今回は、光秀が「大活躍」しました。
それも序盤におつかいの数々で広げた人脈が「効いている」のでしょう。
とはいえ、相当に「違和感」があったことも否めません。
朝倉に仕官もせず、寺子屋で子どもを教えているただの亡命者だというのに、
なぜか光秀は、上洛を渋る義景の名代に指名されます。
しかし、将軍の側近たちが再会を喜ぶような間柄とあって、
将軍とも非公式な目どおりがかない、無事、鷹を献上することができました。
信長暗殺計画の情報に、さっそく久秀に善処を頼みますが、
なぜか光秀は、交渉に行った久秀の従者として義龍の宿所に同行しています。
しかし、自分の命を狙っていたはずの義龍はいささか気弱になっており、
むしろ光秀の方が「大きな国」の話で誠実なマウントをするほどでした。
そして、よほど義輝に気に入られたのでしょうか、
なぜか光秀は、将軍と信長の謁見の末席にまで加わっています。(これが一番わからん)
おかげで、信長が「おかしい」と述懐し、側近たちも顔を見合わせるしか出来ない、
「家柄と血筋」しかない将軍の権威の凋落ぶりを目の当たりに出来ました。
(しかし、信長の言葉とはいえ、「家柄と血筋」の話を藤孝にするかな、光秀クン。)
こうした単なるおつかいクエストではありえない場所にいることで、
光秀は、揺るぎないと思っていたものが時代とともに崩壊することを実感したようです。
というわけで、今回の秀逸は、
目の前にいるにもかかわらず母を失ってしまった信長の哀しみでも、
ふらりと久秀の前に現れると水差しを献上する信長の抜け目のなさでも、
当時の人間にはたとえ冗談でもけっして思い浮かばないであろう
堺の交易を前提とした尾張と摂津の領地交換を提案した信長の先進性でもなく、
将軍との謁見の席でも側近たちの顔色をうかがい、光秀の顔を見るなり道三を悼み、
義龍との交渉では相手の懐に入った瞬間、耳元で信長暗殺計画を問いただすという
変幻自在な松永久秀の存在感というか、中の人・吉田鋼太郎の演技力のスゴ味。
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