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2022年05月15日10:40

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続々と昨年公開の(あくまで私にとってだが)新作CS放映、嬉しい季節が来た。

 5月10日(火)に昨年の2021年2月公開「コスモボール COSMOBALL」を観る。

「コスモボール COSMOBALL」(ジャニック・フェイジエフ)
ヴィジュアル豊かなロシア製のSF超大作。「ローラーボール」やSWの亜流みたいなイメージもあるが、SFX映画が氾濫の今の時代で、人のイメージ創造力に限界もあるだろうから、この程度の類似性をオリジナリティ欠如とあげつらうこともなかろう。荒廃した半世紀後の地球において、コスモボールなる競技に全人類が熱狂している世界が描かれ、センスオブワンダーに溢れたストーリーが展開される。このテの映画だから具体的記述のネタバレは避けたいが、コスモボールに隠されていた地球荒廃に至る人類の秘密が明かされていく流れである。サイレント映画時代の「アエリータ」を始めとして、ロシアならではのSF・ファンタジーの伝統が、ここでも大きく花開く。骨子は、人類の造った物が制御不能に陥り危機に至る「地球爆破作戦」と同傾向であるが、人の造った物には必ず人の遺伝子が刻まれているとして、ハッピーエンドに至るのは後味が良い。個人サポートロボの「スプートニク」がめちゃ可愛く、ポイントとして効いている。人間の性善説に基づいて成立するSFロジックで、こうありたいともと思うが、楽観的に過ぎてるところが弱いと言えば弱い。(よかった)

 5月11日(水)に昨年の2021年2月公開「マーメイド・イン・パリ」を観る。

「マーメイド・イン・パリ」(マチアス・マルジウ)
怪我した人魚を保護することになった男が、彼女を海に帰すまでのラブストーリー。ロマンチストの祖母の代からの老舗のバーで、パフォーマーをしている夢見る男が主人公だから、人魚の存在をスンナリ受け入れてしまうあたりの筋立てが巧みだ。バスタブで保護して、唯一の外出は下半身をショールで覆って車椅子で移動させるので、SFXがほとんど不要の仕掛けも上手い。人魚は自衛策で歌声で人が殺せるが、生命度外視の生体検査を試みる現実派の医師を敵役に加えて上手くストーリーを転がしており、夢見る心の大切さと連動させているのも、ファンタジーとして成功している。深夜の水族館で魚群と戯れながらの、水中ラブシーンは魅せる。人魚の涙が悲劇の因ではなく、素敵な美しいプレゼントになるヒネリも良く、総じて日常描写の積み重ねで、低予算でファンタジー色を出していく巧みな創りが目についた映画だった。(まあまあ)

 2020年外国映画でまたまたベストテン級の映画に遭遇した。「インディアンムービーウィーク」でこじんまりと公開されたらしい「ビギル 幸せのホイッスル」だ。「こじんまり」と表現したが、そこはインド発マサラムービーで、2時間47分の巨編である。(インド映画だからこの程度で「巨」と形容する程ではないが)

 歌って踊ってブンチャカドンチャカ、あっという間の3時間が、マサラムービーの定番だが、この映画はそれに加えてメリハリの効いた2部構成で満腹感がタップリだ。

 ヤクザの親分が、息子は堅気に生きてもらおうと真面目にサッカーに打ち込ませる。ところが大切な大会出発間際の列車ホームで、抗争勃発し父は殺害される。息子はその場でサッカーを諦め、跡目を継ぐ。そして、陰の存在として女子サッカーチームを支援していく。7年後、親友が監督として大会優勝を狙えるまでにチームが育った時、抗争のトバッチリでその旧友が重傷を負ってしまい、ヤクザの親分になった主人公が、監督として表に出ざるをえなくなる。ここまでが前半で、後半は女子チームを優勝に導くまでの悪戦苦闘の展開となる。

 放映はCSのムービープラスで、このチャンネルは途中に1回CMタイムが入るのが特徴だが、これがインターミッションのタイミングにピッタリで素晴らしかった。日本ではインターミッションのタイトルを無視して、3時間近くを一気に廻してしまうことが多いが、この映画の劇場公開時はちゃんとインターミッションを入れたのだろうか。

 前半は男子サッカーで後半が女子サッカーと変化が効いており、これにヤクザの抗争の殺陣と格闘が加わって、これらが高速度撮影も交えて、迫力満点に連続する。もちろん歌って踊ってブンチャカドンチャカもタップリなのでご心配なく。

 全体を通しての敵役はサッカー協会理事で、権力と結託しありとあらゆる汚い手で、サッカーの勝利をもぎとろうとする。後半になると、さらに女子への差別偏見が激しいインド社会も、敵となって立ちはだかる。

 これらをクリアしてサッカーチームを優勝に導いていくのが小気味よい後半なのだが、手腕はヤクザチックで案外と荒っぽい。このあたりは、最後は腕っぷしで片を付ける東映任侠と共通しており興味深いところだ。クライマックスがゴールを決めるのでなくPK決着というのも、サッカー映画としてユニークだ。長い長いエンドクレジットの時間で、サラリとハッピーエンドになる後日談を映像で示したのも画竜天晴であった。

 主演で、ラジニカーントに次ぐインドの人気スターのヴィジャイは、同じくやや小太りの二枚目で魅力的。女優も美女揃いなのだが、インドならぬ日本人の悲しさか、インド女性がみんな同じ顔に見えてしまったのは、こちらの責任だが残念なところだ。

 こういう大型エンタテインメントを大傑作ともてはやす気はないが、ベストテン末席の10位あたりに入れたいなというのが本音である。そこで、2020年洋画ベストテンを振り返ってみたら10位は「スター・ウォーズ/スカイウォーカーの夜明け」だった。「スター・ウォーズ」最終章はダントツの1位か、でなければ別格の10位という存在にするしかない。20年の洋画ベストワンは鉄板の巨大ドキュメンタリー「死霊魂」があり、結果「スター・ウォーズ」は別格末席となっていた次第である。ということで「スター・ウォーズ」は絶対に無視できず、結論的に「ビギル 幸せのホイッスル」のベストテン入りはなりませんでした。

 5月13日(金)に昨年の令和3年7月公開「ベイビーわるきゅーれ」を観る。

「ベイビーわるきゅーれ」(阪本 裕吾)
この現代に殺し屋組織が存在し、死体始末係がいてキチンと処理するから、すべて表沙汰にならない。そして、そこに女子高校生が参加するが、卒業後は表向き社会人として職業(最低でもバイト)を持たねばならない。ルームメート2人の、高石あかりは銃器のエキスパートで、格闘技に長けるのは伊澤彩織と、要するにヘンな設定なのだ。八方美人の高石あかりに対し、ひきこもり気味の伊澤彩織と、対比的な二人のしらけ風のとりとめの無い会話もヘンだが、こっちの方をヘンに感じるのは高齢者の私との感覚のズレで、今の若者の普通の感覚なのかもしれない。本業はスタントパフォーマーの伊澤彩織に奇妙なチャーミングさがある。こんなしらけモードから、突発的にクールな殺しモードへ飛んでいき、ヤクザとのトラブルやらで跡には死体の山もが築かれる。このヘンさ加減に、魅力を感じるかどうかが肝だが、私には面白さと乗りきれなさが半々だった。でも、ダーティペアみたいなこのズレたコンビにまた再会したいとは思った。(まあまあ)

 5月14日(土)に昨年の2021年3月公開「テスラ エジソンが恐れた天才」と、1月公開「アース・フォール JIUJITSU」を続けて観る。続々と昨年公開の新作(あくまで私にとって)がCS放映される季節が来て、落穂拾いだけでなくなってきたのは嬉しい限りだ。

「テスラ エジソンが恐れた天才」(マイケル・アルメレイダ)
エジソンと同時代の発明家で、交流モーターや交流電力系統・無線通信網の構築に功績のあったテスラの一代記。「エジソンズ・ゲーム」という映画があったが、こちらはこの時代の関係者の現在のSNS検索ヒット数比較を紹介したり、ゆかりの人間の回想を劇化して挿入したり、実録風の創りである。恋に不器用で経済感覚もあまり無いが、科学が人類の未来を開くと信じていた夢想家のテスラを、イーサン・ホークがよく表現した。どうしても「エジソンズ・ゲーム」と比較したくなるが、実録風の事実の羅列よりは、事実の再構成力に長じた「エジソンズ・ゲーム」の方に思考触発されるのは仕方あるまい。(まあまあ)

「アース・フォール JIUJITSU」(ディミトリ・ロゴセティス)
6年に一度だけ空に出現する彗星と共に、ビルマのある寺院の回廊から格闘や剣技に長けたエイリアンが地球を襲う。撃退しないと、人類が滅亡するとのことだが、SFロジックも何も無いバトルとチャンバラを見せる方便だけの珍品SFで、昔ながらのB級ガラクタオモチャ箱のセンスである。ニコラス・ケイジがマジにつきあっているのが何ともオカしい。でも、子供の頃に見たら案外と面白がっただろうなとは思う。(まあまあ)

 前回日記からこれまでに観た自宅観賞映画は次の10本。

「ハーレーダビッドソン&マルボロマン」「ボーダーライン:ソルジャーズ・デイ」
「コスモボール COSMOBALL」「マーメイド・イン・パリ」
「大日本スリ集団」「沈黙の標的」「ビギル 勝利のホイッスル」
「ベイビーわるきゅーれ」「テスラ エジソンが恐れた天才」
「アース・フォール JIUJITSU」

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