2017年広島東洋カープ前半戦
83試合52勝29敗2分(1位)
得点437(1位)
打率.278(1位)
本塁打94(1位)
盗塁64(1位)
OPS.784(1位)
防御率3.30(2位)
先発防御率3.50(3位)
救援防御率2.88(2位)
失点310(3位)
失策48(2位タイ)
※()はリーグ内での順位
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25年ぶりにディフェンディングチャンピオンとして臨んだ今シーズンも前半戦が終了し、明日から後半戦へと入ります。
カープは現在貯金23と大幅な勝ち越しとなり、2位とのゲーム差8.0と大きく水を開けている状況。
正直、今季に関しては、連覇は困難と考えていた私のような悲観論者を嘲笑うように素晴らしい快進撃を続けていると言えます。
その要因は様々です。
まずはほとんど全ての数値がリーグ1位を記録している打撃陣。
根幹をなすのは勿論、昨年も猛威を振るった1番から3番のいわゆる「キクマルタナ」コンビなのは言うまでもありません。
加えて、エクトル・ルナの退団によって、昨年リーグMVPとはいえ40歳になる新井貴浩と年間通しての安定感に欠ける松山竜平というフル出場が困難な二人しか候補がいない4番に鈴木誠也が上手くフィットしてくれたのも大きかったかと思います。
4番としては、チーム平均を大きく下回る得点圏打率という難点もありますが、それでも打撃3部門全てでトップ10入りしチーム3冠王も視野に入れている事実がそれを大きく凌駕しています。
というより、新井貴浩を始め、過去カープの新4番を務めた選手はだいたい極端に不振に陥る事例が後を絶たなかった為、これだけすんなり4番を務めているというのは驚きです。
この鈴木誠也が4番を務めているおかげで好調とは言い難い状態が多い新井や好不調の激しいブラッド・エルドレッドを無理にスタメンで起用せずにすみ終盤の切り札を増やせるという事にも繋がっている訳ですから効果のほどが分かる事かと思います。
また、5番以降についても、単なるバックアップの選手から一気にレベルアップして最近は左投手が先発でもスタメンに名を連ねるようになった安部友裕や、昨年の不振から抜け出して石原慶幸を差し置いてスタメンマスクを被る機会も増えた曾澤翼、例年に比べて大きな落ち込みが少ないエルドレッドといった好要素が少なくないのも大きいでしょう。
しかし、懸念点もあります。
例えばこのチームは今季も逆転勝利は「29」とリーグ最多を誇ってはいますが…。
それは勝負強いという事と共に、先発が上手く試合を作っている間に試合を決められないという事でもあると思います。
実際、このチームのイニング別の得点分布を見ると6回、7回が最多タイ(46得点)に対して試合序盤は1回が41得点であるのに対して2回〜4回はさほどでもありません。
阪神や、ベイスターズが3回にもっとも多く得点を稼げている部分を見ると初回に先発を掴まえられなかった場合はQS付近まで待たなければならないという傾向が浮かんできます。
それで6回7回で掴まえられれば良いのですが、相手ブルペンが整備されるようになると有利になるとは言い難いかと思います。
なにより、中盤までビハンドだとこちらも投手陣のやり繰りが難しくなるでしょう。
投手陣に関しては、打撃陣以上の驚きがあったと思います。
何しろ、昨年2ケタ勝利の黒田博樹が抜けたのに加えて、昨年の沢村賞左腕であるクリス・ジョンソンの離脱というハプニングまであった状態で上記のような好成績を収めている訳ですから。
特にQS率は63.9%とリーグ1位でとにかく打線が打ってくれるまである程度は我慢できる投球ができていると分かります。
なかでも大きな戦力となったのは昨年に続いてローテーション入りし、自己最多の7勝を挙げている岡田明丈。
それに加えて、ローテから一時外れた野村祐輔の代理としてローテーション入りしながら、ここまで絶好調のやはり自己最多の8勝を挙げている薮田和樹が挙げられるでしょう。
特に薮田は開幕当初はローテ入りの候補にすらなっていなかった訳ですから大きな驚きを抱いたファンも多かったかと思います。
また、先発が不足しがちだった時期に5番手6番手の投手に一時的に入って活躍した中村祐太のような発見も見逃せません。
とはいえ、だからといって先発陣が盤石とまでは言うのはまだ早いでしょう。
確かに防御率は救援陣はリーグ2位ですが、先発陣に関しては3位。
また、個人成績で見ると防御率2点台は野村祐輔一人で、勝ち星と勝率以外の成績だといずれもトップ3に入る投手からは水を大きく開けられた状態でエース格と呼べる投手が不在と言えます。
特に岡田に至っては大量失点が多く、防御率3.54とリーグ平均を下回りそうな成績でリーグぶっちぎり1位の援護率(5.37)に助けられているのが分かります。
つまり、前半戦最後の9連戦で菅野智之や田口麗斗、石田健太のような完投も狙える好投手もしくは苦手投手相手では、上記の打線の序盤の得点の比率の少なさも併せて上手くQSを守る程度の投球では勝てなかった理由がこの辺りにあったという事です。
勿論、後半戦になって急に相手チームがそれだけのレベルの投手をいくつも揃えられる訳ではありませんが、各チームとも優先的に好投手を回してくる可能性はあります。
そうなった時に、チーム全体の調子が崩れない可能性はないとは現状では言えないでしょう。
それに加えて先発陣をけん引している岡田、薮田いずれもフルシーズンで活躍した経験がない投手。
疲れにより大きく調子を崩す可能性は低くはありません。
そして、それをカバーしなければならなくなる救援陣に関しても、ジェイ・ジャクソンの不振により7回を投げる投手が固定出来ていないのが現状。
加えて僅差の展開に終盤持ち込まれた場合を考えるとリーグ2位タイにのぼる失策の多さも気になります。
後半戦も前半戦同様に私の杞憂を笑い飛ばすような結果になれば良いのですが…そうとは言い切れないと思います。
後半戦最初のカードはいきなり2位の阪神との対戦。
さて、どうなるでしょうか?
データ参考
プロ野球ヌルデータ置き場様
http://lcom.sakura.ne.jp/NulData/index.html
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