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2019年12月07日23:15

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三浦友理枝@フィリアホール

今回からフィリアホールにて三浦友理枝によるドビュッシーのピアノ独奏曲全曲演奏会が始まった。
三回から四回のシリーズに変わり、年末の風物詩になりそうだ。
美少女然とした容姿でデビューした彼女もこのシリーズ中に不惑を迎える。
今や実力派中堅ピアニストとして、ソロでも室内楽でも大活躍だ。

高評価を得たラヴェル全曲演奏会も記憶に新しい。

01.ボヘミア風舞曲
02.2つのアラベスク
03.マズルカ
04.夢
05.スティリア風タランテラ
06.スラヴ風バラード
07.ロマンティックなワルツ
08.夜想曲
<休憩>
09.ベルガマスク組曲
   1.プレリュード
   2.メヌエット
   3.月の光
   4.パスピエ
10.忘れられた映像
   1.レント
   3.いやな天気だから、もう森へは行かない
11.ピアノのために
   1.プレリュード
   2.サラバンド
   3.トッカータ

どうやら作曲年代順に演奏していくらしい。
まだドビュッシーとしての絶対的な個性は見られないが、後半からはすでに現代音楽への扉を開きかけたいたのだな、と妙に納得してしまう。

前半は『アラベスク』や『夢』のような有名曲もあるが、ムーディーに流れがちになってしまうところを、彼女は決してないがしろにしない。
ただ、普段聴き慣れているドビュッシーの音楽とはずいぶん違う。それは演奏家の責任ではなく、聴き手のドビュッシーのイメージによるものだろう。とはいえ、こういう機会でもないとライヴで聴けることなどそうそうないだろうから貴重な経験だったのは間違いない。

後半はなんとなくドビュッシーらしくなってくる。
それに激しい打鍵が必要な曲が増えてくる。
誰もが知っている『月の光』にしても、独立した名曲としてではなく、あくまでも組曲の中の1曲として捉え、一本筋の通った解釈になっていたと思う。パスピエが特に冴えていたね。

友理枝ちゃん曰く、秘曲中の秘曲が『忘れられた映像』なのだそうだ。
2曲目に『ルーヴルの思い出』という曲があるのだが、『ピアノのために』の2曲目とほぼ同じ曲とのこと。和声の付け方が若干違うところがあるくらいらしい。なので、省略するとのこと。

その『ピアノのために』ではずいぶん新しい響きを聴くことができる。
いよいよ彼女の本領発揮というところだろう。ことに超絶技巧のトッカータが圧巻。

前半のピアノの音色は暖かく柔らかい。
後半はいつものようにクリアーでキレがある。
前半と後半ではそもそもダイナミックレンジの違いがあるとはいえ、その音色のパレットの豊富さに驚かされる。

終演後、観客の拍手に応える彼女の瞳が少し潤んでいたような…。
やり切った感があったのだろう。

シリーズ幕開けとしては上々だったのではないだろうか。
次回からは歴史を変えたドビュッシー流名曲が揃う。特に楽しみなのは超絶技巧の練習曲なのだが、これは最終回になるのだろう。
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