れなかった。
でも、どうしても捨てきれず「次点」ということに（笑）

ブラッドベリは長編「火星年代記」を読んでものすごく感動して、それからほとんどを読んだ。彼の作品は長編もいいが短編に味わい深い名作が多く、短編集「ウは宇宙船のウ」に入ってる「霧笛」「みずうみ」「びっくり箱」などは今も忘れがたい。

それを萩尾望都が連作として上記の作品を含む8編を漫画化して「マーガレット」に掲載された。

あのブラッドベリの世界を漫画にするなんて無茶な！と思ったが、読んでビックリ。彼の作品にある抒情性や幻想的な世界が、彼女の作風にとても合っていた。特に、この「宇宙船乗組員」は彼女のためにブラッドベリが書いたのではないかと思うくらい彼と彼女の“世界”がマッチしていて全然違和感を感じなかった。

これ読んだとき、しばらく最後の余韻が頭から離れなかったなぁ。
（余談だが映画「Ａ・Ｉ」を観たとき、ラストでなぜかこの作品を思い出した）

というわけで、ずいぶん長くなったけど

「僕のトップ５：ＳＦ短編漫画～60～80年代編」でした。他にももっともっとたくさんの作品があって、ここに挙げた作家の他にも、吾妻ひでお、石(ノ)森章太郎、松本零士、石川賢、弘兼憲史など、いいのがいっぱいあったんだけどね～。そういうのも含めるとトップテンになっちゃうから。やっぱりトップ5くらいでちょうどいいと＾＾

マイミクのみなさんも、よろしければご自分の好きなトップ5を教えてください！何でもいいんです。僕の知らない世界をぜひ教えてくださーい！　お願いしますｍ(＿＿)ｍ

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