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2019年01月19日08:47

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「未来を乗り換えた男」

私の好きなドイツの監督、クリスティアン・ペッツォルトの新作。やっぱりいい!
祖国を逃れてパリに潜伏するドイツ人青年が命からがらマルセイユにたどりつく。ところがマルセイユにはなぜか黒い肌を持つ難民たちが・・・。え、これって第二次大戦中の話じゃないの?と、ここでようやく気づく私(笑)。でも、マルセイユにもまもなくドイツ軍が侵攻してくるので、各国の大使館はビザの発行を待つ人々が行列をなしている。
どうやらこれは架空の現代らしい。ちょっと南アの作家クッツェーの「イエスの幼子時代」と似た雰囲気がある。シリアスな社会派というより、苦い笑いを誘う寓話というべきか。
偶然のなりゆきで死んだ作家になりかわってメキシコ行きの船に乗ろうとする青年は、自分から捨てた夫を探し続ける作家の妻に惹かれ、作家の妻の愛人は、メキシコに医療を広めるという夢があるにもかかわらず、女のせいでなかなか船に乗れない。タイムリミットは近づく。四の五の言わずにさっさと脱出しなければ命が危ないのに、3人の男女はぐだぐだと迷走しっぱなし。そのダメなところがなんだかグッとくる。「東ベルリンから来た女」や「あの日のように抱きしめて」同様に、ひんやりしたタッチで男女の心のゆれをロマンティックかつスリリングに描くスタイルは本作でも健在。切れ味抜群のラストもすごくよかった!
エンドロールのトーキング・ヘッズは、映画のクラシックなトーンからするとものすごい違和感なのだけど、内容的にはまさにこれしかないという選曲。そうきたか!とうなった。

「東ベルリンから来た女」
http://mixi.jp/view_diary.pl?owner_id=3700229&id=1893834647
「あの日のように抱きしめて」
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