ようやく2018年に観た映画のランキングを出しました。今回も前回同様にランキングと同時に映画評をアップしていきますね。1位と2位は即座に決定したんですけど、3位以下は悩みました。とりあえず、1位〜5位までご覧ください。
★2018年劇場鑑賞作品 1位〜5位
1位 『スリー・ビルボード』
(2017年 英・米 監督:マーティン・マクドナー 出演:フランシス・マクドーマンド ウディ・ハレルソン サム・ロックウェル 他)
2018年に観た映画の中で、最も印象に残った作品がこれでした。
アメリカのミズーリ州の田舎町エビング。愛娘を殺された母親が、自宅近くの3枚の広告用看板に、メッセージを出しました。「レイプされて死亡」「犯人逮捕はまだ?」「なぜ?ウィロビー署長」この看板が、小さな町に波紋を投げかけていきます。
主人公のミルドレッド(フランシス・マクドーマンド)は、常に怒りに満ちています。それもほぼ全編怒りっぱなしといっても過言ではないくらい。終始戦闘服に身を包み、気合を入れる時はバンダナを巻き、娘を失った哀しみを怒りで補うかのような勢いでした。これは、フランシス・マクドーマンドにしか演じられないかも、と思ったほどの当たり役。後で、脚本を書いたマーティン・マクドナー監督による彼女を想定したあて書きだったと知りました。
終始、怒りに満ちたいろんな意味で暴力的な作品ではありますが、ところどころにユーモアのあるセリフであったり、優しさに溢れたちょっとしたしぐさであったり、愛情を感じさせる部分が垣間見える、ウィットに富んだ映画でもあると思います。…ただ、重く辛い内容なので、観る人を選ぶ作品かもしれないですね。
もしかしたら、人はきっかけ一つで変われるのかも知れません。どんなに頑固な人でも心が動けば、それは可能なのかも。サム・ロックウェル演じるディクソン巡査を見て、そんなふうに思いました。
ミズーリは、アメリカ人があまり住みたがらない所だといいます。エビングは架空の街ですが、『スリー・ビルボード』に描かれたような事例は、数多く存在するのでしょう。まあ、ミルドレッドはちょっとやりすぎですけどね(笑)これは、未解決事件の影で苦しむ人々の姿を切り取った、象徴的な作品のような気がしました。
・旦那のランキング 1位
2位 『七人の侍』
(1954年 日本 監督:黒澤明 出演:三船敏郎 志村喬 宮口精二 木村功 稲葉義男 千秋実 加東大介 他)
私がたくさん映画を観るようになったきっかけの一つが黒澤映画でした。なかでもこの『七人の侍』は、大好きな作品のうちの1本です。それが、午前十時の映画祭で上映されることになったので、スクリーンでの「初」鑑賞となりました。もともと迫力のある作品でしたが、劇場で観るとさらに大迫力ですね〜。何気ない構図の美しさなども際立ちます。
ただ、画像は奇麗になってますけど、どうしても音声がねぇ。。。特に黒澤映画はセリフが聞き取りにくいことで知られますが、スクリーンで観ても音声はあまり変わらないような気がしました。
207分と長尺な作品ではありますが、前半は七人の侍を集める様子、後半は野武士との決戦を丁寧に描いています。一人ずつ個性を紹介しながらの侍集めはとても楽しくワクワクするし、有名な雨の中の激闘は迫力満点で目が離せません。大きなスクリーンで観ると、久蔵(宮口精二)が霧の中から一人現れるシーンのかっこいいこと!
そして、ラストシーンの切なさと憂いを含んだ勘兵衛(志村喬)のあのセリフ…。何回観ても心にずーんときてしまいます。…といった感じなので、これ以下の順位は考えられませんでした(笑)
・旦那のランキング 2位
3位 『ボヘミアン・ラプソディ』
(2018年 米 監督:ブライアン・シンガー 出演:ラミ・マレック ルーシー・ボイントン グウィリム・リー 他)
クイーンというバンドのことは知ってはいましたけれど、私にとってはちょっと変わったバンドという程度の認識でした。日本では人気のあったバンドではありましたが…。
うーん、まさかまさかの大ヒット!公開当初はこの映画がここまで当たるとは思いませんでした。ところが、実際に観てみるとすっかりやられてしまいましたわ…(笑)フレディ役のラミ・マレックをはじめ、ブライアン・メイ役のグウィリム・リーやロジャー・テイラー役のベン・ハーディー、ジョン・ディーコン役のジョー・マッゼロも激似すぎる…!!
しっかりとストーリー性を持たせた人間ドラマに仕立てたこと、十分な作品を撮れるブライアン・シンガー(『ユージュアル・サスペクツ』『X-MEN』シリーズ)に監督を依頼したこと、ブライアン・メイやロジャー・テイラーがしっかり監修していることなどが功を奏した大ヒットって感じですかねぇ。もし、この作品をドキュメンタリー映画として撮っていたなら、ここまでの大ヒットにはならなかったでしょうね。
とにかく、ライブエイドのラスト21分間の衝撃は凄いものがありました。劇場で観ると、臨場感がハンパない…! 思わずトップ3入りです(笑)
・旦那のランキング 4位
4位 『シェイプ・オブ・ウォーター』
(1017年 米 監督:ギレルモ・デル・トロ 出演:サリー・ホーキンス マイケル・シャノン リチャード・ジェンキンス ダグ・ジョーンズ オクタヴィア・スペンサー 他)
かなり前にこの監督さんの『パンズ・ラビリンス』を観て、美しいダーク・ファンタジーの世界にすっかり魅了された覚えがあります。その後『パシフィック・リム』を観て、今度はオタッキーな匂いがぷんぷんしました(笑)そして、今回は…大人のおとぎ話の世界ですかねー。
舞台は1962年、冷戦時代のアメリカ。清掃員として政府の極秘研究所に勤めるイライザ(サリー・ホーキンス)は、極秘実験のために運び込まれた不思議な生き物を目にしてしまいます。不思議な生き物…。半魚人なのでしょうが、グロテスクというよりは、ずいぶん力強くて筋肉質で、男性的な美しさを備えているように見えます。
心を通わせるには、言葉はいらないのですね。とてもロマンチックな雰囲気にうっとり…。かと思うと、デル・トロ監督はとても生きにくい時代をかいくぐるように生きている人々の厳しい姿をも描いています。言葉を失ったイライザ、黒人としての差別を受けるゼルダ、同性愛者のジャイルズ…。
まあ、お決まりのパターンの展開ではありますが、それでもイライザたちを手に汗握って応援してしまいます。私には、イライザが人魚姫のように思えてなりませんでした。デル・トロ監督って、現実的な部分とロマンチストな部分が同居してる気がします。ジェームス・ジーンが手掛けたポスターも素敵ですね。
・旦那のランキング 5位
5位 『犬ヶ島』
(2018年 米 監督:ウェス・アンダーソン 声の出演:ビル・マーレイ ジェフ・ゴールドブラム エドワード・ノートン 他)
ウェス・アンダーソン監督のストップモーション・アニメを観るのは初めてです。この監督さんの特徴は「ゆるさ」。今回もゆるさ加減はバッチリですね(笑)パペットたちの動きが若干「カクカク」してて、ずいぶんと個性的な感じがしました。
舞台が日本なので、ところどころ日本語の表記があってほっとします。冒頭の和太鼓のシーンがインパクトありました。キャラクターがそれぞれの母国語をしゃべるという設定なので、英語や日本語が飛び交うのが面白いですね。この監督さんは黒澤好きなようで、『七人の侍』のテーマが使われてたのでビックリしました。
そして、相変わらずの豪華キャスト!日本人俳優も渡辺謙、夏木マリ他、たくさん出演してますが、オノ・ヨーコには驚きました。よくオファーを受けたものだ…(笑)
本当に細かいところまで作りこまれているので、観ていてまったく飽きることがありません。ドッグ病が蔓延するだの、犬禁止令だの、あり得ないけどそれっぽい設定がなんともいえない味を出しています。そして、このゆる〜い不思議な犬の世界に魅了され、終わると同時にまた観たいと思ってしまった私です…。
・旦那のランキング 7位
映画本編の冒頭3分間の映像はこちら(和太鼓のシーンがそのまま観れます)
★まとめです。
2018年劇場鑑賞作品ランキング
1位 『スリー・ビルボード』
2位 『七人の侍』
3位 『ボヘミアン・ラプソディ』
4位 『シェイプ・オブ・ウォーター』
5位 『犬ヶ島』
珍しく、旦那のランキングと似てました
・6位〜10位はこちら
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・11位〜13位はこちら
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・14位〜16位はこちら
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