４月１３日（水）、全くノーマークにも関わらず、ベストテン級の映画に遭遇した。２０１４年公開の「ゲッタウェイ スーパースネーク」である。
実は、この映画は当初の録画リスト チェックには引っ掛かっていた。名作「ゲッタウェイ」のリメイクかスピンオフかと思ったからである。私はそのテの作品は、わざわざ劇場に足を運ぶことは少なかったが、落穂ひろい録画観賞では、案外コマメに追いかける。出来が仮にお粗末でも、オリジナルと比較してのツッコミで、結構楽しめるからだ。
しかし、ａｌｌｃｉｎｅｍａの作品解説に目を通したら、「ゲッタウェイ」とは何の関係もないみたいで、録画リストから落ちた。ところが何でもかんでも録画してしまう最近の私には珍しいことだが、１３日（水）の午前中で、プロレス・格闘技も含めて録画番組をすべて消化してしまったのである。さあ、午後は何を観てつぶそうかと、番組表をひっくり返したら、「ザ・シネマ」放映の「ゲッタウェイ スーパースネーク」が再び目に止まった。そんなことで、単なる暇つぶしのつもりで観始めたのが、これがベストテン級の傑作だったとは、映画にはこういう出遭いがあるから素晴らしい。
もっとも、私としては点が甘いのは認めざるを得ないが、私はこういうワンアイディアを９０分前後〜１００分止まりでカッチリ魅せきる映画が、大好きなのである。スピルバーグの「激突！」を始めとして「フォーンブース」「崖っぷちの男」等々だ。「ゲッタウェイ スーパースネーク」は、全編をカーチェイスのみで、押して押して押しまくる。問題児だった元プロレーサーの妻が誘拐され、彼女の命と引き換えに、車の盗難に始まり、公園の市場への乱入とか、パトカーに追い廻されるようなミッションを、電話指令で次々と投げかけられる。妻の命が掛かっているから、絶対に逮捕されるわけにはいかない。そのスピードとスリルのみだけで９０分を押し切る仕掛けは、お見事の一言に尽きる。往年の名作「バニシング・ポイント」も思い出させた。当日の昼から始まり、一夜明けての早朝で終わるコンパクトさも絶品だ。
途中、機械オタクの富豪の娘の闖入もあるが、そこをサラリとすり抜け、カーチェイスの流れを中断させないのも巧みだが、最後にさらにそれが影の「指令者」の意図と密接に関わってくる仕掛けも巧みだ。これ以上はネタバレになるので具体的紹介は避けるが、このドライバーが過去に結構ヤバイ仕事に携わっていたみたいなことを臭わせているラストも、余韻が残った。
改めて振り返ると、黒幕の仕掛けに出来過ぎの感もあるが、この手の映画だから不問に付す範囲だろう。上手い映画だ。こういう映画は、ベストワン！とかハシャぐ程ではないが、ベストテン末席１０位あたりに置きたいなという心境になる。
ということで、２０１４年の私のベストテンを振り返ってみたら１０位は「とらわれて夏」だった。こちらは、アクションやサスペンスではないが、逃亡犯が母と息子の二人暮らしの家に立て籠もり、数日の間に逃亡犯と母が恋に墜ちるとのありえねェ〜お話に、説得力を持たせたやはり上手い映画だった。「ゲッタウェイ スーパースネーク」と甲乙つけ難い。強いて言えばアクションではなく人間描写で魅せる上手さの「とらわれて夏」の方が、映画的魅惑として採るべきだろうとのことで、私のベストテンに変動はなかった。ま、所詮はプライベートのお遊びで、どうでもいいことなんですけどね…。
昨年８月公開の「サマーフィルムにのって」を１８日（月）にＣＳ録画観賞。
「サマーフィルムにのって」（松本 壮史）
時代劇オタクの映画部女子高生が、キラキラ青春映画一辺倒の他の部員に叛旗を翻し、仲間を集めて時代劇製作に挑戦する。集まったメンバーが個性溢れた面々で、青春の輝きの描写はなかなかのものだ。半ばからタイム物と判明してくるが、（この展開は中盤からだし、紹介文でも明かされているから、ネタバレにはなりませんよね）こうなるとオチをどう付けるか勝負になってくる。そこを、時代劇とキラキラ青春映画を融合させ、未来でも決して亡びぬ映画の永遠性に繋ぐパラドックスにした骨子は良いんだけれど、もう少しリアリティあるクライマックス構成にできなかったのか、（この手の作品はネタバレになるので、これ以上触れられないが）残念でもある。（まあまあ）
前回日記から、本日１９日（火）までのＣＳ録画観賞は次の１６本。
「ドラゴンゲート 空飛ぶ剣と幻の秘宝」「チワワちゃん」
「トラさん 僕が猫になったワケ」「ラストムービー」
「ゲッタウェイ スーパースネーク」「スケート・キッチン」「フェイ・グリム」
「オッド・トーマス 死神と奇妙な救世主」「沈黙の脱獄」「沈黙の追撃」
「ネッド・ライフル」「グッバイ、リチャード！」「天外者」「ＡＮＮＡ アナ」
「サマーフィルムにのって」「曹操暗殺 三国志外伝」
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