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2022年04月25日10:05

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竹洞ピンクの傑作、アニメの話題作2本、昨年公開ベストテン級の邦画2本。充実の4日間。  

 4月21日(木)、CS録画観賞でピンク映画「田園日記 アソコで暮らそう」(R15版)を観る。4月は「チャンネルNECO」で17本、「日本映画専門チャンネル」で16本のピンクが放映されているが、その中で私が未見だったのは、たったのこの一本であった。放映されたのはいずれも2015年〜20年公開作品とはいえ、我ながらこの期間によくピンクを追ってかけていたんだなあと、感心するや呆れかえるやらである。そして、今回の未見作品も竹洞作品。本数が多いとはいえ、改めて私は竹洞映画に対して、良き観客でなかったことを痛感する。

 なお、前にも記したがタイトルは劇場初公開時のものに統一している。こういうことが可能なのも、PG「ピンク映画放送作品一覧表」をPG「MOVIES DATA」とリンクを張ってくれている作成者・中村勝則さんの労作あってこそである。こういう地道で繊細なな努力はもっと評価されるべきだ。

「田園日記 アソコで暮らそう」(竹洞 哲也)
仕事人間の水野直に嫌気がさした妻の白木葉子は役者の若手と不倫中。二卵性双生児の姉弟、南涼は父親にソッポを向き、細川佳夫は引き籠り。(二人は全然似てないけれど、二卵性だから当然との強引な洒落っ気が楽しい)水野直は一念発起、田舎で無農薬野菜栽培にトラバーユを試みる。妻は次第にその仕事に興味を抱いて、不倫相手と縁を切り、夫婦仲も円満になる。娘も農協の若者と幸せな結婚。息子も農業に生甲斐を見出し、引き籠りを脱する。そんな顛末が、引きのショットの長回しで淡々と味わい深く、情愛に溢れて綴られていく。悪くは無いけど、こんな何も起こらない幸福一杯のピンクでいいのかなぁと思っていたら、終盤で急転調する。水野直は、昔に観た開拓ドラマの波乱万丈を夢見ていたのにアテが外れ、妄想も含めて波乱万丈の仕掛けに暴走する。その無鉄砲さは一言で言えない抱腹絶倒のおかしさ。竹洞映画初期に見られた二つの系列、シットリ系とブッ飛び系を融合させた傑作であった。(よかった)

 ピンクを観た2日後の23日(土)、アニメ話題作2本の連続観賞となった。カートゥーンネットワークからCS録画した放送開始20周年記念「劇場版 ONE PIECE」の「STAMPEDE」と、早々と日テレの金曜ロードショーで初放映された昨年4月公開の「名探偵コナン」最新作「緋色の弾丸」だ。

「ONE PIECE」は断続的にしか観ていないので、私はあまり良い観客ではない。今回は20周年記念とのこともあり、海賊万博に結集した過去の人気キャラが大集合して、海賊王の宝探しを目指し大バトルを連続させる展開だが、キャラそれぞれに丹念な紹介もなく、一見さんお断りの世界で私も詳しくない。でも、中心キャラのルフィを始め、この世界のキャラはいずれも私好みなので、楽しく退屈せずに観られた。やはり、アニメの魅力はキャラに尽きますね。

「名探偵コナン」は、本来2020年公開だったがコロナ禍により1年延期になった作品だ。もし、予定どおり公開されていれば、私としては必見のシリーズなので、コロナ禍も何のその劇場に駆け付けていただろう。ところが21年3月に脳梗塞でコケてしまい、長期入院生活に入ってしまった。こうなってみると、本シリーズの翌年早々の地上波放送は、嬉しき限りである。

「名探偵コナン 緋色の弾丸」(永岡 智佳)
映画中では「WSG−ワールド・スポーツ・ゲームス−」と称しているが、誰が見たってこれはオリンピックのことだろう。その行き過ぎた商業化に反対する勢力が、スポンサーの大企業要人を誘拐脅迫する事件が、8年前・4年前と相次いで発生し、犠牲者も出る。グリコ森永事件も想起させる部分もあり、相変わらず本シリーズのアクチュアリティーに溢れたテーマ設定に感心する。これに東京WSG大会に併せた名古屋〜東京間を25分で繋ぐ真空超電導リニアの開通式をからめ、国際的事件なのでFBIも出張るスケールアップも、相変わらず見事だ。ミステリーとしての水準の高さはもう保証済だが、クライマックスにリニアの暴走に加えてカーチェイスもあり、パニックアクションスペクタクルは今回は2階建てで、満腹感を増幅させる。FBIのカーチェイスに、天才若手棋士が詰将棋の要領で協力していくのも、時流に乗せている。最後に司法取引の功罪という重いテーマに触れているのも、映画に深味を与えた。残念なのは、今回は江戸川コナンと工藤真一の使い分けが極めてあいまいで、これはコナンの正体がバレるか否かのサスペンスのポイントだけに、「ご存知」だからまあいいやと、安易にスルーした分、魅力がやや減少してしまったと思う。(よかった)

 24日(日)、昨年5月公開「アララト 誰でもない恋人たちの風景vol.3」、昨年3月公開「騙し絵の牙」を、連続してCS録画観賞、共に私にとってのベストテン級と、充実した1日となった。

「アララト 誰でもない恋人たちの風景vol.3」(越川 道夫)
脳梗塞で左半身麻痺になった男と妻の物語。現在の私にとって、あまりにもタイムリー過ぎる題材である。もっとも後遺症の病状はかなり違う。(杖なしでなんとかヨタヨタ歩ける左下肢4級障害の私に対し、本映画の主人公は杖で立つのがやっとで、車椅子に頼っているから2級以上だろう。左上肢についても肩甲骨の可動域と手首から先の麻痺が残る私の2級障害に対し、完全左腕麻痺みたいだから1級障害だと思われる)それでも、自由に体が動かないやるせなさ・不甲斐なさ・イラダチ、家族に負担をかけている負い目の描写に、大きなリアリティを感じさせた。特に障害後の生活に対する周囲のアドバイス(それが微塵の悪意も無い親切心からと承知しているだけ)に、判ってないよ!とのイラつく心情は身に染みた。決して見捨てようとしないで支える妻の描写も(私の願望もあるが)、家族ってこうだよなとのリアリティを感じる。そして、この映画がユニークに優れているのは、障害者の性の領域に踏み込んだことだ。壮年で倒れたこの映画の主人公に対し、後期高齢者目前の私とでは、違い過ぎてもはや想像の範疇を出ないが、その辺の悶々感もかなりリアルに感じられた。そのあたりを、主人公を植物に語りかけるような自然観を有する画家にし、石しか描いてこなかった男が、愛する妻のヌードに手を染めようと思った直後に病魔に襲われ、夫婦生活の回復から再び絵画に生甲斐を見出す展開として、よくあるピンク映画風と断じてしまえばそれまでだが、説得力が十二分に存在したと思う。今の私にタイムリー過ぎる題材ということもあるが(よかった。ベストテン級)

「騙し絵の牙」(吉田 大八)
出版社の大物社長が急逝して、壮絶な権力争いが勃発する。売れるか売れないかの闘争は、かつて世界はちがうけれど「わが命の唄 艶歌」というサスペンスフルな映画があったが、それにも負けず出版不況の背景も踏まえ、21世紀ならではの進展となるのが斬新で、こういうものを恋模様の一つもなく、エンタメ化する手腕に感嘆した。出版界という知の象徴の世界なのに、その闘争に知のカケラも無いのが興味深い。最後は昔ながらの書店での出版の勝利になるミクロな人間味がキープされるが、例え映画は嘘でもこのように後味よく納めてもらいたいものだ。剛腕編集者が、山村聰や佐分利信タイプでなく、飄々とした大泉洋というのも新世紀らしいリアリティがあった。(よかった。ベストテン級)

 前回の日記から本日24日(日)までに観た自宅観賞映画は次の9本。

「田園日記 アソコで暮らそう」「白雪姫 あなたが知らないグリム童話」
「デニス・ホッパー/狂気の旅路」
「劇場版 ONE PIECE STAMPEDE」「名探偵コナン 緋色の弾丸」
「ゴーストマスター」「アララト 誰でもない恋人たちの風景vol.3」
「騙し絵の牙」「jam」

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