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2015年01月07日15:50

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『黒い十人の女』

映画『黒い十人の女』を観た。

(1961年 日本 監督:市川崑
出演:船越英二 岸恵子 山本富士子 宮城まり子 中村玉緒 岸田今日子 宇野良子 村井千恵子 有明マスミ 紺野ユカ 倉田マユミ 森山加代子 伊丹十三 浜村純)

劇場にて鑑賞。

【TVプロデューサーの風松吉(船越英二)は、9人もの愛人を持っていた。やがて彼は女たちに殺されると思い込んで、妻(山本富士子)に相談する。そこで妻が立てた計画とは…。(allcinema ONLINE より)】

この作品が上映されたのは、劇場といっても京都文化博物館の中にあるフィルムシアターだ。文化博物館へは何度か足を運んだことがあるが、フィルムシアターに入ったのは初めて。京都府ではフィルムライブラリー事業として映像資料の収集・保管を行っているのだそうで、この作品もたぶんその中の一つなのかな…。

調べてみると、特別展なども見られる総合チケット500円で鑑賞できるそうだ。この日は、「宇宙兄弟展」をやっていたっけ。…ということで、受付で料金を払おうとすると、「今日はフィルムシアターは無料でご覧になれますよ」 うそっ!タダ!?無料???目

喜んだのもつかの間、けっこう上映時間前ギリギリに入ったので、嫌な予感が…。当然シネコンのように指定席ではない。でも、そんなに人は入ってないか。古い作品やし。

ところがどっこい、なんと席は9割くらいは埋まっていた。…うそ目 仕方がないので、前から2列目の席を確保。座席とスクリーンがけっこう近くて、見上げるような状態にあせあせ(飛び散る汗) ふと周りを見渡すと、ジジさま、ババさまでほぼ満席状態。たぶん、私たち夫婦が一番若いかもしれないぞ…(笑)

ほどなく映画が始まると、即座に市川崑の世界に引き込まれてしまった。こんなに古い映画をスクリーンで観れるのは幸運なこと。これは旦那のチョイス作品で、私は予備知識もなかった。

サスペンス調のオープニングで、何やら今までに観たことのない感じのテイスト。やっぱり市川崑って、この頃から特徴的な映像を撮っていた人なのねぇ。ちなみに、この作品の脚本は、奥様の和田夏十。公開当時は、なんじゃこりゃな作品だったんだろうなあ。

フォト


物語は、TVプロデューサーの風(船越英二)と、彼の妻(山本富士子)、9人の愛人たちが繰り広げる…一応愛憎劇なんだろうけど、ぜんぜんドロドロじゃないところがおしゃれ。

それは、船越英二演じる風の軽さにあるんだと思う。片っぱしから女を口説きまくる風。それが、ぜんぜん重くない。まあどうみても遊んでる感じがありありだ。

女たちも、深く彼を愛しているというわけではないらしい。そう、ほっておけない男なのだ。そこにいるだけで、彼のことが気になってしまう。彼を見ると、どうしてもかまってしまう…。だけど、女たちはわかっている。彼がどうしようもない男であるということを…。

なんといっても女優陣が豪華。華やかよね〜。みんな個性的だし、若い(笑) 妻を演じた山本富士子は典型的な日本美人って感じ。愛人たちも、岸恵子(モダンでかっこいい)はじめ、宮城まり子(女優の彼女は初めて観たかも)、岸田今日子(クール!)、中村玉緒(かわいい)、それぞれに特徴があって、観ているだけで楽しかった。

女たちの名前に数字が入っているのも茶目っけがあって面白い。岸恵子は市子、山本富士子は双葉、宮城まり子は三輪子、中村玉緒は名字が四村、岸田今日子は後藤…(笑)十人以外に百瀬桃子という女性が登場するオチまでついてて、思わず「百人斬りかいっ」と
つっこんでしまうわ。

クールモダンとでもいうのだろうか。今でいえばスタイリッシュな感じ。一人の男をめぐる女たちのせめぎ合いを描いていながらも、重くなりすぎずに時にはコメディタッチに、時にはサスペンスフルに、さまざまな表情を見せながら物語は展開していく。彼女たちの軽快な台詞のやり取りも面白くて、飽きることがない。

重すぎることもなく、かといって軽すぎるわけでもない絶妙なバランスに唸ることしばし…。そして、やはり女は怖いものだという結論に達するのだ。

思わぬ拾い物をしたような気分(笑) こんな作品を無料で観れたとは…!
やっぱ市川崑、けっこう好きかも。



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